改正私立学校法に合わせた寄附行為の見直しを終えた園の法人でも、園の名称や事務所の移転、理事の定数の変更など、寄附行為を直す場面はこれからも続きます。どの変更に所轄庁の認可が要り、どの変更が届出で足りるのか、理事会と評議員会の順番、申請に添える書類、認可のあとの登記までを条文に沿って整理し、手続きの抜けを確かめるチェック表を付けます。
寄附行為の変更の手続き — 所轄庁の認可が要る変更と届出で足りる軽微な変更・評議員会の意見聴取から登記まで
この記事の要点
- 寄附行為の変更の決定は理事会の決議により、理事会はその決議の前に評議員会の意見を聴く1。この決議は、議決に加わることができる理事の3分の2以上の多数で行う2。寄附行為で評議員会の決議を要すると定めた法人と大臣所轄学校法人等では、評議員会の決議が要る3
- 軽微な変更を除き、所轄庁の認可を受けなければ変更の効力は生じない4。軽微な変更は、設置廃止を伴わない園の名称の変更・所轄庁の変更を伴わない事務所の所在地の変更・公告の方法の変更で5、変更したあと遅滞なく届け出る6
- 認可の申請には、変更の条項 (新旧の比較対照表を含む) と事由を記載した書類、寄附行為所定の手続きを経たことを証する書類、所轄庁が定める書類を添える7
根拠:1私立学校法108条1項・私立学校法108条2項2同42条2項1号3私立学校法施行規則44条1項1号・私立学校法150条4同108条3項5私立学校法施行規則46条1項6私立学校法108条5項7私立学校法施行規則44条1項
決め方 — 評議員会の意見を聴いてから、理事会の3分の2で決める
寄附行為の変更の決定は、理事会の決議によらなければなりません1。理事会は、この決議をするときは、あらかじめ評議員会の意見を聴かなければなりません2。意見を聴く評議員会は、理事会が招集を決めるときに寄附行為の変更を会議の目的である事項として定め、その事項を招集の通知に記載して開きます3。評議員会は、会議の目的である事項以外の事項については決議できないためです4。
理事会の決議は、通常の過半数ではなく、議決に加わることができる理事の数の3分の2 (寄附行為でそれを上回る割合を定めたときはその割合) 以上に当たる多数で行います5。欠席が多い理事会では3分の2に届かないことがあるので、出席の見込みを先に数えてみてください。
評議員会については、理事会が決議の前に意見を聴く形が原則です2。ただし、寄附行為で意見聴取に代えて評議員会の決議を要すると定めた法人では、評議員会の決議が要ります6。また、知事所轄でも、経常的な収益10億円以上か負債20億円以上で、かつ3以上の都道府県に私立学校などを設置する法人は大臣所轄学校法人等に当たります(6文科高第413号)。大臣所轄学校法人等では、軽微な変更を除く寄附行為の変更は評議員会の決議がなければ効力を生じません7。
根拠:1私立学校法108条1項2同108条2項3同70条2項・私立学校法70条6項4同76条6項5同42条2項1号6私立学校法施行規則44条1項1号7私立学校法150条
認可が要る変更と、届出で足りる軽微な変更
寄附行為の変更は、軽微な変更として文部科学省令で定めるものを除き、所轄庁の認可を受けなければ効力を生じません1。認可の審査では、所轄庁が、寄附行為の内容が法令の規定に違反していないかどうかなどを審査して決定します(私立学校法108条4項で準用する私立学校法24条1項)。軽微な変更をしたときは、遅滞なくその旨を所轄庁に届け出ます2。
| 変更の内容 | 手続き | 根拠 |
|---|---|---|
| 目的・名称、理事や監事や評議員の定数・任期・選任の方法、理事会や評議員会に関する事項、資産や会計に関する事項、解散、寄附行為の変更に関する事項など | 評議員会の意見聴取 (寄附行為で決議事項とした法人は決議。大臣所轄学校法人等は、理事会や評議員会に関する事項 (それぞれの決議に係る事項を除く)・資産や会計に関する事項などの変更を除き決議) → 理事会の決議 (3分の2以上) → 所轄庁の認可 | 私立学校法23条1項・私立学校法108条1項〜3項・私立学校法150条・私立学校法施行規則54条 |
| 設置する園の名称の変更で、設置や廃止を伴わないもの | 評議員会の意見聴取 → 理事会の決議 → 変更後に遅滞なく届出 | 私立学校法施行規則46条1項1号・私立学校法108条5項 |
| 事務所の所在地の変更で、所轄庁の変更を伴わないもの | 同じ | 私立学校法施行規則46条1項2号・私立学校法108条5項 |
| 公告の方法の変更 | 同じ | 私立学校法施行規則46条1項3号・私立学校法108条5項 |
原則
寄附行為の変更は、所轄庁の認可を受けなければ、その効力を生じない。
私立学校法108条3項
ただし
軽微な変更として文部科学省令で定めるもの (園の名称・事務所の所在地・公告の方法の一定の変更) は認可を要せず、変更したときに遅滞なく所轄庁へ届け出る。
私立学校法108条5項・私立学校法施行規則46条1項
文部科学省の説明資料のQ&Aは、この軽微な変更は改正前の私立学校法で届出事項とされていた内容と同じ内容だと説明しています(文部科学省の説明資料のQ&A)。軽微な変更でも、理事会の決議と評議員会の意見聴取の手続きは同じです3。届出には、届出書に変更の条項と事由を記載した書類、変更後の寄附行為、手続きを経たことを証する書類を添えます4。
根拠:1私立学校法108条3項2同108条5項3同108条1項・私立学校法108条2項4私立学校法施行規則46条2項
