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改正私立学校法の理事会 — 理事の構成・理事長の選定・決議と議事録・園の法人が整えること

「理事会は年に何回開けばいいのか」「親族の理事は何人までか」— 令和7年4月に施行された改正私立学校法のもとで、園の学校法人の理事長や事務長から聞かれることの多い問いです。この記事では、理事の構成・理事長の選定・決議と議事録の決まりを条文に沿って整理し、施行2年目の園の法人が確かめておきたい点を点検表にまとめます。

この記事の要点

  • 理事会は学校法人の業務を決め、理事の業務執行を監督する機関。重要な資産の処分・多額の借財・予算と事業計画など9つの事項は理事に任せられない1
  • 理事は5人以上で、園長と、役員・職員でない理事を含める。親族などの特別利害関係のある理事は理事の総数の3分の1まで2
  • 理事長は理事会が理事のうちから選ぶ。理事長などの業務を執行する理事は、毎会計年度に4か月を超える間隔で2回以上、職務の執行の状況を理事会に報告する3

根拠:1私立学校法36条2同18条3項・私立学校法31条3同37条1項・私立学校法39条1項

理事会は「決める・監督する」機関 — 理事に任せられない9つの事項

改正私立学校法は、理事会を全ての理事で組織し、学校法人の業務を決定すること、業務を執行する理事の執行を監督することをその職務としました1。園の日々の運営は理事長や園長が担いますが、何を理事会で決めるかは法律が線を引いています。

理事会が理事に決定を任せられない事項は9つあります2。このうち5つは、決める前に評議員会の意見を聴かなければなりません3。

根拠:1私立学校法36条1項・2項2同36条3項3同36条4項

理事会が理事に任せられない事項と、評議員会の意見を先に聴くもの
理事に任せられない事項評議員会の意見を先に聴く
重要な資産の処分と譲受け要る
多額の借財要る
園長など重要な役割を担う職員の選任と解任—
従たる事務所など重要な組織の設置・変更・廃止—
業務の適正を確保するために必要な体制の整備—
予算と事業計画の作成・変更要る
役員・評議員の報酬等の支給基準の策定・変更要る
収益を目的とする事業に関する重要事項要る
そのほか業務に関する重要事項—

園舎の建て替えのための借入れや園長の交代は、理事長が一人で決めてよい事柄ではありません。理事会の議事録に決議として残っているかが、監査でも最初に見られるところです。

理事の構成 — 5人以上・園長・外部の理事・親族の上限

理事の定数は5人以上で、寄附行為で定めます1。評議員の定数は6人以上で、寄附行為で定める理事の定数を超える数にしなければなりません1。理事を1人増やすなら、評議員の定数も見直すことになります。

理事には、その法人が設置する園の園長と、選任の際に法人の役員・職員でも子法人の役員・使用人でもない人を含めなければなりません2。ただし、2つ以上の園を設置する法人では、そのいずれか1つ以上の園の園長を含めれば足ります3。最初の選任のときに役員・職員でなかった理事は、再任のときにも役員・職員でない人とみなされます4。理事は監事や評議員を兼ねられません5。

親族の扱いにも上限があります。理事は、他の2人以上の理事、1人以上の監事、2人以上の評議員と特別利害関係(配偶者や三親等以内の親族などの関係)を持ってはなりません6。さらに、他の理事と特別利害関係のある理事の数は、理事の総数の3分の1を超えられません7。

理事の選任は理事選任機関が行い、選任の前に評議員会の意見を聴きます8。任期は寄附行為で定める4年以内の期間で9、監事・評議員について定める期間を超えられません10。あなたの園の理事の名簿は、この4つの条件をすべて満たしているでしょうか。

根拠:1私立学校法18条3項2同31条4項3同31条4項1号4同31条5項5同31条3項6同31条6項7同31条7項8同30条1項・2項9同32条1項10同32条2項

理事長は理事会が選ぶ — 職務執行の報告は年2回以上

理事長は1人で、寄附行為の定めにより理事のうちから理事会が選定します1。理事長は学校法人を代表して業務を総理し2、寄附行為で定めれば、理事長を補佐する業務執行理事を置くこともできます3。

