令和7年度に一本化された処遇改善等加算は、令和8年度に通知が改正され、経過措置が終わって本来の形で動き始めました。この記事では、施設型給付を受ける幼稚園・認定こども園の目線で、区分1・2・3の加算額がどう決まるのかと、実績報告の前に確かめておく点を整理します。
令和8年度の処遇改善等加算 — 区分1・2・3の計算の流れと実績報告で確かめること
この記事の要点
- 区分1(基礎分)と区分2(賃金改善分)の加算率は、4月1日時点の職員の平均経験年数で決まる。区分3(質の向上分)は研修修了者の人数で決まる
- 処遇改善等加算で令和8年度に変わったのは3点。キャリアパス要件の経過措置の終了、区分3の研修修了要件の本格適用(中核リーダー・専門リーダーは合計60時間以上)、令和7年補正予算で措置された人件費5.3%改善の継続
- 区分2と区分3を合わせた改善額の1/2以上は基本給か毎月決まって支払う手当で行い、残額が出たら翌年度内に一時金などで支払う
3つの区分は、何のためのお金か
一本化後の処遇改善等加算は、区分1「基礎分」、区分2「賃金改善分」、区分3「質の向上分」の3つで構成されています(令和7年4月11日 こ成保296・7文科初第250号、最終改正 令和8年4月8日)。それぞれの役目を表にします。
| 区分 | 何のための費用か | 加算額を決めるもの |
|---|---|---|
| 区分1(基礎分) | 平均経験年数の上昇に応じた昇給に要する費用 | 職員1人当たりの平均経験年数に応じた加算率 |
| 区分2(賃金改善分) | 職員の賃金の改善に要する費用 | 平均経験年数に応じた加算率と、キャリアパス要件 |
| 区分3(質の向上分) | 技能・経験の向上に応じた追加的な賃金改善に要する費用 | 研修修了者の人数(人数Aと人数B) |
処遇改善等加算で令和8年度に変わった3点
まず、区分1のキャリアパス要件です。令和7年度に限り要件に合わない場合は区分2の割合から差し引く経過措置がありましたが、令和8年4月8日の改正でその一文が削られ、職位・職責に応じた賃金体系と資質向上の計画を整えることが本来の要件として動いています。なお、区分3の適用を受けている園は、それだけでキャリアパス要件を満たす扱いです。
次に、区分3の研修修了要件です。幼稚園・認定こども園では、中核リーダー・専門リーダーは合計60時間以上(中核リーダーは15時間以上のマネジメント分野を含む)の研修修了が求められ、この要件は令和8年度から適用されています(令和7年9月16日 こ成基202・7初幼教第4号)。令和7年度は45時間以上で足りていた園も、令和8年度の申請では修了時間を確かめ直す必要があります。若手リーダーは合計15時間以上です。
3つ目は単価です。令和8年度の公定価格では、令和7年補正予算で措置された保育士・幼稚園教諭等の人件費5.3%の改善が引き続き確保されています。
ただし、令和8年度の見直しは処遇改善等加算だけではありません。経営情報等の報告をしていない園に対する基本分単価5%の減算(令和8年7月から)や、年齢別配置基準を下回る場合の減算の適用時期の見直しも同じ年度の改定事項です。加算の計算と併せて、公定価格全体の見直し事項にも一度目を通してみてください。
加算額の計算の流れ
計算は毎年同じ順番です。通知の算式に沿って、園で用意する数字を確かめてみてください。
令和8年度の加算額を組み立てる4つの段階
平均経験年数を出す
4月1日時点で、対象職員の勤続年月数を合算して職員数で割る(6月以上の端数は1年に切り上げ)。対象は職種を問わず、就業規則で定めた常勤の勤務時間に達している職員(教育・保育に従事する職員は、その時間が月120時間以上の場合に限る)と、それ以外でも1日6時間以上かつ月20日以上勤務する職員。勤続年月数は自園だけでなく他の施設・事業所での勤務も通算する。加算率はこの年数で決まり、10年以上なら区分1は12%
区分2の見込額を出す
加算当年度の区分2の単価に加算率と見込平均利用子ども数、賃金改善実施期間の月数を掛ける
区分3の人数を出す
人数A(基礎職員数×1/3)と人数B(基礎職員数×1/5)を計算し、研修修了者が足りなければ修了者数に置き換える。区分3-①は月額4万円を超えない範囲、区分3-②は原則月額5千円(副主任保育士等の改善額のうち最も低い額を上回らない範囲で、月額5千円以上4万円未満にもできる)
配分先を決める
区分2と区分3を合わせた改善額の1/2以上を基本給か毎月決まって支払う手当にし、区分3の分は全額を役職手当・職務手当など毎月の手当か基本給で改善する。配分の方針はあらかじめ職員に周知し、対象者や改善額が恣意的に偏らないようにする。法定福利費の事業主負担分の増加も見込んでおく
実績報告で確かめる4つの点
加算当年度の翌年度速やかに、別紙様式6「賃金改善実績報告書」を市町村に提出します。職員ごとの賃金水準を示す明細(様式6別添1)も添付するので、給与台帳と突き合わせられる状態にしておきます。
| 確かめる点 | 通知の要件 |
|---|---|
| 改善額が加算額以上か | 区分2・区分3それぞれで改善等実績総額が加算額を下回っていないこと。下回ったら差額を速やかに賃金として支払う |
| 賃金水準が基準年度を下回っていないか | 加算の影響を除いた賃金総額が基準年度を下回らないこと。下回ったら翌年度内に一時金などで差額を支払う。加算額が減った場合などに必要事項を記載した「特別な事情に係る届出書」を出したときは、要件を満たすものとできる |
| 基本給・固定手当が1/2以上か | 区分2と区分3を合わせた改善額の1/2以上を基本給か決まって毎月支払われる手当で改善していること。区分3の加算額は全額を毎月の手当か基本給で改善していること |
| 証拠書類がそろっているか | 賃金改善の内容を示す帳簿と証拠書類を整理し、実績報告後5年間保管すること |
では、改善額が加算額に届かず残額が出たらどうなるのでしょうか。残額が出ること自体は珍しくありません。翌年度内に一時金などで支払い、その支払いが完了したことを実績報告や監査で確認される、というのが通知の流れです。
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