申請に添える書類 — 新旧対照表と、所轄庁が定める書類
認可を受けようとするときは、認可申請書と、寄附行為変更の条項 (その条項に係る新旧の比較対照表を含む) と事由を記載した書類に、次の書類を添えて所轄庁に申請します1。
・寄附行為所定の手続き (理事会の決議と評議員会の意見聴取を含む。寄附行為で評議員会の決議を要すると定めた法人と大臣所轄学校法人等では、評議員会の決議) を経たことを証する書類
・その他所轄庁が定める書類
変更が登記事項の変更に係るときは、認可申請書と変更の条項・事由を記載した書類に副本を添えます2。園を新しく設置する変更や、設置している園に課程などを置く変更では添える書類が増え、所轄庁が定める日までに申請します3。文部科学省が公表している申請書類の作成の手引は大臣所轄の法人向けのもので、園の法人は都道府県が示す様式と提出日に従います。都道府県は、所轄の学校法人が寄附行為の変更を進められるよう、寄附行為作成例の作成や説明会の開催を行うこととされています(6文科高第413号)。
根拠:1私立学校法施行規則44条1項2同44条12項3同44条6項4私立学校法108条3項
認可のあと — 登記と最新版の備え
名称や事務所の所在地のように登記している事項が変わったときは、2週間以内に、主たる事務所の所在地で変更の登記をします1。認可が要る変更では認可を受けた日から、軽微な変更では変更した日から数えることになるので、認可の通知が届いたらすぐ司法書士か法務局に段取りを確かめましょう。
登記のあとには、所轄庁への届出が続きます。文部科学大臣が所轄庁の法人は、登記をしたときは遅滞なく、登記事項証明書を添えてその旨を届け出ます2。知事所轄の園の法人は、登記後の届出の様式と添付書類を都道府県に確かめ、認可の通知や届出書の控えと一緒に保管しておきます。
変更後の寄附行為は、職員が参照する最新版を1つにして、古い版と差し替えます。寄附行為の変更に関する事項は寄附行為そのものの記載事項でもあるので3、次に変更するときの手続きの条文も、この機会に見直しておくとよいと考えています。
寄附行為の内容は、インターネットの利用などにより公表するよう努めることとされています4。ただし、大臣所轄学校法人等は、寄附行為の変更の認可を受けたときや軽微な変更の届出をしたときは、遅滞なく寄附行為の内容を公表しなければなりません5。文部科学省の寄附行為作成例 (都道府県知事所轄学校法人向け) は、寄附行為変更の認可を受けたとき・届出をしたときに、遅滞なくインターネットで寄附行為の内容を公表すると定めています。自法人の寄附行為に同じ条があれば、差し替えと一緒に公表も済ませます。
根拠:1組合等登記令2条2項・組合等登記令3条1項2私立学校法施行規則61条2項3私立学校法23条1項15号4同137条5同151条
寄附行為を変える段取り
変更の案と新旧対照表を作る
所轄庁 (都道府県) の作成例と様式に合わせ、条項ごとの新旧と変更の事由をまとめる
評議員会の意見を聴く
会議の目的である事項として招集の通知に載せ、出た意見の内容を議事録に残す (寄附行為で決議事項とした法人は決議し、賛成の数も書く)
理事会で決議する
議決に加わることができる理事の3分の2以上で決議し、議事録に賛成の数を書く
認可を申請する (軽微な変更は届け出る)
申請書・変更の条項と事由・手続きを経たことを証する書類・所轄庁が定める書類をそろえる
認可が届いたら登記・届出・差し替え
登記事項の変更は2週間以内に登記し、登記後の所轄庁への届出を済ませ、寄附行為の最新版を備えて内容を公表する
| 確認する項目 | 根拠 | 済 / 未 | 日付・備考 |
|---|---|---|---|
| 変更する条項が、認可が要る変更か軽微な変更 (届出) か | 私立学校法108条3項・私立学校法施行規則46条1項 | ||
| 新旧の比較対照表と変更の事由を記載した書類 | 私立学校法施行規則44条1項 | ||
| 評議員会の意見聴取 (招集の通知に目的の事項として記載・議事録に意見の内容) | 私立学校法108条2項・私立学校法70条2項 | ||
| 理事会の決議 (議決に加わることができる理事の3分の2以上・議事録に賛成の数) | 私立学校法108条1項・私立学校法42条2項1号 | ||
| 手続きを経たことを証する書類 (議事録の写しなど) | 私立学校法施行規則44条1項1号 | ||
| 所轄庁が定める書類と提出日 | 私立学校法施行規則44条1項3号 | ||
| 登記事項の変更に係るときは申請書などの副本 | 私立学校法施行規則44条12項 | ||
| 軽微な変更の届出 (届出書・変更の条項と事由・変更後の寄附行為・手続きを経たことを証する書類) | 私立学校法108条5項・私立学校法施行規則46条2項 | ||
| 変更の登記 (登記事項が変わったときは2週間以内) | 組合等登記令3条1項 | ||
| 登記後の所轄庁への届出 (大臣所轄の法人は登記事項証明書を添えて届出・知事所轄は都道府県の様式を確認) | 私立学校法施行規則61条2項 | ||
| 変更後の寄附行為の内容の公表 (インターネットなど・寄附行為の公表の条も確認) | 私立学校法137条 | ||
| 最新版の差し替えと職員への周知 | - |
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