「理事長を代わることになったが、登記のほかに何をどの順で進めればよいのか」— 園を運営する学校法人の理事長・事務長の方に向けた記事です。改正私立学校法での理事長の選び方、2週間以内の変更登記、税務署・市町村・所轄庁への届出、銀行と給付費の請求の名義まで、交代のときの手続きを順に整理し、写して使える確認表にまとめます。
理事長の交代のとき園の法人がすること — 理事長の選定・変更登記・税務署と所轄庁への届出・銀行と給付費の請求の名義
この記事の要点
- 理事長は、寄附行為の定めにより理事のうちから理事会が選定する1。理事でない人を理事長にするには、先に理事に選任する
- 理事長が代わったら、変更の登記を2週間以内にする2。登記の前は、その変更を第三者に対抗できない3
- 登記のほかに、税務署への異動届出書、施設型給付の確認に関する市町村への変更の届出(10日以内)、所轄庁への役員変更の届出、銀行の代表者の名義変更が続く
まず全体像 — 選定・登記・届出・名義の4つ
理事長の交代は、理事会で選定して終わりではありません。登記と届出と名義の変更が、期限の順に続きます。
| 手続き | 期限 | 根拠・出所 |
|---|---|---|
| 理事会で理事長を選定する | 理事会の決議の日 | 私立学校法37条1項 |
| 変更の登記(主たる事務所の所在地の法務局) | 変更から2週間以内 | 組合等登記令3条1項 |
| 税務署へ異動届出書 | 異動から遅滞なく | 国税庁 異動事項に関する届出 |
| 市町村へ確認に関する変更の届出(施設型給付) | 変更から10日以内 | 子ども・子育て支援法35条1項 |
| 所轄庁(都道府県)へ役員変更の届出 | 所轄庁の定めによる | 各都道府県の手引 |
| 銀行の代表者名義・届出印の変更 | 登記のあと(必要な書類は各銀行に確かめてください) | 各銀行の定め |
期限がいちばん短いのは市町村への届出の10日と、登記の2週間です。どちらも変更の日から数えるので、交代の日に合わせて理事会を開き、選定と就任の日をそろえておきましょう。銀行の名義変更には登記事項証明書を求められることが多いので、登記が終わったあとに回すと安心です。ご自身の園では、交代の日から逆算して、どの手続きが先に詰まりそうでしょうか。
選定 — 理事のうちから、理事会が選ぶ
学校法人には理事長を1人置き、寄附行為の定めにより、理事のうちから理事会が選定します1。理事長は学校法人を代表し、その業務を総理します2。理事でない人をいきなり理事長にはできないので、まず理事に選任し、そのうえで理事会が理事長を選定する2段の手続きです。
理事の任期は、選任後、寄附行為で定める期間(4年以内)に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時までです3。前任者の残りの期間を補欠の理事の任期とすることもできます4。
選定から就任まで
理事の選任
寄附行為の定めにより理事を選任する。評議員会の決議で選任する法人は、評議員会議事録を残す
理事会で理事長を選定
理事会の決議で理事のうちから理事長を選定し、理事会議事録に残す
就任承諾と辞任届
新理事長の就任承諾書と、前任者の辞任届(辞任の場合)を日付入りで作る
職務執行の報告の準備
理事長は毎会計年度に4か月を超える間隔で2回以上、職務の執行の状況を理事会に報告する5
根拠:1私立学校法37条1項2同37条6項3同32条1項4同32条3項5同39条1項
登記 — 2週間以内に、変更を証する書面を添えて
学校法人は政令の定めるところにより登記しなければならず、登記しなければならない事項は登記のあとでなければ第三者に対抗できません1。代表権を有する者の氏名・住所・資格は登記事項で2、変更が生じたときは2週間以内に主たる事務所の所在地で変更の登記をします3。
根拠:1私立学校法22条1項・2項2組合等登記令2条2項4号3同3条1項
原則
登記事項の変更の登記の申請書には、その事項の変更を証する書面を添付しなければなりません。
