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園の書類はいつまで残すか — 会計帳簿と計算書類は10年・備置きは5年・議事録・処遇改善の実績報告・労務書類の保存期間

書庫がいっぱいになるたびに「これはもう捨ててよいのか」で手が止まる — 園の事務でよく聞く悩みです。この記事では、施設型給付を受ける幼稚園・認定こども園を運営する学校法人が残す書類の保存期間を、改正私立学校法で法律に書かれた年数を中心に、起算日と置き場まで含めて整理します。

この記事の要点

  • 改正私立学校法は、会計帳簿と事業に関する重要な資料を10年、計算書類と附属明細書を作成の時から10年保存し、理事会・評議員会の議事録を10年、計算書類等と監査報告・財産目録等を5年、主たる事務所に備え置くことを定めている。備置きの5年が過ぎても、保存の10年は続く
  • 学校の表簿は5年、指導要録の学籍に関する記録は20年(学校教育法施行規則28条)。処遇改善等加算の帳簿と証拠書類は実績報告後5年、賃金台帳などの労務書類は5年(労働基準法109条)
  • 年数より迷いやすいのは「いつから数えるか」と「どこに置くか」。書類の種類ごとに起算日と置き場を書いた一覧を1枚作り、廃棄は年1回まとめて行う

改正私立学校法で、法人の書類の年数が法律に書かれた

令和7年4月施行の改正私立学校法は、学校法人が作る書類の保存を条文で定めました。年数だけでなく、起算日と置き場(主たる事務所)まで決まっているのが特徴です。

私立学校法が定める学校法人の書類の保存
書類期間いつから数えるか置き場条文
会計帳簿と事業に関する重要な資料10年(保存)会計帳簿の閉鎖の時102条2項
計算書類(貸借対照表・収支計算書)と附属明細書10年(保存)計算書類を作成した時103条4項
理事会の議事録10年(備置き)理事会の日主たる事務所43条5項
評議員会の議事録10年(備置き)評議員会の日主たる事務所78条2項
計算書類等(計算書類・事業報告書・附属明細書)と監査報告5年(備置き。写しは従たる事務所に3年)定時評議員会の日の1週間前の日主たる事務所106条1項・2項
財産目録・役員及び評議員の名簿・報酬等の支給の基準を記載した書類5年(備置き。写しは従たる事務所に3年)定時評議員会の日主たる事務所107条3項・4項

従たる事務所に置く写しは、計算書類等や財産目録等を電磁的記録で作り、従たる事務所でも閲覧の請求に応じられる文部科学省令の措置をとっているときは要りません(106条2項ただし書・107条4項ただし書)。計算書類は「保存する10年」と「備え置く5年」の2本立てです。定時評議員会から5年の備置きが終わっても、計算書類と附属明細書は作成の時から10年は残します(103条4項)。会計帳簿の「閉鎖の時」は、その年度の決算の手続が終わって帳簿を締めた時点なので、令和7年度の帳簿なら令和8年の決算のあとから10年、おおむね令和18年までは残すことになります。理事会や評議員会の議事録は開催の日から10年です。

学校としての表簿 — 5年、学籍の記録は20年

幼稚園は学校教育法の学校なので、学校として備える表簿の定めもあります。学校教育法施行規則28条は、学則・日課表・学校日誌、職員の名簿・履歴書・出勤簿、指導要録・出席簿・健康診断の表簿、入園者の選抜に関する表簿、資産原簿・出納簿・経費の予算決算についての帳簿などを挙げ、これらを5年間保存することとしています。ただし指導要録とその写しのうち、入園・卒園などの学籍に関する記録は20年間です。5年・20年をいつから数えるかは省令に書かれていないので、年度末に作り終えた表簿を翌年度の初めから数える運用にし、自治体の手引きがあればそれに合わせてください。

