台帳には載っているのに現物が見当たらない。現物はあるのに台帳にない。園の監査でよく見つかるこの「ずれ」について、原因と直し方を整理します。
固定資産台帳と現物が合わないとき — ずれの3つの原因と直し方
この記事の要点
- ずれの原因はほぼ3つ。捨てたのに台帳に残る / もらったのに台帳に載らない / 載せる基準がぶれている
- 直し方の柱は年1回・決算前の現物確認。全部数えず、金額の大きいものから見る
- 載せる基準の線は園の経理規程で定める。国の省令・通知に具体的な金額はなく、机・椅子などの少額重要資産だけは金額にかかわらず固定資産
台帳は「自動では」直らない
固定資産台帳は、園舎・設備・備品を買ったときには記録されます。問題はその後です。捨てたとき、壊れたとき、もらったとき — 動きのたびに人が直さない限り、台帳は現実からずれていきます。ご自身の園の台帳を現物と見比べたのは、いつが最後でしょうか。
ずれた台帳は、貸借対照表の数字の裏付けを弱らせます。監査で台帳と現物の照合が行われるのは、計算書類の数字が実在の財産に裏付けられているかを確かめるためです。
原因1 — 廃棄したのに台帳に残っている
いちばん多いずれです。壊れた遊具や古い備品を処分したのに、台帳に載り続けるケースです。
原因は手順の欠落で、捨てる場面に「台帳を直す」という動作がひも付いていないことにあります。処分する前に台帳の担当へ一声かけるという約束を園の中で決めるだけで、このずれはほぼ止まります。
原因2 — 現物でもらったものが載っていない
卒園記念品や寄贈の備品など、お金を払わずに受け取ったものは、購入の手続きを通らないため台帳への記録が抜けやすくなります。
学校法人会計基準の別表は、収入の科目として「現物寄付」を置いています。現物の寄付は、お金の動きがなくても収入と対応する支出・資産を両建てで計上します。受け取ったら金額を見積もり、台帳と帳簿の両方に載せてください。
原因3 — 載せる基準がぶれている
同じような備品が、ある年は固定資産、ある年は消耗品費 — この処理のぶれも、台帳と現物のずれの温床です。
備品を固定資産に計上する金額の線は、国の省令・通知には書かれていません。学校法人会計基準(省令)の別表は、有形固定資産を「貸借対照表日後1年を超えて使用される資産」と定めるだけです。いくら以上を固定資産にするかは園が経理規程で自ら定める形です。所轄庁(都道府県)が線の上限や目安を示している場合は、その範囲で決めます。
机や椅子、書架、ロッカーのように、1個の値段は小さくても園の運営に基本的に重要で、常にまとまった数を備えておく資産(少額重要資産)は、国の通知(昭和49年2月14日文管振第62号)が金額にかかわらず「固定資産として管理し、かつ、基本金設定の対象とする」と示している点も見落としがちです。
直し方 — 年1回、決算前の現物確認
たまったずれを一度に全部直そうとすると、途中で挫折します。現実的なのは次の順番です。
- 台帳を金額の大きい順に並べる
- 上から順に現物を確かめる (決算前に、金額の大きいものだけでも)
- 見つからないもの・使えなくなっているものは、処分の記録を残して台帳から落とす
- 台帳にない現物が出てきたら、経緯を確かめて台帳に載せる
一度整えた後は、原因1〜3の手当てを回すだけで、ずれは積み上がらなくなります。まずは金額の大きい10件だけ、台帳と現物を見比べてみてください。
線は「園の経理規程」に書いておく
いくら以上を固定資産にするかの線を経理規程に定めていないなら、これを機に書いておきましょう。所轄庁が示す上限や目安の範囲で線を決め、少額重要資産の範囲もあわせて書いておくと、翌年から処理のぶれが止まります。日本公認会計士協会の研究報告(学校法人委員会研究報告第20号)も、少額重要資産について「経理規程等に具体的な内容を明記することが望ましい」としています。
※所轄庁(都道府県)が計上基準を別に指示している場合は、その指示に従ってください。
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