長年お世話になってきた監査の先生がご高齢になり、「いつまでお願いできるのだろう」と内心気になっている — 口には出しにくいこの心配は、多くの園に共通するものです。この記事では、後任探しを始める時期の目安と、早く動くほど楽になる理由を説明します。

この記事の要点

  • 交代は年度替わりが基本。逆算すると、動き出しの目安は交代したい年度の前年の秋
  • 「先生が監査できなくなってから」では遅い。監査が途切れると外部監査費加算も受けられない
  • 早く動く=すぐ交代する、ではない。相談と比較だけ先に済ませておく形でよい

「まだ大丈夫」がいちばん危ない

監査の先生の引退は、ある日突然やってきます。体調の問題で急に監査を続けられなくなった、事務所を畳むと年明けに告げられた — こうなってから後任を探し始めると、選択肢を比べる時間がないまま、紹介された先に決めるしかなくなります。

年度の途中で監査人が替わるのは、その年度の監査の責任範囲があいまいになるため避けたいところです。つまり実際に選べる交代のタイミングは年に1回、年度替わりだけ。1回逃すと次は1年後です。

動き出しの目安は「前年の秋」

年度替わりの交代から逆算すると、無理のない段取りは次のようになります。

交代までの逆算スケジュール (4月からの新体制の場合)
時期すること
秋 (9〜11月)候補の会計士に相談。園の類型・利用定員・施設数を伝える
冬 (12〜1月)面談と見積り。現在の監査と費用・対応を見比べる
2〜3月交代を決めたら、契約満了のタイミングで現在の先生に伝える
4月〜新しい会計士がヒアリングを通じて監査計画を立てる

このとおりでなくても交代はできますが、秋に動き出すと各段階に十分な時間を取れるため、園の負担がいちばん軽くなります。先生の引退がまだ先でも、「いつ引退されても困らない状態」を先に作っておくことに意味があります。

監査が途切れると、加算も途切れる

施設型給付を受ける園にとって、監査の空白は費用の問題にも直結します。外部監査費加算は外部監査を受けた場合に付く加算なので、後任が見つからず監査を受けられない年度は、加算も受けられません。

監査そのものが途切れることは、自治体や金融機関からの信頼という面でも避けたいところです。後任探しは「先生に申し訳ないから」と先送りするほど、園自身のリスクが積み上がっていきます。

相談だけ先に済ませておく、でよい

早く動くことは、いますぐ交代することを意味しません。候補の会計士に園の状況を話し、見積りを受け取り、「いざというときはここに頼める」という状態を作っておくだけでも、後任探しの大部分は終わっています。

比較した結果、「現在の先生に最後までお願いし、引退のタイミングで替わる」という結論でもまったく構いません。決めるのは納得してからでよいのが、早く動くことの利点です。

Q. 相談したことが、現在の先生に伝わりませんか。

伝わりません。公認会計士には法律上の守秘義務があり、ご相談やお見積りの内容を第三者に話すことはありません。ご相談の段階で園名を伏せていただいても差し支えありません。

Q. 後任はどうやって探せばよいですか。

園監査を引き受けている会計士に直接相談する方法のほか、園の顧問税理士に探してもらう方法があります。日ごろから園の数字を見ている税理士は、職業上のつながりから園監査を引き受けられる会計士を探しやすい立場にいます。