園の学校法人には監事がいて、決算には公認会計士の監査もある。この2つはどう違うのでしょうか。令和7年4月に施行された改正私立学校法で何が変わったのかと合わせて、理事長や園長から聞かれることの多い問いです。この記事では、監事・会計監査人・外部監査費加算の外部監査という三者の役割を、条文に沿って整理します。
改正私立学校法で変わった監事の役割 — 監事・会計監査人・外部監査の三者の違い
この記事の要点
- 監事は学校法人に必ず置く機関で、定数は2人以上。会計監査人は寄附行為で置く任意の機関で、大臣所轄学校法人等だけが必置(私立学校法18条・144条)
- 監事の仕事は業務・財産の状況と理事の職務執行の監査。監査報告を理事会と評議員会に出し、不正や重大な法令違反を見つけたら所轄庁にも報告する(52条・56条)
- 施設型給付の園が加算を受けて任意で導入する外部監査は、この2つとは別の契約による監査。三者の違いを知ると、監査への向き合い方が整う
監事 — 園の学校法人に必ずいる、内側からの監査役
私立学校法は、学校法人に理事・理事会・監事・評議員・評議員会と理事選任機関を置くことを求め、監事の定数を2人以上と定めています(私立学校法18条1項・3項)。監事は評議員会の決議で選任され(45条)、評議員や職員との兼任はできません(46条2項)。理事会から独立した立ち位置で法人を見る、という設計です。
監事の職務は、学校法人の業務および財産の状況と理事の職務の執行の状況を監査すること、理事会と評議員会に出席して意見を述べること、これらの状況について理事会・評議員会・理事選任機関に報告することなどです(52条)。監査を行ったときは監査報告を作成して理事会と評議員会に提出し、不正の行為や法令・寄附行為に違反する重大な事実を見つけたときは、遅滞なく理事会・評議員会と所轄庁に報告しなければなりません(56条)。
会計監査人 — 置くのは任意、大臣所轄の法人だけが必置
会計監査人は、寄附行為で定めるところにより置くことができる機関です(18条2項)。大臣所轄学校法人等は会計監査人を置かなければなりません(144条1項)。大臣所轄学校法人等とは、文部科学大臣が所轄庁の学校法人のほか、それ以外でも事業の規模や事業を行う区域が政令の基準に当たる学校法人をいいます(143条)。文部科学省の施行通知では、経常的な収益が10億円以上または負債が20億円以上という規模の基準と、3以上の都道府県に学校を設置しているなどの区域の基準の両方に当たる法人が該当するとされています。この基準に当たらない知事所轄の園の法人には義務がなく、多くは会計監査人を置いていない法人ということになります。
会計監査人になれるのは公認会計士か監査法人で(81条)、選任は評議員会の決議によります(80条)。職務は計算書類とその附属明細書、財産目録などの監査で、会計監査報告を作成して監事と理事会に提出します(86条)。会計監査人を置く法人では、計算書類と附属明細書は監事と会計監査人の監査を受けます(104条2項)。ただし、この場合の監事の監査は、会計監査人の監査の方法と結果が相当かどうかと、会計監査人の職務が適正に行われる体制に関する事項が対象で、計算書類そのものの監査は会計監査人が担います(文部科学省の施行通知)。
外部監査費加算の外部監査 — 私立学校法の枠の外にある任意の監査
施設型給付を受ける園が受けている「外部監査」は、公定価格の外部監査費加算の要件として、園が公認会計士や監査法人と契約して受ける監査です。寄附行為で会計監査人として置く形にしない限り、私立学校法上の会計監査人には当たりません。園の判断で導入し、園の判断で交代できる契約上の監査です。
三者の違いを表にまとめます。
| 項目 | 監事 | 会計監査人 | 外部監査費加算の外部監査 |
|---|---|---|---|
| 根拠 | 私立学校法(必置・2人以上) | 私立学校法(任意。大臣所轄学校法人等は必置) | 施設型給付の公定価格の加算(園が任意で契約) |
| 誰がなるか | 学校運営や財務管理に識見のある人(評議員・職員との兼任不可) | 公認会計士・監査法人 | 公認会計士・監査法人 |
| 見るもの | 業務・財産の状況と理事の職務執行 | 計算書類・附属明細書・財産目録 | 園の会計(契約で範囲を定める) |
| 報告先 | 理事会・評議員会(不正や重大な違反は所轄庁にも) | 監事・理事会 | 園。加算の手続きで自治体に監査を受けたことを示す |
令和7年4月施行の改正で、園の法人に効いた点
令和5年に成立した改正私立学校法は令和7年4月1日に施行され、理事・監事・評議員の役割の分け方が整えられました。園の法人に直接効くのは、監事の選任が評議員会の決議によること、監事が評議員会に提出される議案を調べる義務を持つことなど、監事の独立性と権限を強めた点です。監事の不正発見時の所轄庁への報告も、明文の義務として置かれています(56条2項)。
園の実務 — 三者の順番と役割を決めておく
決算の法定の流れは、会計年度終了後3か月以内の計算書類等の作成(103条2項)、監事の監査、理事会の承認、そして評議員会です。外部監査費加算の外部監査はこの流れの外にある契約上の監査なので、いつ往査に入るかは園と会計士の日程調整で決まります。理事会の前に往査が入ることも、評議員会の前後に重なることもあるようです。
三者の順番と役割を、条文に沿って言葉にしてみましょう。
三者の役割を整えるための3つの確認
監事の仕事を書き出す
業務監査と財産監査の両方を含めて、年間の監査の予定を監事と共有する
外部監査の範囲を契約で確かめる
会計士の監査が見る範囲(計算書類のどこまでか)を契約書で確認し、監事に伝える
報告の順番を決める
監事の監査報告、会計士の報告、理事会・評議員会の日程を1枚の予定表にまとめる
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