組合等登記令17条1項
ただし
代表権を有する者の氏・名・住所だけの変更の登記には、変更を証する書面の添付は要りません。
組合等登記令17条1項ただし書
資産の総額の変更の登記は、毎事業年度の末日現在で、その末日から3か月以内にすれば足ります。
組合等登記令3条3項
法務局の記載例では、理事長の退任・就任の登記に添える書類は、評議員会議事録(理事の選任を評議員会の決議で行う場合)・理事会議事録・寄附行為・就任承諾書・辞任届・印鑑証明書・委任状です。理事会の決議で理事長を選定した場合、議事録に押印した理事全員の印鑑証明書が原則として要りますが、議事録に前任の理事長が法務局に提出していた印鑑が押されていれば、その印鑑証明書は不要です。
届出 — 税務署・市町村・所轄庁
登記が終わったら、届出が3つ続きます。
| 届出先 | 書類 | 期限・添付 |
|---|---|---|
| 税務署 | 異動届出書(代表者変更) | 異動から遅滞なく。添付書類は無し。e-Taxでも出せる |
| 市町村(施設型給付の確認) | 確認に関する変更の届出 | 変更から10日以内。設置者の役員または長の変更に伴うものは誓約書を添える |
| 所轄庁(都道府県) | 役員変更の届出(届出書・新旧対照表・就任承諾書・履歴書など) | 所轄庁の定めによる。様式と期限は都道府県の手引で確かめる |
原則
特定教育・保育施設の設置者は、設置者の住所その他の内閣府令で定める事項に変更があったときは、10日以内にその旨を市町村長に届け出なければなりません。
子ども・子育て支援法35条1項
ただし
内閣府令で定める事項には設置者の代表者の氏名・生年月日・住所・職名が含まれ、設置者の役員または長の変更に伴う届出には誓約書を添付します。
子ども・子育て支援法施行規則29条2号・33条1項・2項
大臣所轄の法人には文部科学省の役員等変更届の様式がありますが、園の法人の多くは知事所轄で、届出の様式と期限は都道府県ごとに違います。所轄庁の手引を確かめ、分からなければ所轄庁の担当課に直接聞いてください。
名義 — 銀行・給付費の請求・契約書
登記事項証明書が取れたら、銀行の代表者名義と届出印の変更を進めましょう。必要な書類は口座のある銀行に先に確かめてください。施設型給付費の請求書の代表者名も、市町村への変更の届出に合わせて新しい理事長に改めておきましょう。園バスのリース、給食の委託、保険の契約など、法人の名前で結んでいる契約は、代表者が代わったことを相手先に伝えておくと安心です。
| 手続き | 提出先 | 期限 | 添付する書類 | 担当 | 済 |
|---|---|---|---|---|---|
| 理事の選任・理事長の選定 | 理事会・評議員会 | 交代の日(理事会の決議の日) | 議事録・就任承諾書・辞任届 | ||
| 変更の登記 | 主たる事務所の所在地の法務局 | 変更から2週間以内 | 議事録・寄附行為・就任承諾書・辞任届・印鑑証明書 | ||
| 異動届出書 | 税務署 | 異動から遅滞なく | 無し | ||
| 確認に関する変更の届出 | 市町村 | 変更から10日以内 | 誓約書 | ||
| 役員変更の届出 | 所轄庁(都道府県) | 所轄庁の定めによる | 所轄庁の手引による | ||
| 代表者名義・届出印の変更 | 銀行 | 登記事項証明書の取得後 | 登記事項証明書・印鑑証明書 | ||
| 契約書の代表者名の変更 | 各取引先 | 登記後、順次 | 登記事項証明書の写し |
園の会計や監査の準備で迷うところがあれば、無料相談でお聞きください。
まとめ — 選定・登記・届出・名義を1枚の表で
理事長の交代は、理事会での選定、2週間以内の登記、税務署・市町村・所轄庁への届出、銀行と契約の名義変更の順に進みます。上の確認表に担当と日付を入れて、交代の日から逆算した予定を作ってみてください。
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