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経理規程の見直し — 改正学校法人会計基準に合わせて園の法人が直す条項と、監査で見られる点

「会計基準が変わったと聞いたが、うちの経理規程はそのままでよいのか」— 園を運営する学校法人の事務長・会計担当の方に向けて、令和7年度の決算から適用されている改正学校法人会計基準に合わせて、経理規程のどの条項を直すのかを整理します。監査で規程と実務のずれとして見られる点と、条項ごとの見直しの確認表も添えます。

この記事の要点

  • 改正学校法人会計基準は令和7年4月1日に施行され、令和7年度以降の会計年度の会計処理と計算書類の作成に適用される。規程の「準拠する基準」と計算書類の名称・構成をまず直す
  • 引当金は退職給与引当金だけでなく、将来の事業活動支出に備えて合理的に見積もれるものを計上する1。賞与引当金の計上基準を規程に書く
  • 資産の評価2・有価証券の評価換え3・勘定科目(別表第一〜第三)・注記4の条項を基準の条番号に合わせ、知事所轄の園の法人が使える特例(同48条〜50条)をどう選ぶかも規程に残す

根拠:1学校法人会計基準11条2項2同7条3同9条4同40条

まず結論 — 直す条項は5つの群に分かれる

改正学校法人会計基準(令和6年文部科学省令第28号による改正)は、令和7年4月1日から施行され、令和7年度以降の会計年度に係る会計処理と計算書類・附属明細書・財産目録の作成に適用されています(6文科高第1045号)。令和6年度以前の会計年度は従前の例によります。

経理規程で見直す条項の5つの群
群直す条項基準の根拠
総則準拠する基準の名前と位置づけ、計算書類の名称と構成、作成の期限私立学校法101条・103条
引当金退職給与引当金以外の引当金(賞与引当金など)の計上基準と見積もりの方法学校法人会計基準11条2項
資産の評価取得価額の原則、贈与や著しく低い価額で取得した資産の評価、有価証券の評価換え学校法人会計基準7条・9条
勘定科目貸借対照表・事業活動収支計算書・資金収支計算書の科目を別表に合わせる学校法人会計基準21条・27条・36条
注記と特例注記の項目、知事所轄の法人が選べる特例の採否学校法人会計基準40条・48条〜50条

規程の条文を基準の条番号で引いている園は、条番号のずれから直します。令和6年改正で条番号が動いているので、「第25条(資産の評価)」のように旧基準の番号で書かれた条項は、現行の7条・9条に読み替えて書き直します。ご自身の園の規程は、どの版の基準を前提に書かれているでしょうか。

総則 — 準拠する基準と、計算書類の名称・構成

学校法人会計基準は、私立学校振興助成法に位置づけられていた補助金の適正配分のための基準から、私立学校法に位置づけられた情報開示のための基準へ改められました(6文科高第1045号)。規程の総則で私立学校振興助成法に基づく基準として引いている園は、私立学校法に基づく基準として書き直します。

学校法人は、毎会計年度終了後3か月以内に、計算書類(貸借対照表及び収支計算書)と事業報告書、これらの附属明細書を作成しなければなりません1。規程の「決算書類」の条項は、この名称と構成に合わせ、作成の期限を3か月以内と書きます。

根拠:1私立学校法103条2項

原則

学校法人は、その会計年度の計算書類等を毎会計年度終了後3か月以内に作成し、監事の監査を受けて理事会の承認を受けなければなりません。

私立学校法103条2項・104条1項・3項

ただし

計算書類は貸借対照表と収支計算書、附属明細書は固定資産明細書・借入金明細書・基本金明細書で、内訳表(資金収支内訳表・事業活動収支内訳表・人件費支出内訳表)はどちらにも含まれていません。

学校法人会計基準16条・41条

内訳表は、改正で学校法人会計基準から削除され、私立学校振興助成法に基づいて所轄庁に提出する書類に位置づけられました(6文科高第1045号)。規程で内訳表を計算書類や附属明細書の一部と書いている園は、所轄庁に提出する書類として書き分けます。

引当金 — 退職給与引当金だけでなく、4つの要件で計上する

改正基準は、退職給与引当金のほかの引当金についても定めを置きました。会計年度の末日において将来の事業活動支出の発生に備えて、その合理的な見積額のうち当該会計年度の負担に属する金額を事業活動支出として繰り入れることにより計上した額を付す、という定めです1。

根拠:1学校法人会計基準11条2項

文部科学省の通知は、引当金の要件を4つで示しています。将来の特定の事業活動支出であって、その発生が当該会計年度以前の事象に起因し、発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積もることができる場合に、当該会計年度の負担に属する金額を繰り入れる、という形です(6高私参第27号)。園の法人で当てはまるのは、教職員の賞与に備える賞与引当金が典型です。

