資金収支計算書の収入の部と支出の部の終わりにある「資金収入調整勘定」「資金支出調整勘定」で、毎年手が止まる事務担当者の方へ。4つの科目が何を直しているのかを学校法人会計基準の条文に沿って整理し、決算の前に貸借対照表の残高と突き合わせる手順にまとめます。
資金収支計算書の調整勘定 — 期末未収入金・前期末前受金・期末未払金・前期末前払金の仕組みと確かめ方
この記事の要点
- 資金収支計算書は、その年度の活動に対応する全ての収入・支出と、支払資金 (現金といつでも引き出せる預貯金) の収入・支出の両方を表す1
- 年度をまたぐ取引は、期末未収入金・前期末前受金を収入の部の控除科目、期末未払金・前期末前払金を支出の部の控除科目にして支払資金の動きに合わせる2
- 決算では、貸借対照表の未収入金・前受金・未払金・前払金の残高と4つの調整勘定の額が結び付くかを確かめておきましょう
資金収支計算書は2つのことを同時に表す — 活動に対応する収支と、支払資金の動き
資金収支計算書は、その会計年度の諸活動に対応する全ての収入と支出の内容と、その年度の支払資金の収入と支出のてん末を明瞭に表示する計算書です1。支払資金とは、現金といつでも引き出すことができる預貯金をいいます1。園では、施設型給付費と利用者負担額が収入の中心です。
収入の部には、その年度の活動に対応する収入を科目ごとに載せます。4月分の保育料を3月に受け取った、3月の光熱水費を4月に払った、という年度のずれをそのまま載せると、支払資金の動きと合わなくなります。そこで、資金収入の計算と資金支出の計算に、年度のずれを直す項目が組み込まれています2。
4つの科目の意味 — 年度のずれを収入と支出でそれぞれ直す
| 科目 | 置き場 | 意味1 | 園での例 |
|---|---|---|---|
| 期末未収入金 | 資金収入調整勘定 (収入の部の控除) | その年度の活動に対応する収入で、翌年度以後に支払資金の収入になるもの | 3月分の預かり保育の利用料や補助金の精算分で、4月以降に入金されるもの |
| 前期末前受金 | 資金収入調整勘定 (収入の部の控除) | その年度の活動に対応する収入で、前年度以前に支払資金の収入になったもの | 前年度の3月までに受け取った4月分の保育料 |
| 期末未払金 | 資金支出調整勘定 (支出の部の控除) | その年度の活動に対応する支出で、翌年度以後に支払資金の支出になるもの | 3月に納品された教材や3月分の光熱水費で、4月以降に支払うもの |
| 前期末前払金 | 資金支出調整勘定 (支出の部の控除) | その年度の活動に対応する支出で、前年度以前に支払資金の支出になったもの | 前年度の3月に支払った4月分の賃借料や保険料 |
根拠:1学校法人会計基準33条
4つの科目の名前は、年度の「どちら側」のずれかを表しています。期末と付くものは当期末に残っている分、前期末と付くものは前年度末に残っていた分です。前受金と前払金はお金が先、未収入金と未払金は活動が先、と覚えると取り違えが減ります。手元の資金収支計算書で、4つの科目の位置を確かめてみてください。
なぜ控除科目なのか — 活動に対応する収入から支払資金の収入へ直す
その年度の資金収入のうち前期末前受金と期末未収入金は、収入の部の控除科目として記載します1。資金支出のうち前期末前払金と期末未払金は、支出の部の控除科目として記載します2。控除科目なので、計算書ではマイナスの額で載ります。
収入の部の科目には、その年度の活動に対応する収入を載せています。前年度に入金済みの分 (前期末前受金) と翌年度に入金される分 (期末未収入金) を差し引くと、その年度に実際に入った支払資金の収入に戻ります。支出の部も同じ考え方で、前年度に支払済みの分と翌年度に支払う分を差し引きます3。
一方で、翌年度の活動のために今年度受け取ったお金は、その他の収入とは別の大科目である前受金収入に載ります4。前年度末の未収入金が今年度に入金されたときは、前期末未収入金収入です4。調整勘定と、前受金収入・前期末未収入金収入は役割が違うので、同じ取引を両方に入れないようにしましょう。
根拠:1学校法人会計基準37条1項2同37条2項3同33条4同別表第三
活動区分資金収支計算書の「調整勘定等」は別物
活動区分資金収支計算書では、区分ごとの差引の行と収支差額の行のあいだに、調整勘定等の行が置かれています(6高私参第27号)。日本公認会計士協会の実務指針は、調整勘定等に入るのは前受金・未収入金・未払金・前払金に関する項目と、手形債権・債務に関する項目だとしています(実務指針第45号)。
知事所轄で会計監査人を置かない法人は、活動区分資金収支計算書を作らないことができます1。ただ、資金収支計算書の調整勘定は省略の対象ではないので、活動区分資金収支計算書を作らない園でも4つの科目は毎年確かめます。
根拠:1学校法人会計基準50条
決算前の確かめ方 — 貸借対照表の残高と突き合わせる
決算の前に、次の順で突き合わせてみてください。
調整勘定の確認
貸借対照表の残高を出す
未収入金・前受金・未払金・前払金の前期末残高と当期末残高を並べる
収入側を結び付ける
当期末の未収入金の残高が期末未収入金、前期末の前受金の残高が前期末前受金に対応するかを見ておきましょう
支出側を結び付ける
当期末の未払金の残高が期末未払金、前期末の前払金の残高が前期末前払金に対応するかを見ておきましょう
支払資金を確かめる
翌年度繰越支払資金が、現金といつでも引き出せる預貯金の年度末残高と一致するかを見る1
差があれば理由を書く
前年度以前の活動に対応する未収入金でまだ回収できていないものや、定期預金のように支払資金に含めない預貯金を書き出す
根拠:1学校法人会計基準32条
| 科目 | 前期末残高 | 当期末残高 | 資金収支計算書の調整勘定の額 | 一致するか | 差の理由 |
|---|---|---|---|---|---|
| 未収入金 (期末未収入金) | |||||
| 前受金 (前期末前受金) | |||||
| 未払金 (期末未払金) | |||||
| 前払金 (前期末前払金) | |||||
| 現金預金 (翌年度繰越支払資金) |
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