園児が卒園してから20年という長さは、他の書類と別枠で管理しないと忘れます。学籍の記録だけは年度ごとの箱にまとめず、卒園年度を書いた別の棚に置く園が多いのはそのためです。あなたの園では、20年前の卒園児の記録がどこにあるか、すぐに答えられるでしょうか。認定こども園については、作成した認定こども園こども要録の原本等をその子どもが小学校を卒業するまで保存し、学籍等に関する記録は20年間保存することが望ましいとする国の通知もあります(文部科学省・厚生労働省 平成21年1月29日「認定こども園こども要録について」)。この年数は「望ましい」という書き方で、省令が定める表簿の5年・20年とは性格が違います。

給付と加算の書類 — 実績報告の後も5年は残す

施設型給付を受ける園には、法人の書類とは別に、給付と加算の側の書類があります。処遇改善等加算の区分2・区分3の適用を受けた園は、賃金改善の収入と支出を明らかにした帳簿と証拠書類を整理し、実績報告の後5年間保管することが通知で求められています(令和7年4月11日 こ成保296・7文科初第250号)。賃金台帳、配分の方針を職員に周知した記録、実績報告書の控えは、この5年の枠で残します。

市町村の指導監査でも、給付の請求の根拠になった在籍の記録、認定区分の変更の記録、加算の要件を満たしていた記録が見られます。請求の根拠になった書類は、給付の年度から少なくとも5年は残しておくのが安全です。

労務と税務の書類 — 5年と7年

賃金台帳・労働者名簿・雇入れや退職に関する書類など労働関係の重要な書類は、5年間の保存が定められています(労働基準法109条)。処遇改善等加算の実績報告に使う賃金台帳は、この労務の5年と加算の5年の両方に関わる書類です。

税務の書類は、収益事業を行っていて法人税の申告をしている園なら、帳簿と取引の書類を申告期限の翌日から7年間保存します。ただし欠損金が生じた事業年度の分は10年間です(タックスアンサー5930)。消費税の課税事業者になっている園は、収益事業の有無にかかわらず、消費税の帳簿を課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間保存します(消費税法58条・消費税法施行令71条2項)。源泉徴収の関係書類も含め、税務の年数は法人の書類の10年・5年とは別の数え方なので、一覧では分けて書いておきます。

保存台帳を1枚にまとめる

  1. 書類を種類ごとに並べる

    法人の書類(帳簿・議事録・計算書類・財産目録)、学校の表簿、給付と加算の書類、労務の書類、税務の書類の5つの枠に分ける

  2. 起算日を書く

    帳簿の閉鎖の時・会議の日・定時評議員会の日・実績報告の日・退職の日など、種類ごとに違う起算日をそのまま書く

  3. 年数と廃棄予定の年度を書く

    起算日に年数を足し、廃棄してよい年度を1列で持つ

  4. 置き場と正本を書く

    主たる事務所に備え置くもの、書庫のもの、電子で残すものを分け、紙と電子のどちらが正本かを決める

  5. 年1回まとめて廃棄する

    決算が終わった時期に、廃棄予定の年度が来た書類だけを取り出して処分する

Q. 年数が過ぎた書類はすべて捨ててよいですか。

寄附行為、登記の書類、園舎や土地の取得に関する契約書と施設整備の補助金の関係書類、固定資産台帳の元になる資料は、年数にかかわらずその資産がある限り残しておくべき書類です。保存期間はあくまで「これより短く捨ててはいけない」線で、長く残す判断は園の側でできます。判断に迷う書類は、監査人に一度見せてから決めてください。

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※免責事項: 本コラムは一般的な情報のご提供を目的とするもので、個別の事案に対する助言ではありません。内容は執筆時点の法令・通知等にもとづいており、その後の改正などにより現在の取り扱いと異なることがあります。正確な記載に努めていますが内容を保証するものではなく、本コラムの情報にもとづいて行われたご判断について、当事務所は責任を負いかねます。実際の手続きやご判断にあたっては、公認会計士等の専門家にご相談ください。

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