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上乗せ徴収 (特定負担額) と実費徴収 — 保護者への説明と同意・園の会計処理・無償化との関係

「無償化なのに、園はまだお金を集めるのか」— 保護者からそう聞かれて、園長が言葉に詰まる場面があります。施設型給付を受ける園が保護者から集められるお金は、実費徴収と上乗せ徴収 (特定負担額) の2つに限られ、それぞれに説明と同意の決まりがあります。この記事では、2つの違い、公定価格と無償化との関係、保護者への説明と同意の手続き、園の会計での科目を整理し、保護者へ示す一覧表を写して使える形にまとめます。

この記事の要点

  • 実費徴収は、日用品や文房具などの物品の購入、行事への参加、食事の提供、通園の便宜など、園の利用で通常必要になる費用のうち保護者に負担してもらうのが適当なもの。上乗せ徴収は、教育・保育の質の向上を図る上で特に必要な対価で、特定負担額とも呼ぶ
  • 施設型給付費の額は、公定価格から市町村が定める利用者負担額を引いた額1。実費徴収と上乗せ徴収はこの公定価格の外側のお金で、無償化後も園が保護者から支払を受けられる
  • 園は市町村の条例で定める運営の基準に従って教育・保育を提供する義務がある2。実費徴収と上乗せ徴収の説明・同意の決まりは、条例のもとになる国の運営基準 (内閣府令) にある

根拠:1子ども・子育て支援法27条3項2同34条2項

公定価格のまわりで保護者から集めるお金は3つ — 利用者負担額・実費徴収・上乗せ徴収

施設型給付を受ける園の収入は、公定価格 (内閣総理大臣が定める基準により算定した費用の額) から、市町村が世帯の所得などを勘案して定める利用者負担額を引いた施設型給付費と、その利用者負担額の2つが土台です1。令和元年10月の無償化で、3〜5歳の子どもの利用料は無料になり、0〜2歳は住民税非課税世帯が無料になりました。1号認定の子どもの預かり保育の利用料は、この記事で扱う3つとは別枠です。

根拠:1子ども・子育て支援法27条3項

これとは別に、公定価格に含まれない費用を保護者に負担してもらう仕組みが実費徴収と上乗せ徴収です。国の運営基準は、実費として、日用品・文房具などの物品の購入、行事への参加、食事の提供、通園の便宜に要する費用と、園の利用で通常必要とされ保護者に負担させることが適当なものを挙げています。上乗せ徴収は、教育・保育の質の向上を図る上で特に必要と認められる対価で、見込まれる費用と公定価格との差額の範囲内で額を設定するものです。特定負担額とも呼びます。

保護者から集めるお金の3つの区分
区分何のお金か無償化との関係園の会計での扱い
利用者負担額 (保育料)公定価格のうち保護者が負担する分。市町村が額を決める3〜5歳は無償。0〜2歳は住民税非課税世帯だけ無償園が徴収する分は園の収入。無償の分は施設型給付費として市町村から入る
実費徴収物品の購入・行事・食事の提供・通園の便宜など、利用に通常必要な費用無償化後も運営基準のもとで集められる。ただし副食費には免除の仕組みがある園の収入
上乗せ徴収 (特定負担額)質の向上を図る上で特に必要な対価。公定価格との差額の範囲内で設定無償化後も運営基準のもとで集められる園の収入

運営基準は、実費や上乗せの費用の支払を受けたときは、その費用の領収証を保護者に交付することも求めています。園の側から見ると、加算で足りる分は加算で、足りない分と質の上乗せは保護者から、という切り分けです。

原則

食事の提供に要する費用は、実費として保護者から支払を受けられる。

平成26年内閣府令の運営基準

ただし

満3歳未満の保育認定子どもへの食事の提供と、副食費の免除の対象になる子どもへの副食の提供は、この実費から除かれる。

平成26年内閣府令の運営基準

説明と同意 — 実費徴収は説明、上乗せ徴収は書面の同意

園は、市町村の条例で定める特定教育・保育施設の運営に関する基準に従って教育・保育を提供しなければなりません1。市町村がこの条例を定めるときは、利用定員と、子どもの適切な処遇の確保などに関する事項は内閣府令で定める基準に従い、そのほかの事項は内閣府令の基準を参酌します2。実費徴収と上乗せ徴収の決まりは、この運営の基準の中に置かれています。

