学校法人の会計では、予算は「作って終わり」の書類ではありません。この記事では、年度の途中で予算と実際がずれてきたときに補正予算をどう組むかを、私立学校法・寄附行為作成例・学校法人会計基準の定めをもとに整理します。
予算と決算がずれたとき — 補正予算書の作りどきと出し方
この記事の要点
- 予算と事業計画は理事会が決め、変更するときも同じ手続きを踏む。実際とずれたら予算の側を直すのが補正予算
- 決算では決算の額を予算の額と対比して載せる。大科目の単位で説明の要るずれかどうかが判断のものさし
- 補正した予算書と議事録は所轄庁の定めに従って提出する。決算までためない
なぜ学校法人は予算を重んじるのか
園の収入は施設型給付費や保育料といった見通しを立てやすい項目が中心で、支出は年度の初めに立てた計画に沿って動きます。私立学校法は、学校法人は「毎会計年度、予算及び事業計画を作成しなければならない」と定め(99条)、「予算及び事業計画の作成又は変更」は理事会が理事に任せられない決定事項で、決める前に評議員会の意見を聴くとしています(36条)。予算は理事会・評議員会の場で決める園の1年のお金の計画であり、決算はその計画どおりに運営できたかを確かめる答え合わせです。
だからこそ、決算のときに予算との大きなずれが説明できないと、計画の立て方そのものを問われます。ずれに気付いた時点で予算の側を直しておく — それが補正予算です。文部科学省の寄附行為作成例(都道府県知事所轄学校法人向け)も、予算と事業計画は理事会で決議し、「これに変更を加えようとするときも、同様とする」としています(51条)。
補正予算を組むのはどんなとき
「差は出ているけれど、補正するほどだろうか」— そう迷う場面は多いのではないでしょうか。学校法人会計基準は、事業活動収支計算書に「当該会計年度の決算の額を予算の額と対比して記載する」ことを求めています(26条・28条)。決算書を開けば、予算との差が科目ごとに見える形になっている、ということです。
たとえば、預かり保育の利用が想定より増えて人件費が大きくふくらんだ、給付費の単価改定で収入が複数の科目にわたって動いた、といった場合が補正の出番です。
出しどき — 決めたら早めに、決算とはまとめない
補正は園の中の手続きで終わりではありません。私立学校振興助成法は、補助金を受ける学校法人に「収支予算書を作成しなければならない」とし、毎会計年度終了後3か月以内に計算書類と翌年度の収支予算書を所轄庁に提出することを求めています(14条)。年度の途中で補正した予算書をいつ・どの書類を添えて出すかは所轄庁の定めによります。決めたら早めに出す運用にしておくと、決算の報告と重なって抜けるのを防げます。手元に置いたままの補正予算書がないか、一度確かめてみましょう。
| 場面 | すること |
|---|---|
| 大科目で説明の要る差が出た | 補正予算書を作り、評議員会の意見を聴いたうえで理事会で決議する |
| 補正を決めた | 議事録を添えて、所轄庁の定めに従い早めに提出する |
| 差が小さい | 補正せず、決算の予算対比で説明できる範囲にとどめる |
ずれに早く気付く仕組みを持つ
補正のいちばんの難所は、組むこと自体ではなく「ずれに気付くのが遅い」ことです。月次で試算表と予算を見比べる習慣があれば、年度の早い段階で差の芽に気付けます。
何月の時点でどの科目がどれくらいずれていたら動くか、園の中で決めておきませんか。基準を先に決めておけば、担当者が1人で抱え込まずに済みます。
※補正予算書の提出のしかたは所轄庁(都道府県)の定めによります。実際の運用は園の所轄庁の手引・通知で確かめてください。
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