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賞与引当金 — 改正学校法人会計基準で園が計上するときの考え方と、計算書類での見え方

「令和7年度の決算から賞与引当金を計上するように言われたが、何をどう計算するのか」— 改正学校法人会計基準(令和7年度から適用)は、退職給与引当金以外の引当金についても計上の決まりを明文化しました。夏の賞与のうち前年度の勤務に対応する分を負債として見積もる賞与引当金が、その代表です。考え方、計算の型、計算書類での見え方を、省令と文部科学省の通知から整理しました。

この記事の要点

  • 引当金は、会計年度の末日に、将来の事業活動支出の合理的な見積額のうち当年度の負担に属する金額を事業活動支出として繰り入れて計上する(学校法人会計基準11条2項)。文部科学省の通知は、発生が当年度以前の事象に起因し、発生の可能性が高く、金額を合理的に見積もれる場合に計上するという条件を示している
  • 賞与引当金は、翌年度に支給する賞与のうち支給対象期間が当年度に属する分の見込額。6月賞与の対象期間が12月〜5月なら、12月〜3月の4か月分を3月末に計上する
  • 初めて計上する令和7年度の期首時点で発生していた分は、特別収支の「その他の特別支出」に「(何)引当金特別繰入額」などの小科目を設けて処理できる。引当金の計上基準は注記する(40条1号)

引当金の決まり — 4つの条件と「当年度の負担分」

学校法人会計基準11条2項は、退職給与引当金のほか、引当金について、会計年度の末日において将来の事業活動支出の発生に備えて、その合理的な見積額のうち当該会計年度の負担に属する金額を事業活動支出として繰り入れることにより計上した額を付すと定めています。

文部科学省の通知(令和7年3月27日)は、将来の特定の事業活動支出であって、その発生が当該会計年度以前の事象に起因し、発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積もることができる場合には、当該会計年度の負担に属する金額を事業活動支出として引当金に繰り入れ、負債性のある引当金については残高を貸借対照表の負債の部に計上するとしています。賞与は教職員が当年度に働いた対価として翌年度に払うものなので、この4つの条件に当てはまります。

賞与引当金を計上するかどうかの判断
条件賞与引当金での見方
将来の特定の事業活動支出か翌年度に支給する賞与。支給の定めが就業規則や給与規程にある
当年度以前の事象に起因するか支給対象期間のうち当年度に属する勤務に対応する
発生の可能性が高いか毎年支給しており、翌年度も支給する見込みがある
金額を合理的に見積もれるか支給見込額を対象期間の月数で按分できる

計算の型 — 支給見込額を対象期間で按分する

賞与引当金の見積りの3段階

  1. 支給見込額を決める

    翌年度の夏の賞与の支給見込額(基本給 × 支給月数など、園の規程に沿った額)を教職員ごとに出す

  2. 当年度に属する月数で按分する

    支給対象期間のうち当年度に属する月数を対象期間の月数で割った割合を掛ける

  3. 所定福利費の扱いを決める

    賞与にかかる社会保険料や私学共済の掛金の園負担分を含めるかを園の規程と実績で決め、毎年同じ方法で続ける

計算書類での見え方 — 負債の部、事業活動支出、注記

貸借対照表では、賞与引当金の残高を負債の部に載せます。事業活動収支計算書では、当年度の繰入額を人件費の中に「賞与引当金繰入額」のような小科目を設けて事業活動支出にする形が考えられます(科目の設定は所轄庁の手引に沿います)。翌年度に支給した賞与は、引当金を取り崩した分を除いた額が翌年度の人件費です。

引当金の繰入額は資金の動きを伴わないため、資金収支計算書や人件費支出内訳表には表れません。資金収支の側には、支給した年度に人件費支出として載ります。

初めて計上する令和7年度には、期首時点で発生していた分(令和6年度の勤務に対応する分)の扱いが問題になります。通知では、令和7年度の期首時点で発生している引当金を令和7年度の貸借対照表に計上する場合、令和7年度の事業活動支出として引当金に繰り入れる金額は、事業活動収支計算書の「特別収支」の大科目「その他の特別支出」に「(何)引当金特別繰入額」などの小科目を設けて処理することができるとしています。

園の実務での置き方 — 一覧と規程を先に用意する

1法人1園の法人では、教職員の数と賞与の規程が明確なので、見積りの手間は大きくありません。決算の前に、翌年度の賞与の支給見込額の一覧(教職員ごと)と対象期間の定めを用意しておけば、期末の仕訳は1本で済みます。監事監査や会計監査では、見積りの根拠(規程・一覧・按分の計算)をそのまま示せる形にしておくと説明が早く終わります。

賞与を支給しない年や、支給額が業績で大きく変わる園では、発生の可能性や見積りの合理性の判断が分かれます。規程に支給の定めが無い場合は、計上しないという判断もありえます。あなたの園の給与規程には、賞与の支給時期と対象期間が書かれているでしょうか。

また、会計監査人を置かない知事所轄の学校法人には、小規模法人の会計処理の簡略化を認める国の通知が引き続き適用されます(文部科学省の通知(令和7年3月27日)第七)。その簡略化のもとで引当金を設けずに支給時の人件費支出としてきた園は、賞与引当金を設けるかどうかを所轄庁の手引に沿って決め、選んだ方針を注記します。

まとめ — 4つの条件・按分の型・初年度の扱い・注記

賞与引当金は、翌年度に払う賞与のうち当年度の勤務に対応する分を、期末に負債として見積もる処理です。4つの条件に当てはまるか、按分の型、初年度の特別支出の扱い、注記の4点を押さえれば、園の決算でも難しい処理ではありません。規程の読み方や初年度の処理で迷う点は、無料相談でお話しください。まずは翌年度の賞与の支給見込額と対象期間を一覧にしてみてください。

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※免責事項: 本コラムは一般的な情報のご提供を目的とするもので、個別の事案に対する助言ではありません。内容は執筆時点の法令・通知等にもとづいており、その後の改正などにより現在の取り扱いと異なることがあります。正確な記載に努めていますが内容を保証するものではなく、本コラムの情報にもとづいて行われたご判断について、当事務所は責任を負いかねます。実際の手続きやご判断にあたっては、公認会計士等の専門家にご相談ください。

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