原則

実費徴収と上乗せ徴収は、求める前に使途・額・理由を書面で明らかにし、保護者に説明して同意を得る。

特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営に関する基準・平成26年内閣府令

ただし

上乗せ徴収の同意は文書によらなければならないが、実費徴収の同意は文書によることを要しない。

平成26年内閣府令の運営基準

運営基準は、上乗せ徴収と実費徴収のどちらも、求める前に使途・額・理由を書面で明らかにして保護者に説明し、同意を得ることを求めています。文書による同意が要るのは上乗せ徴収で、実費徴収の同意は文書によらなくてもよいとされています。園の運営規程にも、保護者から支払を受ける費用の種類、支払を求める理由とその額を定めておくことが運営基準で求められています。

保護者から利用の申込みを受けたときは、正当な理由がなければ拒めません3。園を所管する市町村の条例と手引で、自園の市町村での書き方を確かめてください。

根拠:1子ども・子育て支援法34条2項2同34条3項3同33条1項

園の会計 — 科目・時期・預り金との線引き

実費徴収も上乗せ徴収も、運営基準のもとで園が保護者から支払を受けるお金なので、園の収入です。学校法人会計基準の記載科目では、学生生徒等納付金の小科目に授業料・入学金・実験実習料・施設設備資金があり、付随事業収入の小科目に補助活動収入があります1。上乗せ徴収 (特定負担額) は学生生徒等納付金の中の小科目に、実費徴収は補助活動収入や教材費などの小科目に置くものと考えていますが、所轄庁の手引があればそれに合わせてください。業者へそのまま渡すだけのアルバム代や写真代は、預り金にして園の収入と分けておきましょう。

根拠:1学校法人会計基準別表第二

上乗せ徴収を新しく始めるときの段取り

  1. 使途と額を決める

    何に使うかを一文で書き、年間の費用から1人あたりの月額か年額を出す

  2. 市町村に確かめ、運営規程に書く

    条例の運営の基準と手引に沿って説明の文書と同意書の形を確かめ、費用の種類・理由・額を運営規程に定める

  3. 保護者に書面で説明する

    使途・額・理由を書いた文書を配り、説明の機会を設ける

  4. 文書で同意を得る

    保護者の署名のある同意書を園児ごとに保管する

  5. 会計に載せる

    教育・保育を提供する年度の収入として計上し、入園前に受け取った分は前受金で翌年度へ持ち越しましょう

副食費は実費徴収の1つですが、年収360万円未満相当の世帯と第3子以降の子どもは免除の対象で、その分は加算として給付費に入ります。免除の対象になる子どもを市町村からの通知で確かめてから、副食費を集める子どもを決めましょう。

保護者へ示す「園が集めるお金」の一覧 (年度初めの説明用)
区分項目額 (月額・年額)使途同意の形 (説明・書面)免除・返金の扱い
実費徴収給食費 (主食費・副食費)
実費徴収教材費
実費徴収通園バス代
実費徴収行事費 (遠足など)
上乗せ徴収特定負担額
預り金 (園の収入でない)卒園アルバム代・写真代

園の会計や監査の準備で迷うところがあれば、無料相談でお聞きください。

まとめ — 3つの区分を、保護者に見せる一覧で示す

公定価格のまわりで保護者から集めるお金は、市町村が決める利用者負担額、利用に通常必要な実費徴収、質の向上に充てる上乗せ徴収の3つで、1号認定の子どもの預かり保育の利用料は別枠です。無償化で無料になったのは利用料で、実費徴収と上乗せ徴収は説明と同意のもとで続きます。園の会計ではどちらも園の収入で、業者へ渡すだけの預り金とは分けます。

年度初めの説明会で使う一覧を、上の様式の形で作ってみてください。あなたの園の一覧には、上乗せ徴収の「使途」の欄があるでしょうか。

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