引当金の条項を規程に足す順番

  1. 対象を決める

    賞与規程や給与規程で支給の定めがあり、発生の可能性が高く、金額を合理的に見積もれる賞与を対象にする

  2. 見積もりの方法を書く

    支給の対象期間のうち当会計年度に属する月数の割合で、次回の支給見込額を按分する、など

  3. 科目を決める

    貸借対照表の流動負債に賞与引当金、事業活動収支計算書の人件費に繰入額の小科目

  4. 初年度の処理を書く

    令和7年度の期首時点で発生している分の繰入れは、特別収支の「その他の特別支出」に「(何)引当金特別繰入額」などの小科目を設けて処理できる(6高私参第27号)

資産の評価と有価証券 — 取得価額の原則と、時価が著しく下がったとき

資産の評価は取得価額によります。ただし、その資産の取得のために通常要する価額と比較して著しく低い価額で取得した資産や贈与された資産は、取得または贈与の時における通常要する価額で評価します1。有価証券は、取得価額と比べて時価が著しく低くなった場合、回復が可能と認められるときを除いて時価で評価します2。

根拠:1学校法人会計基準7条2同9条

原則

資産の評価は、取得価額をもってします。

学校法人会計基準7条

ただし

有価証券については、時価が著しく低くなった場合には、その回復が可能と認められるときを除き、時価によって評価します。

学校法人会計基準9条

規程では、有価証券の評価基準と評価方法(例: 移動平均法に基づく原価法)を書き、注記の「重要な会計方針」と同じ文言にそろえます。文部科学省の通知の注記記載例は「移動平均法に基づく原価法である」の形です(6高私参第27号)。

勘定科目・注記・特例 — 別表と40条に合わせ、選んだ特例を規程に残す

勘定科目は、貸借対照表が別表第一、事業活動収支計算書が別表第二、資金収支計算書が別表第三に定められています1。規程に科目表を付けている園は、この別表に合わせて作り直します。学校法人は、基準の趣旨に沿って計算書類を作成するため必要な勘定科目を設定できるので2、園に固有の小科目はそのまま残せます。

根拠:1学校法人会計基準21条・27条・36条2同25条・34条

注記は、引当金の計上基準その他の重要な会計方針、重要な会計方針の変更、担保に供されている資産、セグメント情報、子法人に関する事項、重要な後発事象など、基準40条に並ぶ項目です。1つの園だけを設置する法人はセグメント情報の表示を省略できる旨の注記でよいとされています(6高私参第27号)。

会計監査人非設置の知事所轄学校法人(高等学校を設置しない法人)が選べる特例
特例内容根拠
徴収不能引当金繰り入れないことができる学校法人会計基準48条
第4号基本金全部または一部を組み入れないことができる学校法人会計基準49条
活動区分資金収支計算書・基本金明細書作成しないことができる学校法人会計基準50条
科目のまとめ「機器備品」「経費支出」の科目にまとめられる学校法人会計基準別表第一・別表第三の注

特例は「できる」規定なので、園の法人が選ばなければ原則どおりです。どの特例を使うかを規程に書いておくと、担当者が代わっても決算の作り方が変わりません。

経理規程の見直しの確認表(改正学校法人会計基準への対応)
規程の条項現行の基準の根拠直す内容実務との一致担当済
総則(準拠する基準)私立学校法101条私立学校法に基づく基準として書き直す
計算書類の名称・構成・期限私立学校法103条2項貸借対照表・収支計算書・事業報告書・附属明細書、3か月以内
引当金学校法人会計基準11条2項対象とする引当金と見積もりの方法
資産の評価学校法人会計基準7条取得価額の原則、贈与・低額取得の評価
有価証券の評価学校法人会計基準9条評価基準・評価方法、時価が著しく低くなった場合
勘定科目学校法人会計基準21条・27条・36条別表第一〜第三に合わせる
注記学校法人会計基準40条重要な会計方針、セグメント情報の省略の注記など
特例の採否学校法人会計基準48条〜50条徴収不能引当金・第4号基本金・活動区分資金収支計算書

園の会計や監査の準備で迷うところがあれば、無料相談でお聞きください。

まとめ — 実務を先に書き出し、規程を合わせる

改正基準に合わせた経理規程の見直しは、総則・引当金・資産の評価・勘定科目・注記と特例の5つの群で進めます。条項を直す前に、いまの決算で実際にやっている処理を書き出し、規程と実務を同じ文章にそろえるのが、監査で指摘を受けない近道です。上の確認表を使って、担当と期限を入れてみてください。

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