監査の先生がご高齢になってきた、いまの監査にどこか納得がいかない — そんな思いを抱えながら、誰にも相談できずにいる理事長・園長は少なくありません。この記事では、園監査の会計士を交代するときの時期・段取り・園がすることを、順を追って説明します。

この記事の要点

  • 交代のタイミングは年度替わりが基本。ただし相談は時期を問わず早いほどよい
  • 園がすることは少ない。前任の先生との引き継ぎ作業は基本的に発生しない
  • 相談の段階で現在の先生に知られることはない。決めるのは納得してからでよい

会計士の交代は、めずらしいことではない

園の監査は、開園や制度移行のときにお願いした先生に、そのまま長く続けてもらっている園がほとんどです。長いお付き合いには良さがある一方、先生の引退が近づいたり、対応への不満が積み重なったりしても、「ほかに頼める人を知らない」という理由だけで続いているケースもよくあります。

会計士による監査は、園と監査人との契約にもとづくものです。契約である以上、相手を選び直すことは園の正当な判断であり、実際に交代は行われています。義理を感じて言い出せないまま、監査への不満を園が抱え続ける必要はありません。

タイミングは「年度替わり」が基本

園の監査は年度 (会計年度) を単位として行われるため、交代は年度の切れ目で行うのが基本です。年度の途中で監査人が替わると、その年度の監査の責任範囲があいまいになるからです。

ただし、ご相談はいつでも構いません。むしろ、次の年度が始まる前に「次はどうするか」を落ち着いて考えられるよう、早めに動き出すほど選択肢が増えます。ご高齢の先生の引退が視野に入っているなら、実際に監査が受けられなくなる前に、後任探しを始めておくのが安全です。

交代の段取りは、おおむね5歩

  1. 相談する — 新しい候補の会計士に、園の状況と現在の監査への思いを話す
  2. 面談・見積り — 園の類型・施設数・利用定員などを伝え、監査報酬の見積りを受け取る
  3. 比較して決める — 現在の監査と、費用・対応・専門性を見比べて判断する
  4. 現在の先生に伝える — 契約満了のタイミングで、次年度から交代する旨を伝える
  5. 新しい監査の準備 — 新しい会計士が園へのヒアリングを通じて監査の計画を立てる

このうち園にしかできないのは 4) だけです。伝え方に迷う場合は、どんな形が円満かも含めて、新しい会計士に相談して構いません。

園がすること・しなくてよいこと

交代にあたっての園の作業
作業園がするか
新しい会計士への相談・面談する (電話やオンラインでも可)
現在の先生への交代の連絡する (契約満了のタイミングで)
前任の先生との引き継ぎ作業基本的に発生しない
これまでの監査資料の整理不要 (これまでどおり保管していればよい)
新しい監査のための資料準備最小限 (新しい会計士が一覧で案内する)

前任の先生から後任へ監査調書を引き継ぐ、といった作業は基本的にありません。これまでの監査がどのように進んでいたかは、園のみなさまへのヒアリングと、園がお持ちの決算資料から新しい会計士が把握します。顧問税理士の先生がいる園なら、税理士の先生との連携でさらにスムーズになります。

顧問税理士の先生を通じて探す方法もある

園には監査の会計士とは別に、税務顧問の税理士がついていることが多くあります。「監査の先生を替えたいが、どう探せばいいか分からない」というとき、日ごろから園の数字を見ている顧問税理士に相談するのは自然な方法です。税理士は職業上のつながりから、園監査を引き受けられる会計士を探しやすい立場にいます。

Q. 相談したことが、現在の先生に伝わりませんか。

伝わりません。公認会計士には法律上の守秘義務があり、ご相談やお見積りの内容を第三者に話すことはありません。相談したからといって交代を決める必要もなく、比較した結果「いまのまま続ける」という結論でも構いません。

Q. 交代すると、監査の費用は上がりませんか。

施設型給付を受ける園であれば、監査報酬は公定価格の「外部監査費加算」の範囲内に収まるのが一般的です。弊所の場合、監査報酬は基本的に外部監査費加算と同額とし、現在の報酬より高くなることはありません。