私学助成のまま続けるか、施設型給付 (新制度) へ移るか — 幼稚園にとって大きな分かれ道です。この記事では、移行を検討するときに知っておきたいお金の仕組みの変化と、監査・外部監査費加算の関係を整理します。
施設型給付への移行を検討する園が知っておくこと — 収入の仕組み・監査・加算
この記事の要点
- 施設型給付は、認定こども園・幼稚園・保育所等に共通の給付。市町村の確認を受けた園に財政支援が行われる
- 収入の柱が「保護者の保育料+私学助成」から「公定価格にもとづく給付」に変わる
- 移行すると外部監査費加算が使えるようになり、監査の費用を公定価格が手当てする
施設型給付とは — 市町村の確認を受けた園への共通の給付
施設型給付は、子ども・子育て支援新制度における、認定こども園・幼稚園・保育所等を通じた共通の給付です。市町村の確認を受けた施設の利用に対して財政支援が行われます。
収入の仕組みがどう変わるか
私学助成の園の収入の柱は、保護者からの保育料と、都道府県経由の経常費補助 (私学助成) です。保育料の額は園が決めます。
施設型給付に移ると、収入の柱は公定価格にもとづく給付に変わります。公定価格は国が定める単価表で、園の定員区分や子どもの人数などから園ごとの額が計算されます。園が自由に決める部分が減るかわりに、計算の根拠が公表された単価表になるため、収入の見通しは立てやすくなります。
なお保護者の負担については、令和元年10月から3〜5歳の認定こども園・幼稚園・保育所等の利用料が無償化されています。
監査の位置づけも変わる
私学助成の園の監査は、補助金を受けることとセットで法律に定められた義務です。施設型給付に移ると、この枠組みからは外れます。
かわりに使えるようになるのが、任意の外部監査と、その費用を手当てする外部監査費加算です。義務ではなくなっても、決算の信頼性を保つ手段は公定価格の中に用意されている、という関係です。
もう一つ、移行後にだけ効いてくる関係があります。国の通知では、幼稚園・認定こども園の設置者が会計について外部監査を受けている場合、軽微とは認められない指摘を受けたときを除き、外部監査の対象となっている会計は市町村の指導の対象としないことができるとされています。移行後に受けることになる指導監査で、会計の部分が省かれ得るということです。
外部監査費加算でいくら手当てされるか
外部監査費加算は、外部監査を受けた園の公定価格に年1回 (3月分) 上乗せされる加算です。加算額は定員区分ごとの単価に3月時点の利用こども数を掛けて決まります。
| 施設の類型 | 利用定員 | 3月の利用こども数 | 単価(円/人) | 加算額(年額) |
|---|---|---|---|---|
| 幼稚園 | 60人 | 58人 | 7,500円 | 435,000円 |
| 幼稚園 | 90人 | 90人 | 5,220円 | 469,800円 |
| 認定こども園 | 120人 | 115人 | 4,250円 | 488,750円 |
※単価は令和8年度の公定価格 (別表第2) によります。単価は地域区分によって変わりません。
この金額が監査報酬の水準に届く規模の園なら、実質負担のない形で外部監査を受けられます。ご自身の園ではいくらになるでしょうか。園の定員で試算できるシミュレーターを用意していますので、一度試してみてください。
移行の検討は時間に余裕を持って
施設型給付への移行は、市町村の確認を受ける手続きを伴い、収入構造・保護者への説明・事務の変化がまとめて動きます。検討から実施までは年度をまたぐ準備が必要です。
移行そのものの相談先は市町村や所轄庁ですが、移行後のお金の見通し (公定価格でいくらになるか・監査費用がどう手当てされるか) は、園の会計の専門家と早めに試算しておくと判断がぶれません。
Q. 移行したら、いまの監査の先生との契約はどうなりますか。
私学助成の監査義務は移行後の枠組みには引き継がれないため、契約を続けるかどうかは園の判断になります。外部監査費加算を使った任意の外部監査として続ける形に切り替える園もあります。
Q. 施設型給付に移ると収入は増えますか。
園の定員・地域・子どもの構成によって変わるため、一概には言えません。公定価格は公表された単価表から計算できるので、移行の検討では実際の数字での試算が欠かせません。
ご相談・お見積りは無料です。現在の先生に知られることはありません。
外部監査費加算を試算する →※免責事項: 本コラムは一般的な情報のご提供を目的とするもので、個別の事案に対する助言ではありません。内容は執筆時点の法令・通知等にもとづいており、その後の改正などにより現在の取り扱いと異なることがあります。正確な記載に努めていますが内容を保証するものではなく、本コラムの情報にもとづいて行われたご判断について、当事務所は責任を負いかねます。実際の手続きやご判断にあたっては、公認会計士等の専門家にご相談ください。