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年度をまたぐ園舎工事の決算 — 建設仮勘定と完成後の振替を確認する

学校法人会計基準で決算を作る園で園舎工事が年度をまたぐときは、支払った金額だけで年度末の状態を決めないようにしましょう。建設仮勘定の意味と、完成した資産へ振り替えるときに確認する契約・日付・未払分を整理します。

この記事の要点

  • 建設仮勘定は、建設中又は製作中の有形固定資産。工事前払金や手付金等も含む
  • 完成・引渡し・使用開始・最終精算の日付は分けて、受け取った資産と未払分を確かめましょう
  • 資産への振替に加え、資産の評価、減価償却、借入金や未払金に関する基本金の条件も確認する

建設仮勘定は、工事中の固定資産を記録する科目

建設仮勘定は、建設中又は製作中の有形固定資産を記録する科目です。工事前払金や手付金等も含むと定められています1。

有形固定資産は、園舎や設備等、形のある長期使用の資産です。貸借対照表で使う科目は、学校法人会計基準の別表第一に定められています2。

根拠:1学校法人会計基準別表第一2同21条

工事中の支払いが、そのまま全額経費になるわけではありません。園舎の建設に充てる前払金や手付金も、工事中の資産として確認する対象です。

帳簿の建設仮勘定が何の工事に対応しているか、契約書と支払記録を並べておくことをお勧めします。契約に建設と修繕等が混在する場合は、内容を分けて会計士に確認しておきましょう。

年度末は、支払済みの額と受け取った範囲を分ける

年度末の確認は、支払一覧、契約書、工事の進行状況を並べるところから始めてみましょう。支払額と、年度末に受け取っている資産の範囲を分けて確認することをお勧めします。

検収は、完成した内容が契約どおりかを確かめることです。年度末までの完成・検収・引渡しの状況を、工事先の資料と照合しておきましょう。

取得価額は、資産を取得するための金額のことです。契約額だけでなく、追加・変更工事の内容や精算の状況も確認することをお勧めします。

年度末までに何を受け取ったか、契約と資料から確かめられるでしょうか。支払日だけで工事の状態を決めないよう、日付を整理しておきましょう。

完成後は、振替先の科目と時期を確認する

工事が完成したら、取得した資産に合う科目と、建設仮勘定から振り替える時期を確認しましょう。完成・検収・引渡し・使用開始の資料を会計士に示し、年度末までに取得した範囲と金額を確かめることをお勧めします。振替とは、工事中の科目に集めた金額を、取得した資産の科目へ移すことです。

完成・引渡し・使用開始・最終精算の日付は、そろうとは限りません。次の手順で、日付ごとに確認する内容を分けておきましょう。

工事の終わりに向けて日付ごとに確かめること

  1. 完成

    工事が終わった範囲を、完了報告等で確かめておきましょう

  2. 引渡し

    法人が受け取った範囲と日付を、検収・引渡しの記録と照らしてください

  3. 使用開始

    教育・保育に使い始めた日を、使用状況の記録で押さえておきましょう

  4. 最終精算

    追加・減額を含む最終額を、精算書・請求書で確かめてください

建物には、附属する電気・給排水・暖房等の設備も含まれます。構築物は、プールや庭園等の土木設備・工作物をいう科目です1。

根拠:1学校法人会計基準別表第一

最終精算を待って工事中のままとする前に、取得済みの範囲と金額を会計士に確認しておきましょう。振替先も、工事の内訳と資産の内容に照らして確認することをお勧めします。

資産の評価と、減価償却・基本金の条件も確認する

資産は取得価額で評価します。ただし、贈与又は通常要する価額より著しく低い価額で取得した資産は、取得又は贈与の時に通常要する価額で評価します1。

今回の園舎工事で新たに取得する資産のうち、時の経過で価値が減る固定資産には、定額法で減価償却を行います2。減価償却は取得額を使用する期間に配分すること、定額法は一定額ずつ配分する方法です。

科目の振替と減価償却の計算は、分けて確認してください。使用していないことだけで、減価償却を行わないと決めないようにしましょう。償却を計算する月数や法人が採用している方法は、経理規程と取得・引渡し等の資料を会計士に示して確認することをお勧めします。

基本金は、必要な資産を継続して保有するため、事業活動収入から組み入れた金額です3。園舎の工事では、組み入れる時期を完成まで待たない点に注意しておきましょう。

原則

設立当初の教育用固定資産や、新設・規模拡大・教育の充実向上のために取得した固定資産の価額は、第1号基本金に組み入れる。

学校法人会計基準13条1項1号

ただし

園舎の工事代金を建設仮勘定として支出した年度は、完成前でもその支出額を組み入れ、完成した年度は建設総額から組入れ済みの額を引いた額が要組入額になる。

日本公認会計士協会 学校法人委員会研究報告第15号

根拠:1学校法人会計基準7条2同8条3同12条4同13条3項

今日、契約・日付・未払分を工事ごとに整理する

今日確認する資料は、契約・変更契約、支払一覧、検収・引渡しの記録です。使用開始と最終精算の記録も、同じ工事にひもづけて整理しておきましょう。

確定した内容と未確認の内容を分け、資料と一緒に確認することをお勧めします。下の表を工事ごとに使うと、会計士に確認したい箇所を絞れます。

年度をまたぐ園舎工事の確認表
確認項目日付又は内容対応資料会計士への確認事項
契約・変更契約
完成した範囲
検収・引渡し
使用開始
最終精算
支払累計・未払分
振替先の科目

園の会計や監査の準備で迷うところがあれば、無料相談でお聞きください。

振替後は、固定資産台帳と固定資産明細書の科目・残高が対応するかも確認しておきましょう。工事中の残高が減り、取得した資産が増えた経過を、同じ資料からたどれるようにしておくことをお勧めします。

明細書は、文部科学省が示す現行の様式と記載方法で作ることをお勧めします。過去の記載例の様式番号をそのまま使わないよう、固定資産明細書と基本金明細書を別に照合しておきましょう。

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