「監査を入れたいが、費用の分だけ園の持ち出しが増えるのは避けたい」— この心配には、制度上の答えがあります。この記事では、外部監査費加算と監査報酬の関係を整理し、「実質負担なし」がどういう仕組みで成り立つのかを説明します。
この記事の要点
- 外部監査費加算は、外部監査の費用を賄うために公定価格に設けられた加算
- 監査報酬が加算の金額の範囲内なら、園の実質的な持ち出しはゼロになる
- 加算は年1回、3月分の給付費に上乗せ。報酬の支払時期との時間差だけ理解しておく
「実質負担なし」の意味
外部監査費加算は、施設型給付を受ける幼稚園・認定こども園が公認会計士等の外部監査を受けたときに、公定価格へ上乗せされる加算です。つまり監査の費用は、園の持ち出しではなく制度が手当てする建付けになっています。
このため、監査報酬が加算の金額の範囲内に収まっていれば、差し引きでの園の負担はありません。これが「実質負担なしで監査が受けられる」ということの意味です。
数字で確かめる — 定員60人の認定こども園の例
令和8年度の単価で、利用定員60人・3月の利用こども数60人の認定こども園を考えます。
- 定員60人の単価は7,500円/人
- 加算の年額は 7,500円×60人=450,000円
- 監査報酬が年45万円以内なら、園の実質負担は0円
弊所の監査報酬は、基本的に外部監査費加算と同額でお願いしています。この形なら、報酬と加算がちょうど打ち消し合い、園の規模がどうであれ実質負担は生じません。
気を付けたいのは「お金の入る時期」
加算は毎月に分かれて入るのではなく、年1回・3月分の施設型給付費にまとめて上乗せされます。監査報酬の支払時期が加算の入金より先に来る場合は、その間だけ立て替えのような形になります。
年度の資金繰り表に「3月に加算が入る」ことを書き込んでおけば、この時間差で慌てることはありません。監査の契約時に、報酬の支払時期をどう設定するかを会計士と相談しておくのもよい方法です。
加算の金額が変わる場合
加算の金額は3月時点の利用こども数に連動するため、こどもの数が減れば加算も減ります。報酬を固定額で契約していると、こども数の減少で「報酬が加算を上回る」逆転が起きることがあります。
報酬を加算と同額とする弊所の形なら、加算が減れば報酬も同じだけ下がるので、逆転そのものが起きません。すでに監査を受けている園も、報酬と加算の関係を一度見直してみる価値があります。
Q. 私学助成の幼稚園でも同じことができますか。
外部監査費加算は施設型給付の加算のため、私学助成のままの園には付きません。この場合の監査費用は園の負担となります。施設型給付への移行を考える際は、この加算の存在も判断材料に入れてください。
Q. 加算より安い報酬なら、差額は園のものになりますか。
なります。加算は使途を精算する補助金ではなく公定価格の一部なので、報酬が加算を下回っても返還は生じません。ただし極端に安い監査は、監査として十分な作業が行われるのかという別の確認が必要です。