ささき公認会計士事務所 幼稚園・認定こども園の監査専門 無料相談

施設等利用給付(無償化)の会計処理 — 償還払いと法定代理受領で、園の収入の相手先・科目・計上の時期はどう変わるか

「預かり保育の無償化分は、園の収入としてどう処理するのか」— 1号認定の子どもの預かり保育などに対する無償化は、施設型給付とは別の「施設等利用給付」で行われます。市町村が保護者に支給する給付ですが、支払方法が償還払いか法定代理受領かで、園が受け取る相手先と会計処理が変わります。園の会計での置き方を、こども家庭庁の資料と法律から整理しました。

この記事の要点

  • 施設等利用給付は、施設等利用給付認定を受けた保護者に対する給付で、預かり保育の施設等利用費は利用日数×450円の限度額と実際の利用料の少ない方(月額1.13万円まで)。支払方法は市町村が定め、特定教育・保育施設については法定代理受領が原則
  • 償還払いなら、園は保護者から利用料の全額を受け取り、保護者があとで市町村から施設等利用費を受ける。園の収入は保護者からの利用料だけで、給付は園の会計に出てこない
  • 法定代理受領(園が市町村から受け取る形)なら、園は保護者から給付分を差し引いた額を受け取り、給付分は市町村からの入金として計上する。相手先が2つに分かれ、市町村分は請求から入金までの未収を管理する

施設等利用給付とは — 施設型給付とは別の給付

令和元年10月の無償化で、幼稚園の預かり保育や認可外保育施設などの利用料についても、保育の必要性の認定を受けた子どもを対象に無償化が行われることになりました。この無償化は子ども・子育て支援法の「子育てのための施設等利用給付」で行われ、施設等利用給付認定を受けた保護者に施設等利用費が支給されます(子ども・子育て支援法30条の11)。

施設型給付を受ける園にとって関わりが深いのは、1号認定の子どもの預かり保育です。保育の必要性の認定を受けた場合、幼稚園の利用に加えて、利用の実態に応じて月額1.13万円までの範囲で預かり保育の利用料が無償化の対象になります。支給額は、利用日数に日額450円を掛けた限度額と実際に支払った利用料の少ない方です(満3歳になった日から最初の3月31日までの住民税非課税世帯は上限が1.63万円)。

支払方法による園の会計処理の違い(預かり保育の利用料)
項目償還払い法定代理受領(園が市町村から受け取る)
保護者から受け取る額利用料の全額利用料から給付分を引いた額
市町村から受け取る額なし(保護者が受け取る)給付分(施設等利用費)
園の収入の科目保護者からの利用料の科目だけ保護者分と市町村分を分けて計上
計上の時期利用料を請求する時保護者分は同じ。市町村分は請求に基づき計上し、入金までは未収入金(手引により預り金経由)
園の事務保護者の申請に必要な領収証と利用の実績を証明する書類を渡す市町村へ請求書と利用の実績を提出する

償還払いの場合 — 園の会計は変わらない

償還払いでは、園は保護者から利用料の全額を受け取り、保護者が市町村へ申請して施設等利用費を受け取ります。園の収入は保護者からの利用料だけで、給付は園の会計に出てきません。園の役割は、保護者の申請に必要な領収証や利用の実績を証明する書類を渡すことです。

ただし、市町村によっては、償還払いでも園が保護者に代わって市町村へ請求・受領し、後日保護者へ返す運用があります。その場合は預り金として処理し、園の収入には計上しません。

保護者の側では、いったん立て替える負担が生じます。一定の期間をまとめて償還する運用のこともあるため、園は保護者からの問い合わせに答えられるよう、利用料の明細と受け取った日を記録に残しておきます。

法定代理受領の場合 — 相手先が2つになる

法定代理受領(園が市町村から受け取る形)では、園は保護者から給付分を差し引いた額を受け取り、給付分は園が市町村に請求して受け取ります。こども家庭庁の資料では、施設等利用費の支払方法について、特定教育・保育施設については法定代理受領を原則とし、認可外保育施設等については償還払いを基本としつつ市町村が地域の実情に応じて法定代理受領とすることもできるとされています。園が市町村から直接受け取るこの方法を、こども家庭庁の説明資料では「現物給付」と書いています。支払方法は園児が住む市町村ごとに決まるため、同じ園でも償還払いと法定代理受領が混在することがあります。

会計では、保護者からの利用料と市町村からの施設等利用費を分けて計上します。市町村分は請求した月に収入として計上し、入金までは未収入金として貸借対照表に載ります。年度末に請求済みで未入金の分があれば、資金収支計算書では期末未収入金として収入の部の控除科目に記載します(学校法人会計基準37条)。

ただし、所轄庁の手引によっては、市町村からの入金を保護者の利用料の代理受領として預り金で受け、利用料が帰属する月に収入へ振り替える処理を求めることがあります。どちらの処理かは、園の所轄庁の手引で確かめます。

法定代理受領の預かり保育の月次の流れ

  1. 利用の実績をまとめる

    子どもごとの利用日数・時間と利用料を集計し、給付の対象と額(認定の有無・利用日数×450円の限度額と利用料の少ない方・月額1.13万円の上限。満3歳になった日から最初の3月31日までの住民税非課税世帯は1.63万円)を当てはめる

  2. 保護者に請求する

    利用料から給付分を引いた額を請求し、給付分の内訳を明細に示す

  3. 市町村に請求する

    市町村の様式で施設等利用費を請求し、請求額を未収入金として記録する

  4. 入金を照合する

    市町村からの入金を請求額と照合し、差があれば理由(認定の変更・上限超過など)を確かめる

まとめ — 「誰から入るお金か」で科目を分ける

施設等利用給付の会計処理は、支払方法が償還払いか法定代理受領かで決まります。償還払いなら園の会計は利用料だけ、法定代理受領なら保護者分と市町村分を分け、市町村分の未収を管理します。科目は所轄庁の手引に合わせ、保護者分と市町村分を照合できる形で持つことが要点です。あなたの園の市町村は、どちらの方法でしょうか。科目の置き方や請求と入金の照合の仕組みは、無料相談でお話しください。まずは直近3か月の預かり保育の請求と入金を並べてみてください。

ご相談・お見積りは無料です。現在の先生に知られることはありません。

交代のご相談 (無料・守秘義務あり)

※免責事項: 本コラムは一般的な情報のご提供を目的とするもので、個別の事案に対する助言ではありません。内容は執筆時点の法令・通知等にもとづいており、その後の改正などにより現在の取り扱いと異なることがあります。正確な記載に努めていますが内容を保証するものではなく、本コラムの情報にもとづいて行われたご判断について、当事務所は責任を負いかねます。実際の手続きやご判断にあたっては、公認会計士等の専門家にご相談ください。

お知らせ・コラムの一覧へ戻る