園バスの運転手の人件費や燃料費が年々重くなり、通園送迎加算とバス代の実費徴収でどこまで賄えているのか分からなくなっている事務長の方へ。通園送迎加算の要件と付き方、2号・3号の子どものバス代の扱い、園の会計での置き場を、こども家庭庁の留意事項通知とFAQ、国の運営基準に沿って整理します。
園バスの費用と通園送迎加算 — 1号全員に付く加算・2号3号の実費徴収・運行委託でも加算
この記事の要点
- 通園送迎加算は、利用子どもの通園の便宜のため送迎を行う施設に付く加算で、通園送迎を利用していない園児にも同額を加算し、長期休業期間の単価にも加算する(こ成保38)
- 施設として送迎を実施していれば1号認定の子ども全体に加算が付く。2号・3号の子どももバスを利用でき、加算で不足する経費は1〜3号の区分にかかわらず利用者から同額の実費徴収ができる(FAQ No.87)
- 園に通う際に提供される便宜に要する費用は実費として保護者から支払を受けられ、求める前に使途・額・理由を書面で明らかにして説明し、同意を得る1
通園送迎加算の仕組み — 施設として送迎していれば、1号の子ども全員に付く
施設型給付費の額は、公定価格 (内閣総理大臣が定める基準により算定した費用の額) から、市町村が定める利用者負担額を引いた額です1。通園送迎加算は、この公定価格のうち幼稚園と認定こども園の1号認定の子どもの単価に設けられた加算です(FAQ No.87)。2号・3号の子どもの単価にはありません(FAQ No.87)。
加算の要件は、原則として、利用子どもの通園の便宜のため送迎を行う施設であることです(こ成保38)。ただし、年度当初の時点で送迎を希望する児童がいない場合は算定できず、年度途中から送迎を行うことになった場合は、その日の属する月から算定できます(FAQ No.357)。年間に必要な経費を平準化して単価を設定しているため、通園送迎を利用していない園児についても同額を加算し、長期休業期間の単価にも加算するとされています(こ成保38)。送迎の実施方法は、運転手を雇用して実施しても業務委託して実施しても問いません(こ成保38)。
加算の認定は施設が所在する市町村が行い、設置者からの申請 (施設名、加算の適用年月、利用子ども数の見込み、通園送迎の実施状況が分かる資料) を徴して確認します(こ成保38)。要件に適合しなくなったときは、原則として、適合しなくなった日の属する月の翌月 (月の初日に適合しなくなった場合はその月) から加算の適用が無くなります(こ成保38)。ただし、年度途中で送迎を希望する児童がいなくなった場合でも、その年度中は算定できるとされています(FAQ No.357)。送迎をやめる・業者を替えるときは、市町村への連絡を先に段取りに入れてみてください。
| 項目 | 取扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 対象 | 幼稚園・認定こども園の1号認定の子どもの単価に加算。施設として送迎を実施していれば1号の子ども全体に付く | FAQ No.87 |
| 利用していない子ども | 通園送迎を利用していない園児にも同額を加算 | こ成保38 |
| 長期休業期間 | 長期休業期間の単価にも加算 | こ成保38・FAQ No.31 |
| 運行の方法 | 運転手の雇用でも業務委託でも問わない | こ成保38・FAQ No.30 |
| 2号・3号の子ども | 単価に加算は無い。バスは利用でき、不足分は同額の実費徴収で賄う | FAQ No.87 |
| 認定 | 施設が所在する市町村に申請して認定を受ける | こ成保38 |
| 送迎を希望する児童 | 年度当初に希望する児童がいなければ算定できない。年度途中に送迎を始めればその月から算定でき、年度途中で希望する児童がいなくなってもその年度中は算定できる | FAQ No.357 |
2号・3号の子どもとバス代 — 加算が無い分は、同額の実費徴収で賄う
こども家庭庁のFAQは、通園送迎加算は送迎を利用する一部の1号認定子どもにだけ加算されるのではなく、施設として送迎を実施していれば1号認定子ども全体に加算が付くとしています(FAQ No.87)。2号・3号の子どももバスを利用でき、加算額で不足する必要経費は、1〜3号の区分にかかわらず、バス利用者から同額の実費徴収を行って構わないとされています(FAQ No.87)。
国の運営基準は、園が特定教育・保育において提供される便宜に要する費用のうち、園に通う際に提供される便宜に要する費用の支払を保護者から受けることができるとしています1。支払を受けたときは、その費用の領収証を支払った保護者に交付します2。
原則
園に通う際に提供される便宜に要する費用は、実費として保護者から支払を受けることができる。
運営基準13条4項4号
ただし
