「基本金って結局なんですか」— 学校法人会計の説明で、いちばん多くいただく質問です。この記事では、企業会計にはないこの科目の考え方を、園の実務の言葉でかみ砕きます。
基本金とはなにか — 学校法人会計でいちばん質問の多い科目をかみ砕く
この記事の要点
- 基本金は、園を続けるために手放せない元手 (校舎・園舎・設備など) に色を付けて区分したもの
- お金の貯金ではない。「使ってよい成果」と「維持すべき元手」を分けるための仕組み
- 事業活動収支計算書の「基本金組入額」が分かると、収支差額の読み方が変わる
基本金は「貯金」ではない
基本金という名前から、園がどこかに積み立てている預金を想像される方が多いのですが、そうではありません。
基本金は、園を続けていくために維持しなければならない元手に、会計上の色を付けたものです。園舎や園庭、設備 — これらは園の活動に欠かせない財産で、売って使うわけにはいきません。学校法人会計は、この「手放せない部分」を基本金として純資産の中で区分します。
家計に例えるなら、「持ち家の分は使えるお金として数えない」という仕分けに近い発想です。
なぜこんな仕組みがあるのか
企業は、利益を配当として外に出せます。一方、学校法人は教育を続けることが目的で、財産は次の年度の教育のために維持されなければなりません。
そこで学校法人会計は、活動の成果を計算する前に、教育を続けるのに必要な元手をまず確保する (基本金に組み入れる) という順番を取ります。この「維持が先、成果はその後」という発想こそが、基本金の存在理由です。
4種類あるが、園でまず知るべきは第1号
基本金には第1号から第4号まで4つの種類があります。園の実務でまず押さえたいのは次の2つです。
| 種類 | 中身 |
|---|---|
| 第1号基本金 | 園舎・園庭・設備など、教育に使う固定資産の取得額に対応する部分。金額のほとんどはここ |
| 第4号基本金 | 運営に恒常的に必要な運転資金として保持すべき部分 |
第2号 (将来の固定資産の取得に備える部分)・第3号 (基金として運用する部分) は、該当のある法人だけが使います。園舎の建て替えを計画するときに第2号が登場する、と覚えておけば十分です。
「基本金組入額」で収支の読み方が変わる
事業活動収支計算書には「基本金組入額」という行があります。園舎を建てた年や大きな設備を買った年は、この組入額が大きくなり、組入後の収支差額が赤字に見えることがあります。
これは経営が悪化したという意味ではなく、「成果の一部を元手の維持に回した」という表示です。逆に、組入前の収支差額が毎年赤字なら、元手の維持どころか日々の活動自体が収入で賄えていないことを意味し、こちらは本当の黄信号です。
組入前と組入後、どちらの行を見ているか — 計算書類の説明で混乱が起きるのは、たいていここです。
Q. 基本金に組み入れると、お金が使えなくなるのですか。
いいえ。基本金への組み入れは会計上の区分であって、預金が凍結されるわけではありません。日々の支払いはこれまでどおりです。変わるのは計算書類の見え方です。
Q. 理事会で基本金をどう説明すればよいですか。
「園舎や設備という手放せない元手の分を、成果と区別して表示している」という一言で十分です。そのうえで、組入前の収支差額がプラスかどうかを園の実力として示すと、議論がかみ合います。
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