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貸借対照表で園の健康状態を見る 見るのは3か所だけ

決算書類の中で、貸借対照表は「どこを見ればよいか分からない」と言われがちな1枚です。この記事では、園の理事長・事務長が貸借対照表から園の健康状態を読み取るための見どころを、3か所に絞って説明します。

この記事の要点

  • 貸借対照表は年度末時点の「財産の一覧表」。1年の収支ではなく、これまでの積み重ねの結果が出る
  • 見るのは ①流動資産と流動負債のバランス ②純資産の中身 ③前年との増減 の3か所
  • 繰越収支差額のマイナスは、それだけでは赤信号ではない。基本金の仕組みとセットで読む

貸借対照表は年度末の「財産の一覧表」

資金収支計算書や事業活動収支計算書が「1年間の動き」を表すのに対し、貸借対照表は年度末というその一日の時点で、園に何がどれだけあるかを表します。

学校法人会計基準は、貸借対照表を「当該会計年度末現在における全ての資産、負債及び純資産の状態を明瞭に表示するものとする」と定めています (第17条)。開園以来の積み重ねの結果が全部ここに乗る、と考えてください。

3つの部の関係 — 財産から借りを引いた残りが純資産

貸借対照表は3つの部でできています。関係は単純で、資産から負債を引いた残りが純資産です。

貸借対照表の3つの部
中身園での例
資産の部園が持っているもの (固定資産と流動資産)園舎・園庭・設備、現金預金
負債の部いずれ支払う・返すもの (固定負債と流動負債)借入金、未払金、預り金
純資産の部資産から負債を引いた正味の財産基本金、繰越収支差額

見どころ1 — 流動資産と流動負債のバランス

最初に見るのは、流動資産 (現金預金など近いうちに使えるもの) と流動負債 (近いうちに支払うもの) の比較です。

見どころ2 — 純資産の中身: 基本金と繰越収支差額

純資産の部は、基本金と繰越収支差額の2つでできています。基本金は園舎・設備など園を続けるために維持すべき元手、繰越収支差額は毎年の収支差額の累計です。

見どころ3 — 前年との増減

貸借対照表は、当年度末の額を前年度末の額と対比して記載する決まりです (第18条)。つまり1枚の中に「去年との比較」が最初から入っています

現金預金は増えたか減ったか。借入金は減っているか。純資産は積み上がっているか。この増減の向きを毎年同じ目線で見ていくだけで、園の健康状態の推移がつかめます。

数字の信頼性が土台 — 帳簿と実物が合っているか

以上の読み方は、載っている数字が正しいことが前提です。建物や設備が減価償却後の適切な残額になっているか、固定資産台帳と現物が合っているか、預金残高が通帳と一致しているか。

この土台の点検こそ、公認会計士等による外部監査の仕事です。数字の信頼性を整えたうえで貸借対照表を経営に使う、という順番をおすすめします。

Q. 繰越収支差額がマイナスでした。すぐに問題ですか。

すぐに問題とは限りません。基本金組入れが先に行われる仕組み上、園舎の取得後などはマイナスになりやすいためです。マイナス幅が毎年広がっていないか、流動資産と流動負債のバランスに問題がないかをあわせて見てください。

Q. 貸借対照表と資金収支計算書は、どちらを先に見るべきですか。

日々の資金繰りが気になるなら資金収支計算書、園の体力を知りたいなら貸借対照表です。役割が違うので、決算のときは両方をひと通り眺めるのが理想です。

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