支払を求める前に、使途・額・理由を書面で明らかにして保護者に説明し、同意を得る。上乗せ徴収と違い、実費徴収の同意は文書によることを要しない。
運営基準13条6項
バス代の額は、運行にかかる費用と加算の額を見比べて決めます。1号の子どもには加算が付き、2号・3号の子どもには付かないからといって、2号・3号の子どものバス代を加算の分だけ高くする必要はなく、FAQは1〜3号で同額の実費徴収を示しています(FAQ No.87)。園のバス代の額が、1号と2号・3号で同じになっているか確かめてみてください。
園の会計 — 車両・運行費・委託料・バス代収入の置き場
園バスの購入代金は、貸借対照表の有形固定資産の車両に載ります1。車両のように時の経過で価値が減る固定資産は定額法で減価償却を行い、その会計年度分の減価償却額が経費に載ります2。耐用年数の決め方と計算書での見え方は、減価償却の記事にまとめています。
運転手の人件費や燃料費、保険料、車検・修繕費、運行委託料は、その会計年度に消費した資産の取得価額と、その会計年度に受けた用役の対価に基づいて、その年度の事業活動支出に載せます3。
教育研究経費と管理経費の区分は、文部省の通知が示す7つの項目に該当することが明らかな経費を管理経費とし、それ以外は主たる使途に従ってどちらかに含めます(雑管第118号)。園バスは園児の通園のための設備なので、運行の費用と減価償却額は、原則として教育研究経費に置くことをお勧めします。ただし、法人が雇用する運転手の給与は教育研究経費に入れず、人件費の大科目の職員人件費 (教員以外の職員に支給する本俸・期末手当・その他の手当・所定福利費) に置きます4。小科目は法人の経理規程に合わせ、前年度と同じ置き方を続けましょう。
根拠:1学校法人会計基準別表第一2同8条・学校法人会計基準別表第二3同24条2項4同別表第二
バス代の実費徴収は園の収入です。保護者から集めたバス代を業者へそのまま渡すだけの形でなければ、補助活動収入などの小科目に置くものと考えています。通園送迎加算は施設型給付費の一部として入金されるので、加算の額を別の科目に分けなくても、下の様式で加算の年額を把握しておけば足りると考えています。
園バスの収支を年に1回見直す段取り
加算の年額を出す
1号の利用子ども数に通園送迎加算の単価 (処遇改善等加算の分を含む) を掛け、長期休業期間を含む年額にする
バスの経費を年額で並べる
運転手の人件費か運行委託料、燃料費、保険料、車検・修繕費、減価償却額
実費徴収の額を見直す
加算で不足する分を利用者数で割り、1号と2号・3号で同額にする。額を変えるときは使途・額・理由を書面で示して説明し、同意を得る
市町村の認定を確かめる
送迎の実施状況や利用子ども数の見込みが変わったら、市町村に申請の内容を確かめる
科目をそろえる
収入と支出の科目を前年度と同じにし、変えるときは理由を記録に残す
| 項目 | 年額 | 利用者1人あたりの月額 | 根拠・資料 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 通園送迎加算 (1号の利用子ども数 × 単価 × 12か月) | 市町村の加算の認定通知・給付費の支払通知 | |||
| バス代の実費徴収 (1〜3号) | 同意書・徴収の台帳 | |||
| 運転手の人件費・運行委託料 | 給与台帳・委託契約書 | |||
| 燃料費・保険料・車検・修繕費 | 請求書 | |||
| 減価償却額 | 固定資産台帳 | |||
| 差引 (加算 + 実費徴収 − 経費) |
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出典
- こども家庭庁 特定教育・保育等に要する費用の額の算定に関する基準等の実施上の留意事項について (令和5年5月19日 5文科初第483号・こ成保38、最終改正 令和8年4月8日) 別紙1・別紙3 通園送迎加算
- こども家庭庁 公定価格に関するFAQ (よくある質問) 第32版 (令和8年7月24日時点版) No.30・31・87・357
- こども家庭庁 幼児教育・保育の無償化制度でよくあるご質問 (1) Q7 (通園送迎費・食材料費・行事費は対象外)
- e-Gov法令検索 特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業並びに特定子ども・子育て支援施設等の運営に関する基準 (13条)
- e-Gov法令検索 子ども・子育て支援法 (27条)
- e-Gov法令検索 学校法人会計基準 (8条・24条・別表第一・別表第二)
- 文部科学省 「教育研究経費と管理経費の区分について (報告)」について (通知) の別紙 (雑管第118号)
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