周年行事や卒園記念で寄付を受けたとき、どの科目に入れるかは意外な迷いどころです。この記事では「用途の指定があるか」「お金か現物か」の2つで整理する考え方を、省令である学校法人会計基準の定めをもとに説明します。
寄付金の会計処理 — 用途の指定と現物寄付で変わる科目
この記事の要点
- 資金収支計算書では、用途の指定がある寄付は特別寄付金収入、指定がなければ一般寄付金収入
- 事業活動収支計算書では、施設設備のための寄付だけが特別収支に入り、それ以外は教育活動収支
- 現物の寄付はお金の出入りがないため事業活動収支だけに計上する。少額でも省略はできない
まず「用途の指定があるか」で分ける
資金収支計算書の科目は、学校法人会計基準(省令)の別表が定めています。用途指定のある寄付金は「特別寄付金収入」、用途指定のない寄付金は「一般寄付金収入」です。
分かれ目は金額の大小ではなく、寄付した人の意思です。日本公認会計士協会の実務指針(学校法人委員会実務指針第45号)も、用途指定とは寄贈者が寄付金の使いみちを明示することと整理しています。
だからこそ、何のためにいくら寄付するのかを書いた寄付申込書を受け取っておくことが、あとの科目判断の根拠になります。
事業活動収支は「施設設備のためか」で分ける
同じ寄付でも、事業活動収支計算書では区分のものさしが変わります。同じ別表が、特別収支の「施設設備寄付金」を施設設備の拡充等のための寄付金と定め、それ以外は教育活動収支の「特別寄付金」(施設設備分を除く用途指定のある寄付金)か「一般寄付金」(用途指定のない寄付金)に入れる決まりです。
たとえば「園舎の外壁の修繕にあててほしい」という寄付なら、用途が施設設備と明確です。資金収支は特別寄付金収入、事業活動収支は特別収支の施設設備寄付金になります。
同じ用途指定でも「運動会や発表会など行事の費用にあててほしい」という寄付なら、施設設備ではないので、資金収支は特別寄付金収入のまま、事業活動収支は教育活動収支の特別寄付金です。
現物でもらったとき — 少額でも「載せない」はできない
品物での寄付は、お金の出入りがありません。そのため資金収支計算書には載せず、事業活動収支計算書にだけ「現物寄付」として計上します。別表も、施設設備の受贈額は特別収支の現物寄付、施設設備以外の現物資産等の受贈額は教育活動収支の現物寄付として科目を置いています。
受け入れる金額は、もらった時にその品物を買うとしたら通常いくらかかるか(いわゆる時価)で見積もります。贈与された資産はこの価額で評価すると、学校法人会計基準7条が定めているためです。新品の寄贈なら、購入時の請求書などが手がかりになります。
卒園記念の品のような少額の物品でも、少額だから載せない、はできません。教育活動収支の「現物寄付」として収入に計上し、固定資産にあたらない品なら支出側は消耗品費とする両建てです。園庭の遊具のように施設設備にあたる品なら、特別収支への計上と固定資産への記録になります。
| 寄付の型 | 資金収支計算書 | 事業活動収支計算書 |
|---|---|---|
| お金・施設設備のためと明確 | 特別寄付金収入 | 施設設備寄付金(特別収支) |
| お金・それ以外の用途指定 | 特別寄付金収入 | 教育活動収支の特別寄付金 |
| お金・指定なし | 一般寄付金収入 | 教育活動収支の一般寄付金 |
| 現物(施設設備) | 計上しない | 特別収支に現物寄付 |
| 現物(それ以外) | 計上しない | 教育活動収支に現物寄付 |
受けたときの一手間が、決算を楽にする
寄付のたびに申込書をもらい、用途を記録しておく。この一手間だけで、決算のときの区分の迷いはほぼなくなります。まずは昨年度に受けた寄付の記録を、申込書とセットで見返してみてください。周年行事などで寄付が増えそうな年は、受け付けの様式を先に整えておきませんか。
※小科目の細かな内訳や様式は、所轄庁(都道府県)の手引に追加の定めがあることがあります。迷う品目は監査人にもご確認ください。
ご相談・お見積りは無料です。現在の先生に知られることはありません。
交代のご相談 (無料・守秘義務あり) →※免責事項: 本コラムは一般的な情報のご提供を目的とするもので、個別の事案に対する助言ではありません。内容は執筆時点の法令・通知等にもとづいており、その後の改正などにより現在の取り扱いと異なることがあります。正確な記載に努めていますが内容を保証するものではなく、本コラムの情報にもとづいて行われたご判断について、当事務所は責任を負いかねます。実際の手続きやご判断にあたっては、公認会計士等の専門家にご相談ください。