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園の消費税 — 非課税になる収入・課税される収入と、令和8年10月からのインボイス経過措置

「園は消費税と無縁」と思われがちですが、実際には非課税の収入と課税される収入が混ざっています。この記事では、施設型給付を受ける幼稚園・認定こども園の収入を消費税の目で仕分けし、課税事業者になる園が令和8年10月から気をつける免税事業者からの仕入れの経過措置までを整理します。

この記事の要点

  • 保育料・入園料・施設設備費など学校教育の対価と、施設型給付費の支給に係る事業として行う収入は非課税(消費税法6条・別表第二)。確認を受けた園が保護者の同意を得て実費徴収する給食代・スクールバス代も後者に含まれ、非課税
  • 課税になるのは、園が売る品物の代金、教育の対価に当たらない課外教室の受講料、舗装した駐車場の貸付など。課税売上が基準期間で1,000万円を超えると課税事業者(消費税法9条)。特定期間(前年度の前半6か月)の課税売上高か給与等支払額が1,000万円を超えても、その年度から課税事業者(タックスアンサー6501)
  • 免税事業者からの仕入れの仕入税額控除は、令和8年10月から70%、令和10年10月から50%、令和12年10月から30%、令和13年10月以降は0%に下がる

園の収入の大半は非課税 — 授業料・入園料・施設設備費

消費税は原則としてあらゆる取引を課税の対象にしますが、学校教育は社会政策的な配慮から非課税とされています。幼稚園は学校教育法に規定する学校なので、授業料・入学金及び入園料・施設設備費・入園のための検定料・在園証明などの手数料を対価とする教育の役務の提供は非課税です(消費税法6条・別表第二11号、消費税法施行令14条の5)。

施設型給付を受ける園では、これに加えて「子ども・子育て支援法の規定に基づく施設型給付費等の支給に係る事業として行われる資産の譲渡等」が、社会福祉事業に類するものとして非課税になります(消費税法別表第二7号ハ・消費税法施行令14条の3第6号、タックスアンサー6215)。市町村から入る施設型給付費も、保護者から集める利用者負担額も、この枠の中です。こども家庭庁の事業者向けFAQ(第7版)は、確認を受ける幼稚園の給食代やスクールバス代等の実費徴収に係る消費税についても「施設型給付費等の支給に係る事業として行われる資産の譲渡等」として非課税になると答えています(Q22)。

園の収入と消費税の扱い(施設型給付を受ける園の例)
収入消費税の扱い見るところ
施設型給付費・利用者負担額(保育料)非課税消費税法施行令14条の3第6号(施設型給付費等の支給に係る事業)
入園料(入園受入準備費)・施設設備費として徴収する特定負担額非課税消費税法施行令14条の5(入学金及び入園料・施設設備費)
給食代・スクールバス代・行事費の実費徴収(保護者の同意を得て徴収するもの)非課税事業者向けFAQ第7版 Q22(施設型給付費等の支給に係る事業として行われる資産の譲渡等)
園が売る品物の代金・課外教室の受講料(教育の対価に当たらないもの)課税学校が指定した参考書や問題集でも譲渡は非課税にならない(タックスアンサー6233 注3)
駐車場の貸付(舗装など施設として整備した土地)課税駐車場その他の施設の利用に伴って土地が使用される場合は非課税にならない(タックスアンサー6225)
寄付金・補助金不課税(対価ではない)

課税売上が1,000万円を超えるか — 免税事業者の

消費税を納める義務があるのは、基準期間(その年度の2年前の年度)の課税売上高が1,000万円を超える事業者です。1,000万円以下なら納税義務が免除されます(消費税法9条1項)。ただし、特定期間(前年度の開始の日から6か月の期間)の課税売上高が1,000万円を超える場合は、基準期間の判定にかかわらず納税義務は免除されません。特定期間の判定は、課税売上高に代えて給与等支払額の合計額で行うこともできます(タックスアンサー6501)。数えるのは課税売上だけで、非課税の保育料や施設型給付費、実費徴収は入りません。

そのため、教育の対価と給付費が収入の大半を占める園は、免税事業者のまま続いていることが多いはずです。一方で、園で売る品物の代金、舗装した駐車場の貸付、教育の対価に当たらない課外教室の収入が大きい園は、課税売上だけを足すと1,000万円に近づいていることがあります。

令和8年10月から変わる — 免税事業者からの仕入れの経過措置

課税事業者の園が本則課税で申告するとき、免税事業者など適格請求書発行事業者以外の相手からの仕入れは、原則として仕入税額控除ができません。ただし経過措置として、令和8年9月までは仕入れに係る消費税相当額の80%を控除できる扱いになっていました(国税庁の案内でいう「8割控除」)。令和8年10月からは下の表のとおり割合が下がります。

この経過措置は令和8年度の税制改正で見直され、期間の延長と控除割合の緩やかな引き下げになりました。園で免税事業者からの仕入れになりやすいのは、個人の講師への謝金、園庭や遊具の修理を頼む個人事業の業者、写真や制作物の個人発注などです。

免税事業者等からの仕入れの仕入税額控除(令和8年度税制改正後)
期間控除できる割合
令和5年10月〜令和8年9月80%
令和8年10月〜令和10年9月70%
令和10年10月〜令和12年9月50%
令和12年10月〜令和13年9月30%
令和13年10月以降0%(控除できない)

控除できる割合は仕入れを行った日で決まり、令和8年10月1日以後の仕入れから70%になります。1つの相手からの課税仕入れの合計額(税込)がその年度で1億円を超える場合に超えた部分へ経過措置を使えない上限は、令和8年10月1日以後に開始する課税期間から適用されます。園の規模で1億円に達することは考えにくいものの、割合の「日付」の方は令和8年10月から毎年の帳簿の区分に効いてきます。簡易課税を選んでいる課税事業者の園は、仕入税額控除を売上の消費税から計算するので、この経過措置の影響は受けません。

免税の園に関係するのは「請求書の側」

免税事業者の園には、仕入れの経過措置は関係がありません。関係があるのは園が相手に出す請求書の側で、園が適格請求書発行事業者になる義務はなく、相手が仕入税額控除を必要とする事業者かどうかで考えます。保護者は消費者なので、保育料や実費の領収書に登録番号は要りません。

課税事業者になる見込みが出てきた園は、簡易課税を選ぶかどうか、届出の期限、課税仕入れの区分の帳簿づけを、課税事業者になる年度の前に決めておくのが順番です。「うちの園は何が課税売上なのか」— そこから確かめてみてはいかがでしょうか。

Q. 預かり保育の利用料は課税ですか。

市町村の一時預かり事業(幼稚園型)として行う預かり保育は非課税です。一時預かり事業は第二種社会福祉事業に挙げられており(社会福祉法2条3項2号)、社会福祉法に規定する社会福祉事業として行われる資産の譲渡等は非課税とされているためです(消費税法別表第二7号ロ)。自園の預かり保育がどの事業として届け出ているかは、市町村への届出と確認の内容で確かめてください。

出典

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