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私学助成の監査と施設型給付の外部監査 — 同じ「会計士の監査」でも仕組みが違う

幼稚園の世界で「会計士の監査」というとき、実は2つの別の仕組みが混ざっています。私学助成とセットの監査と、施設型給付の園の外部監査です。この記事では、この2つの違いと、施設型給付へ移行したときに監査がどうなるかを整理します。

この記事の要点

  • 私学助成の監査は、補助金を受ける学校法人に法律で定められた義務
  • 施設型給付の外部監査は義務ではなく、園が選んで使う仕組み。費用は外部監査費加算が手当てする
  • 移行すると監査の根拠は変わるが、監査で得ていた決算の信頼性は加算を使って続けられる

私学助成の監査 — 補助金とセットの義務

私学助成 (経常費の補助金) を受けて運営する幼稚園の学校法人は、私立学校振興助成法により、計算書類とその附属明細書について公認会計士または監査法人の監査を受けることが原則として義務付けられています。

監査を受けたうえで、毎会計年度の終了後3か月以内に、監査報告を添えて計算書類等を所轄庁に提出します。補助金の額が少額の場合に所轄庁の許可を受けたときだけ、例外的に監査が不要になります。

つまりこの監査は、補助金を受けることの条件として法律が求めているものです。受けるかどうかを園が選ぶ余地は、基本的にありません。

施設型給付の外部監査 — 任意だが、費用の手当てつき

一方、施設型給付 (公定価格) を受ける園の外部監査は、法律上の義務ではありません。園が自らの判断で公認会計士等と契約し、計算書類とお金の管理の仕組みを点検してもらうものです。

義務ではない代わりに、公定価格には外部監査費加算という費用の手当てが用意されています。外部監査を受けた園に、年1回・3月分の給付費に上乗せされる仕組みで、監査報酬が加算の範囲に収まれば園の実質負担はありません。

さらに、国の通知では、幼稚園・認定こども園の設置者が会計について外部監査を受けている場合、軽微とは認められない指摘を受けたときを除き、外部監査の対象となっている会計は市町村の指導の対象としないことができるとされています。費用が手当てされるうえに、自治体の指導監査で会計項目が外れ得る — 任意の仕組みとしては、園にとってかなり使い勝手のよい設計です。

ただし「できる」という定めなので、実際の取り扱いは自治体ごとに異なります。園を所管する自治体に確かめてください。

2つの監査を並べると

私学助成の監査と施設型給付の外部監査の違い
観点私学助成の監査施設型給付の外部監査
受けるかどうか法律上の義務 (原則)園が選ぶ (任意)
根拠私立学校振興助成法公定価格の外部監査費加算
費用園の負担 (補助金の対象経費の範囲で運営)外部監査費加算が手当て
提出先との関係監査報告を添えて所轄庁へ提出提出義務はなく、園が結果を運営に生かす

どちらも「独立した会計士が計算書類を点検する」という中身は共通です。違うのは、受ける理由と費用の出どころだと押さえてください。ご自身の園は、どちらの仕組みに当たるでしょうか。

施設型給付へ移行すると監査はどうなるか

私学助成園が施設型給付へ移行すると、収入の柱が経常費補助から公定価格の給付費に変わります。これに伴い、補助金とセットだった義務監査の前提も変わります。

ただし、監査で得ていたもの — 決算の信頼性、お金の管理の点検 — の価値は移行後も変わりません。加えて移行後は、外部監査費加算による費用の手当てと、指導監査で会計項目が対象から外れ得る扱いが付いてきます。実質負担を抑えて監査を続ける道が用意されている、と言い換えてもよいでしょう。

移行を検討している園は、移行後の監査をどうするかもあわせて設計しておくと、切り替えがスムーズです。

Q. 私学助成のままの幼稚園でも、外部監査費加算は使えますか。

使えません。外部監査費加算は施設型給付 (公定価格) の加算なので、私学助成園には付きません。私学助成園の監査は、補助金とセットの義務監査として位置づけられています。

Q. 施設型給付に移行したら、監査はやめてもよいのですか。

義務という意味では前提が変わります。ただ、決算の信頼性や事務改善という監査の価値は続くうえ、外部監査費加算で費用が手当てされ、さらに指導監査の会計項目が対象から外れ得るため、多くの園にとって「続けない理由がない」仕組みになっています。判断に迷うときはご相談ください。

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