理事には忠実義務があります4。理事長や業務執行理事は、毎会計年度に4か月を超える間隔で2回以上、自分の職務の執行の状況を理事会に報告しなければなりません5。年間の理事会の日程は、この報告の回数と間隔から逆算して組み、2回の報告の間が4か月を超えているかを暦で確かめてみてください。

根拠:1私立学校法37条1項2同37条6項3同37条2項・8項4同38条5同39条1項

決議と議事録 — 過半数・利害関係・署名・10年の備置き

理事会は、寄附行為の定めにより各理事が招集します。招集する理事を寄附行為や理事会で決めたときは、その理事が招集します1。

原則

理事会の決議は、議決に加わることができる理事の過半数が出席し、出席した理事の過半数で行う。

私立学校法42条1項

ただし

法律が特に定める一部の重要な決議は、議決に加わることができる理事の数の3分の2以上、または理事の総数の3分の2以上の多数で行う。

私立学校法42条2項

決議に特別の利害関係を持つ理事は、その議決に加われない。

私立学校法42条3項

書面や電子的な方法で議決に加わる形は、寄附行為でそう定めた法人だけが使える。

私立学校法42条4項

議事録は文部科学省令の定めに従って作ります2。書面のときは出席した理事と監事が署名するか記名押印し、寄附行為で定めれば、署名する理事をその理事会で決めた2人以上の理事にできます3。決議に参加した理事は、議事録に異議をとどめていなければ賛成したものと推定されます4。議事録は理事会の日から10年間、主たる事務所に備え置きます5。

根拠:1私立学校法41条1項2同43条1項3同43条2項4同43条4項5同43条5項

理事会の1年と、園の法人が整えること

理事会の1年 (4月に始まる会計年度)

  1. 4月会計年度の始まり
  2. 5〜6月決算の理事会で計算書類等を承認し、1回目の職務執行の報告。定時評議員会
  3. 10〜11月2回目の職務執行の報告。来年度の園児数の見込み
  4. 3月予算と事業計画の理事会 (評議員会の意見を先に聴く)

職務執行の報告は4か月を超える間隔で2回以上。10〜11月にも理事会を置くと、報告の間隔の確認と予算の下地づくりが同時に進みます。

改正法が施行されて1年が過ぎ、寄附行為の変更は済んでいる園がほとんどでしょう。2年目に見直すのは、寄附行為ではなく運営の実態です。次の点検表を、理事の名簿と直近1年の議事録を手元に置いて埋めてみてください。

ただし、点検表に並べたのは法律の最低限の決まりです。寄附行為で評議員会の決議事項を上乗せしている法人や、譲渡所得の非課税の特例を受けるために標準的な寄附行為を採っている法人は、寄附行為の側の決まりも合わせて確かめてください。

理事会の点検表 (改正私立学校法・園の法人向け)
確かめる項目根拠自園の状態直すこと
理事の定数が5人以上で、寄附行為に定めがある私立学校法18条3項
評議員の定数が6人以上で、理事の定数を超えている私立学校法18条3項
園長が理事に入っている私立学校法31条4項1号
役員・職員でない理事がいる私立学校法31条4項2号
親族の理事の数が上限の中にある私立学校法31条6項・7項
理事が監事・評議員を兼ねていない私立学校法31条3項
理事長の選定が理事会の議事録に残っている私立学校法37条1項
職務執行の報告を年2回以上・4か月超の間隔で行っている私立学校法39条1項
理事に任せられない事項を理事会で決めている私立学校法36条3項
議事録に署名し、10年間備え置いている私立学校法43条

園の会計や監査の準備で迷うところがあれば、無料相談でお聞きください。

まとめ — 構成・決議・記録の3つを確かめる

理事会の決まりは、理事の構成 (人数・園長・外部の理事・親族の上限)、決議 (過半数・利害関係・書面の可否)、記録 (議事録の署名と10年の備置き) の3つに分けると整理しやすくなります。監査で理事会の議事録を読むときも、見るのはこの3つです。

点検表で空欄が埋まらない項目があれば、寄附行為と議事録のどちらを直すかを先に決めてから手を付けてください。理事の構成の直しは理事選任機関と評議員会の手続きを伴うので、定時評議員会の前に段取りを組むのが現実的です。

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