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パート職員の私学共済への加入はどこまで広がるか — 特定学校法人等の人数要件の段階的撤廃と園の人件費

週20時間ほどで働くパートの先生や事務職員が多い園にとって、社会保険の「適用拡大」は人件費と職員の手取りに直結する話です。学校法人の園の職員が入るのは協会けんぽではなく私学共済ですが、短時間で働く職員の加入要件は、同じ年金制度改正で順に変わっていきます。令和8年10月から変わる要件を、私学共済の言葉で園の実務に当てはめて整理します。

この記事の要点

  • 短時間で働く職員が私学共済に入る(短時間労働加入者)には、週20時間以上・月額賃金8.8万円以上・学生でない・2か月を超える雇用の見込み、の4つが要る(私学事業団の案内)
  • これに加えて、法人全体で70歳未満の通常の加入者が常時50人を超える「特定学校法人等」に勤めていることが要件。通常の職員の4分の3以上働くパート職員は、法人の規模に関係なく前から加入の対象
  • 賃金8.8万円の要件は撤廃される(健康保険・厚生年金は令和8年10月の予定。私学共済への適用の時期は政令で定める予定)。人数の要件は令和9年10月に36人以上、令和11年10月に21人以上、令和14年10月に11人以上へ下がり、令和17年10月には撤廃される見込み(年金制度改正法)
  • 数えるのは法人全体の70歳未満の通常の加入者(短時間労働加入者は数に入れない)。複数の園を持つ学校法人は法人単位で見る

いまの要件 — 特定学校法人等で週20時間以上なら加入

学校法人に使用され報酬を受ける教職員は私学共済の加入者ですが、週の所定労働時間などを勘案して政令で定める短時間の人は除かれます1。私学事業団の案内では、通常の職員の4分の3未満で働く短時間の職員が「短時間労働加入者」として加入するには、週の所定労働時間が20時間以上、賃金の月額が8.8万円以上、2か月を超える雇用の見込み、学生でないこと、の4つを満たしたうえで、勤め先が「特定学校法人等」であることが要ります。所定労働時間と所定労働日数がどちらも通常の職員の4分の3以上のパート職員は、法人の規模にかかわらず以前から通常の加入者で、適用拡大とは関係なく今も入っている人たちです。

根拠:1私立学校教職員共済法14条

月額8.8万円の判定は基本給と諸手当の合計で見ますが、臨時の賃金・時間外の割増賃金・通勤手当・家族手当などは含めません。学生でも、夜間や通信制の研究科に所属する人などは対象になります(私学事業団のQ&A)。

特定学校法人等とは、学校法人単位で、70歳未満の加入者の総数が常時50人を超える学校法人等です。「常時」とは1年のうち6か月以上50人を超える見込みがある場合をいい、数えるのは通常の加入者で、短時間労働加入者は数に入れません。園を2つ以上運営する学校法人や、法人本部と園を分けて届けている法人は、法人全体で51人に届くかどうかを見てください。

50人以下の学校法人でも、労使合意に基づいて特定学校法人等になることができます(私学事業団の案内)。また、いったん特定学校法人等になった法人は、その後に通常の加入者が常時50人を超えなくなっても、原則として引き続き特定学校法人等として扱われます(私学事業団のQ&A)。70歳以上の職員も、要件を満たせば短時間労働加入者になります。

短時間労働加入者の要件と、これからの変更
要件いまこれから
週の所定労働時間20時間以上変わらない
雇う期間の見込み2か月を超える変わらない
賃金月額8.8万円以上(臨時の賃金・時間外の割増賃金・通勤手当などは除く)撤廃予定(健康保険・厚生年金は令和8年10月。私学共済への適用の時期は政令で定める)
学生でないこと学生は対象外(夜間・通信制などは対象)変わらない
勤め先の規模(70歳未満の通常の加入者の数)常時50人超(51人以上)令和9年10月に36人以上、令和11年10月に21人以上、令和14年10月に11人以上、令和17年10月に撤廃

令和8年10月 — 賃金8.8万円の要件が消える

令和7年に成立した年金制度改正法で、短時間労働者の賃金の要件は撤廃されます。日本年金機構は健康保険・厚生年金についてその時期を令和8年10月と案内しています。私学事業団も、週20時間以上働けば賃金の要件を満たす地域や事業所が増えたことを踏まえて賃金要件が撤廃されると案内しています。ただし私学共済への適用は政令で定められる予定で、賃金要件の撤廃は公布から3年以内の政令で定める日に施行されます。園では日本年金機構の案内する令和8年10月を目安に準備しつつ、私学共済の施行日は私学事業団の案内で確かめてください。

この変更で、特定学校法人等では「週20時間以上働くパート職員は賃金にかかわらず加入」という形になります。いわゆる106万円の壁が、週20時間の壁に置き換わると考えると分かりやすいでしょうか。園では、パート職員の契約上の所定労働時間が加入の分かれ目になります。

令和9年10月以降 — 園の規模でも順番に対象になる

人数の要件は段階的に下がります。日本年金機構の案内では、令和9年10月に36人以上、令和11年10月に21人以上、令和14年10月に11人以上へ広がり、令和17年10月には規模の要件そのものが撤廃されて10人以下の勤め先も対象になります。私学事業団も、同じ改正で特定学校法人等の人数要件が段階的に引き下げられると案内しています。

70歳未満の通常の加入者が36人以上の学校法人は令和9年10月から、21〜35人の学校法人は令和11年10月から対象に入る計算です(11〜20人は令和14年10月から)。「うちは小さいから関係ない」と言えるのは、あと数年の話になります。

園の準備 — 数える・洗い出す・伝える

まず、法人全体の70歳未満の通常の加入者の数を数えてみましょう。その数で、園がどの年の10月に対象になるかが決まります。

適用拡大に向けて園が進める4つのこと

  1. 加入者の数を数える

    法人全体の70歳未満の通常の加入者の数を確かめ、どの年の10月に対象になるかを見る

  2. 週20時間以上の職員を洗い出す

    契約上の所定労働時間で見る。加入を望まない職員と20時間未満の契約にするかを話す

  3. 人件費を見込む

    加入する人数分の掛金の園負担を翌年度の予算に入れる

  4. 職員へ説明する

    手取りの変化と保障の変化を、加入の半年前までに伝える

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