秋の入園手続きで保護者から受け取るお金を、どの年度の収入にすればよいか迷っていませんか。施設型給付を受ける幼稚園・認定こども園(いわゆる新制度園)での区分ごとの科目・年度の決め方と、辞退があったときの扱いまでを整理しました。
入園料はどの年度の収入か — 施設型給付を受ける園の「入園受入準備費」と特定保育料
この記事の要点
- 新制度園では、従来の入園料のうち「入園できる地位の対価」にあたる徴収は想定されていない。入園手続時のお金は「入園受入準備費」と「特定負担額(特定保育料)」に区分する
- 入園受入準備費は手数料収入。受け取った年度(入園年度の前年度)の収入にし、前受金にしない
- 特定保育料は入園年度の収入。前年度中に受け取った分はいったん前受金にし、4月1日付で振り替える
新制度園では「入園料」の考え方が変わっている
私学助成を受ける幼稚園の入園料は「入園できる地位の対価」とされ、秋に受け取った翌年度入園児の分は前受金として翌年度へ持ち越すのが基本でした。
一方、施設型給付を受ける園では、教育・保育の基本部分の費用は公定価格でまかなわれるため、地位の対価としての入園料は徴収が想定されていません。国が自治体向けに示したFAQ(会計処理・外部監査)は、入園手続時に受け取るお金を性質で2つに分け、それぞれの処理を定めています。
| 区分 | 性質 | 科目 | どの年度の収入か |
|---|---|---|---|
| 入園受入準備費 | 入園やその準備・選考などの事務手続の対価 | 手数料収入(小科目: 入園受入準備費収入) | 受け取った年度(入園年度の前年度) |
| 特定負担額(特定保育料) | 教育・保育の質の向上の対価 | 学生生徒等納付金収入(小科目: 特定保育料収入) | 入園年度(前年度に受け取った分は前受金) |
入園受入準備費は「受け取った年度の収入」— 前受金にしない
入園受入準備費は、選考や入園手続きといった園側の事務の対価です。事務はお金を受け取る時点で済んでいるので、秋の入園手続きで受け取った分はその年度の手数料収入として計上します。
私学助成園の感覚のまま「入園に関わるお金だから」と前受金にすると、新制度園ではかえって誤りになります。新制度へ移った園でいちばん起きやすいのが、この逆方向のずれです。
特定保育料は「入園年度の収入」— 前年度に受け取ったら前受金
特定負担額(特定保育料)は入園後の教育・保育に対するお金なので、入園する年度の収入です。3月までに受け取った分は、決算ではいったん前受金として翌年度へ持ち越し、4月1日付で特定保育料収入へ振り替えます。
なお、使いみちを示した費目をまとめて「入園料」の名目で集めることもできますが、その場合も会計処理はこの区分で行います。小科目に費目を付けるときは「入園料」ではなく具体的な費目を使うこととされています。
辞退があったとき — 2つの区分で扱いが逆になる
入園辞退の連絡があったとき、どちらのお金を返すことになるのでしょうか。
- 入園受入準備費 — 事務の対価なので、原則として返しません。受け取った年度の収入のままでよく、振り替えも不要です
- 特定保育料 — 地位の対価ではないため、辞退で教育・保育の提供がなくなる以上、原則として返すことになります。年度末までに返すことが決まった分は、前受金のまま置かずに預り金へ振り替えて、返金します
年度末の未納は「未収入金」
逆向きのずれが、年度末時点で未納の特定保育料や実費(給食費など)です。まだ入金されていなくても、その年度の教育・保育に対するお金なので、未収入金として当年度の収入に計上します。
「入った分だけ収入にする」処理を続けると、未納が増えた年ほど収入が小さく見え、計算書類が園の実態からずれていきます。
決算チェックは4行で足りる
| 確かめること | 処理 |
|---|---|
| 入園受入準備費を前受金にしていないか | 受け取った年度の手数料収入のまま |
| 3月までに受け取った翌年度分の特定保育料はないか | 前受金にして、4月1日付で特定保育料収入へ振り替える |
| 辞退で返すことが決まった分はないか | 前受金から預り金へ振り替える |
| 年度末時点で未納の特定保育料・実費はないか | 未収入金として計上する |
この4行を決算の手順書に入れておけば、年度の区切りのずれはほぼ防げます。ご自身の園の直近の決算で、入園受入準備費が手数料収入に入っているか、特定保育料の前受金が動いているか、確かめてみてください。
※本記事は施設型給付を受ける園(新制度園)の処理です。私学助成のままの幼稚園では、従来どおり入園料を前受金で処理します。判断に迷う入金・返金があった年は、所轄庁の手引と監査人への確認で処理を固めてください。
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