園庭の工事や備品の買い替えのたびに、経費で落としてよいのか固定資産にするのか、手が止まっていないでしょうか。この記事では、国の通知と日本公認会計士協会の指針の考え方をもとに、分かれ目を整理します。
修繕費か固定資産か — 園舎の工事・備品の科目の分かれ目
この記事の要点
- 新しく買うものを固定資産にする金額の線は、園の経理規程で定める。国の省令・通知に具体的な金額はなく、机・椅子などの少額重要資産だけは金額にかかわらず固定資産
- 直す工事は、元に戻すなら修繕費。価値を高める・耐久性を増すなら固定資産
- 固定資産に計上したものは台帳に載せ、毎年の減価償却まで一続きで管理する
新しく買うものの線 — 経理規程の金額
備品を固定資産にするか消耗品費にするかの金額の線は、国の省令・通知には書かれていません。学校法人会計基準(省令)の別表は、有形固定資産を「貸借対照表日後1年を超えて使用される資産」と定めるだけで、いくら以上を固定資産にするかは園が経理規程で定める形です。
例外が少額重要資産です。国の通知(昭和49年2月14日文管振第62号)は、机・椅子・書架・ロッカーなど、園の運営に基本的に重要で常にまとまった数を備えておく資産を、金額にかかわらず「固定資産として管理し、かつ、基本金設定の対象とする」と示しています。所轄庁(都道府県)が線の上限や目安を示している場合は、その範囲で規程の金額を決めます。
直す工事の線 — 「元に戻す」か「良くする」か
すでにある園舎や設備を直す工事は、金額ではなく工事の中身で分かれます。
日本公認会計士協会の指針(学校法人委員会研究報告第20号)は、「建物の拡張又は用途の変更等量的、質的向上に係る支出」は建物などの固定資産とし、「その建物を維持・補修するための支出」は修繕費として経費処理すると整理しています。傷んだものを元の働きに戻すための支出は、金額が大きくても修繕費になり得るということです。
| 事例 | 科目 |
|---|---|
| 老朽化した壁面を同種の塗料で塗り直す | 修繕費(現状の維持) |
| 耐震補強工事で建物の強度を増す | 固定資産(質的な向上) |
| 教室を改造して用途を変える | 固定資産(用途の変更) |
| 和式トイレを洋式に変える大がかりな改装(給排水設備や間仕切りの改修を伴う) | 固定資産(価値を高める) |
1つの工事に両方が混ざることもよくあります。迷いそうな工事は、見積書の内訳を工事の中身ごとに分けてもらっておくと、あとの判断がずっと楽になります。
どうしても判断が難しいとき
同じ研究報告は、「その区分が特に困難な場合に限り」、「税法の形式的区分基準を参考にして」線を経理規程に定めることも1つの方法だとしています。例示されているのは、1件当たりの支出金額が60万円未満なら経費とする、といった線です。
固定資産にしたら、台帳とセットで
固定資産に計上したものは、固定資産台帳に載せて減価償却を続け、処分したときに台帳から落とします。科目の判断と台帳の管理はひと続きで、監査では台帳と現物が合っているかまで確かめます。
「経費でよいか迷う支出が年に何件かある」— そうした園は、迷った事例とそのときの結論をメモに残しておくのがおすすめです。翌年から同じ迷いがなくなり、監査で理由を聞かれたときも、そのメモがそのまま説明資料になります。
Q. 10万円未満なら必ず経費にしてよいのですか。
10万円は、法人税で少額の減価償却資産を経費にできる線(取得価額10万円未満・法人税法施行令133条)として広く知られている数字ですが、学校法人会計の線はそれとは別に、園の経理規程で定めた金額です。規程がそれより低い金額で線を引いていれば規程に従います。また机・椅子のような少額重要資産は、金額にかかわらず固定資産に計上します。大事なのは決めた線を毎年同じように使うことです。
Q. 古い遊具の撤去費用はどちらですか。
撤去や取壊しの費用そのものは、新しい資産を取得する支出ではないので経費として処理します。研究報告第20号も、仮設校舎の取壊し費用を「当該仮設校舎の使途に応じて経費処理を行う」と整理しています。あわせて、撤去した遊具が固定資産台帳に載っていれば、その分を台帳から落とす(除却する)処理が要ります。新しい遊具の設置と一体の工事なら内訳を分けてもらい、それぞれの性質で判断します。
※所轄庁(都道府県)が計上の線を別に指示している場合はそれに従ってください。迷う工事は監査人にもご確認ください。
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