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改正学校法人会計基準の注記 — 令和7年度決算から園が新たに書くこと(引当金の計上基準・セグメント情報と配分基準・子法人など)

「注記に何を書けばよいのか、去年の決算書をなぞるだけでは足りないのか」— 令和7年度から適用される改正学校法人会計基準は、計算書類の注記事項を整理し直しました。引当金の計上基準、セグメント情報とその配分基準、子法人・関連当事者など、園を運営する学校法人(知事所轄)の注記で気をつける点を、省令と文部科学省の通知から整理しました。

この記事の要点

  • 注記事項は学校法人会計基準40条に15項目。重要な会計方針(引当金の計上基準を含む)、会計方針の変更、減価償却累計額、徴収不能引当金、担保資産、翌年度以後の基本金組入額、資金の確保の対策、セグメント情報、偶発債務、子法人、出資による会社、関連当事者との取引、学校法人間の財務取引、後発事象、その他
  • セグメント情報は、法人を構成する一定の単位(園を1つだけ設置する法人なら基本的に1単位)ごとの情報。複数の単位に共通する収入・支出は、在籍者数・職員数・使用時間・面積などの合理的な配分基準で配る
  • 賞与引当金などを初めて計上した年度は、引当金の計上基準を重要な会計方針として注記する。子法人(法人がその経営を支配している法人)や関連当事者との取引は、該当の有無を先に確かめておく

注記事項の一覧 — 40条の15項目

改正後の学校法人会計基準40条は、計算書類に注記しなければならない事項を15項目で定めています。前年度までの注記(重要な会計方針、減価償却累計額、担保資産など)に、セグメント情報、子法人に関する事項、学校法人の出資による会社に係る事項、学校法人間の財務取引、重要な偶発債務、重要な後発事象などが整理された形です。

学校法人会計基準40条の注記事項と、園法人での見方
注記事項園法人での見方
1引当金の計上基準その他の重要な会計方針賞与引当金を計上するなら、計上基準(対象期間・按分の方法)を書く
2重要な会計方針の変更変更した旨・理由・変更による増減額
3・4減価償却累計額の合計額、徴収不能引当金の合計額直接控除した残額だけを記載した場合に書く
5担保に供されている資産の種類と額借入金の担保になっている園舎・土地
6翌会計年度以後に基本金へ組み入れる金額未組入額がある場合
713条1項4号の金額に相当する資金を有していない場合の対策該当するときに、その旨と対策
8セグメント情報法人を構成する単位ごとの情報。園を1つだけ設置する法人は基本的に1単位で、その旨を注記して表示を省略できる
9重要な偶発債務保証している債務や係争中の事案
10〜12子法人、出資による会社、関連当事者との取引役員やその親族が経営する会社との取引など
13学校法人間の財務取引他の学校法人との貸し借りなど
14重要な後発事象決算日後の園舎の被災や多額の借入など
15その他、財政及び経営の状況を正確に判断するために必要な事項園の判断で必要なもの

セグメント情報と配分基準 — 園を1つだけの法人でも考え方は知っておく

セグメント情報は、学校法人を構成する一定の単位(セグメント)ごとの情報です。文部科学省の通知(令和7年3月27日)では、特定のセグメントのものとして把握できる収入額と支出額は当該セグメントへ直接計上し、複数のセグメントに共通する収入額と支出額は、経済の実態を適切に表す配分基準により配分するとしています。配分基準は、いたずらに計算が複雑とならないよう留意し、在籍者数、職員数、使用時間、面積等を用いて合理的に設定します。

ただし、この配分基準の適用は令和9年度の計算書類の作成からです。令和7年度と令和8年度は、配分基準か昭和55年の通知に記載の方法のどちらかを適用し、いずれを適用したかを注記します。

複数のセグメントの業務を兼務する教職員の人件費は、勤務実態を反映した配分基準に基づき各セグメントに配分するとされています。園を1つだけ設置し、他に学校や事業を持たない法人ではセグメントは基本的に1つで、設定すべきセグメントが「その他」以外に1つだけの法人は、その旨を注記したうえでセグメント情報の表示を省略できます。通知の区分では、幼稚園や高等学校などは「大学・短期大学・高等専門学校以外の学校」の1つのセグメントにまとめることができ、認可保育所や法人部門は「その他」に入るため、園を運営する法人の多くはこの省略の対象になります。なお、助成法の届出書類(資金収支内訳表など)の部門別の配分は昭和55年の通知の方法によるもので、注記のセグメントの配分基準とは目的が異なり、同じ結果にはならないことがあります。

引当金の計上基準 — 初めて計上した年度の注記

改正基準は、退職給与引当金のほか、引当金について計上の決まりを明文化しました(11条2項)。賞与引当金などを令和7年度から計上する園では、その計上基準(対象期間・按分の方法・所定福利費の扱い)を重要な会計方針として注記します。期首時点で発生していた分を特別収支の「その他の特別支出」に「(何)引当金特別繰入額」などの小科目で処理した場合は、その処理の内容が読み手に分かるよう、会計方針の注記で触れておきます。

なお、会計監査人を置かない知事所轄の学校法人には、小規模法人の会計処理の簡略化を認める国の通知が引き続き適用されます(文部科学省の通知(令和7年3月27日)第七)。その簡略化のもとで引当金を設けずに支給時の人件費支出としてきた園は、賞与引当金を設けるかどうかを所轄庁の手引に沿って決め、選んだ方針を注記します。

進め方 — 決算前に「注記の点検表」を作る

注記の点検の順序

  1. 15項目を並べる

    40条の15項目を表にし、園法人での該当の有無を書き込む

  2. 変わった項目を確かめる

    引当金の計上基準、会計方針の変更、セグメント情報の3つは令和7年度に変わりやすい

  3. 関係者の取引を洗い出す

    役員とその親族、役員が経営する会社との取引の有無を、取引先の一覧から確かめる

  4. 監事と会計士に共有する

    注記の案を監事監査と(外部監査を受ける園は)会計士の監査の前に共有し、根拠の資料(規程・契約書・配分の計算)を添える

注記の案を先に作っておくと、監事監査でも会計監査でも質問が減ります。前年度の注記と並べて、変わった項目に印を付けてみてください。

まとめ — 変わりやすいのは引当金・セグメント・関連当事者の3つ

令和7年度決算の注記は、40条の15項目を一つずつ「該当の有無」と「書く内容」で確かめれば、園法人でも難しくありません。引当金の計上基準、セグメント情報と配分基準、関連当事者との取引の3つが、前年度と変わりやすい項目です。注記の点検表の作り方や配分基準の決め方は、無料相談でお話しください。あなたの園の去年の注記に、今年変える項目はいくつあるでしょうか。

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※免責事項: 本コラムは一般的な情報のご提供を目的とするもので、個別の事案に対する助言ではありません。内容は執筆時点の法令・通知等にもとづいており、その後の改正などにより現在の取り扱いと異なることがあります。正確な記載に努めていますが内容を保証するものではなく、本コラムの情報にもとづいて行われたご判断について、当事務所は責任を負いかねます。実際の手続きやご判断にあたっては、公認会計士等の専門家にご相談ください。

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