ささき公認会計士事務所 幼稚園・認定こども園の監査専門 無料相談

よくある会計処理の誤り — 園の決算で毎年見つかる4つの

園の決算で見つかる会計処理の誤りは、実は毎年だいたい同じ型に収まります。この記事では、幼稚園・認定こども園の計算書類でよく見つかる誤りを4つの型に整理し、正しい処理の考え方を示します。

この記事の要点

  • 誤りの大半は「打ち消し合い」「計上漏れ」「区分のあいまいさ」「年度の区切り」の4つの型
  • どれも悪意のない、日常の処理の流れで自然に起きるもの。型を知っていれば防げる
  • 迷ったら省令(学校法人会計基準)・国の通知・公認会計士協会の指針に立ち返る。園の判断だけで決めない

型1 — 収入と支出を打ち消し合ってしまう

給食費のように、保護者から集めて業者に支払うお金は、差し引きゼロに近いため「収入にも支出にも載せない」処理をしたくなります。

しかし学校法人会計では、給食などの補助活動に係る収入は総額で表示するのが原則です。学校法人会計基準は「計算書類に記載する金額は、総額をもつて表示するものとする」と定め、預り金など経過的な収入と支出、それに食堂など教育活動に付随する活動の収入と支出については純額表示を選べるとしています(4条)。

純額を選ぶ場合の相殺の範囲は、日本公認会計士協会の実務指針(学校法人委員会実務指針第22号)が定めています。「貸借対照表科目については、純額表示することができない」といった決まりがあり、好きなように差し引けるわけではありません。

集めた額は収入、支払った額は支出として、両方をそのまま載せます。差し引きで消してしまうと、園の活動の規模が計算書類から見えなくなるためです。

型2 — 現物でもらったものを計上しない

卒園記念品や備品を現物で寄付されたとき、お金が動かないので何も記録しない — これも典型的な計上漏れです。

現物の寄付は、お金の動きがなくても事業活動収支計算書に載せます。学校法人会計基準の記載科目には「現物寄付」があり、施設設備以外の現物資産等の受贈額を教育活動収支に、施設設備の受贈額を特別収支に計上します。日本公認会計士協会の研究報告(学校法人委員会研究報告第31号)も、「貯蔵品、固定資産に計上しない機器備品、雑誌等の受入れのように施設設備以外の受贈は「教育活動収支」の「現物寄付」として計上する」と整理しています。受け入れた物品を使えば、その分は消耗品費などの支出として計上するので、収入と支出の両方が載る形になります。

備品に当たる現物寄付なら、固定資産への計上もあわせて必要です。

型3 — 固定資産と消耗品の区分があいまい

同じような備品が、ある年は固定資産、ある年は消耗品費と、処理がぶれる型です。

区分の出発点は園の経理規程に基準を定めておくことです。学校法人会計基準の別表は、有形固定資産を「貸借対照表日後1年を超えて使用される資産」と定めるだけです。国の省令・通知は備品の金額の線を具体的な円で示していないため、いくら以上を固定資産にするかは園が経理規程で定めます。

机や椅子、書架、ロッカーのように1個の値段は小さくても数がまとまる資産 (少額重要資産) は、国の通知(昭和49年2月14日文管振第62号)が金額にかかわらず「固定資産として管理し、かつ、基本金設定の対象とする」と示している点も見落としがちです。この機会に、園の経理規程の金額基準と少額重要資産の範囲を確かめてみてください。

型4 — 年度の区切りがずれる

秋に受け取る翌年度分の入園料を今年度の収入のまま決算してしまう、年度末に未納だった保育料を収入に立てない、という「どの年度のお金か」のずれです。

この型は監査の指摘としても最も多いもので、直し方は別の記事で詳しく書いています。決算のときに「このお金はどの年度の分か」で締める、の一言に尽きます。

誤りの型と正しい処理の一覧

よくある誤りと正しい処理
ありがちな処理正しい処理
打ち消し合い給食費を収支どちらにも載せない収入・支出とも総額で表示
計上漏れ現物寄付を記録しない現物寄付と対応する支出・資産を両建てで計上
区分のあいまいさ備品と消耗品が年によってぶれる経理規程に金額と耐用年数の基準を定める
年度の区切り翌年度分の入園料が今年度の収入前受金・未収入金で年度に合わせて振り替え

迷ったら公的な資料に立ち返る

ここで挙げた型の根拠は、省令である学校法人会計基準、国 (文部科学省) の通知、日本公認会計士協会の実務指針・研究報告で確かめられます。

知事所轄の学校法人の会計は学校法人会計基準に従い、所轄庁 (都道府県) が手引で提出先ごとの細部を示していることがあります。会計処理の根拠はまず国の基準・通知・協会の指針で確かめ、所轄庁の手引は提出先の指示として参照するのが安心です。

ご自身の園の処理に、思い当たる型はなかったでしょうか。園の中の「昔からこうしている」だけで決めず、迷った処理は資料と専門家で裏を取るのが、結局いちばんの近道です。

ご相談・お見積りは無料です。現在の先生に知られることはありません。

交代のご相談 (無料・守秘義務あり)

※免責事項: 本コラムは一般的な情報のご提供を目的とするもので、個別の事案に対する助言ではありません。内容は執筆時点の法令・通知等にもとづいており、その後の改正などにより現在の取り扱いと異なることがあります。正確な記載に努めていますが内容を保証するものではなく、本コラムの情報にもとづいて行われたご判断について、当事務所は責任を負いかねます。実際の手続きやご判断にあたっては、公認会計士等の専門家にご相談ください。

お知らせ・コラムの一覧へ戻る