「年末調整が終わったと思ったら、1月末までに出す書類がまた並んでいる」— 園の事務長にとって、1月は年末調整の続きの月です。この記事では、園が1月31日までに税務署と市町村に出す3つの書類 (法定調書合計表・給与支払報告書・償却資産申告書) について、根拠、対象、期限、園で迷いやすい点を整理し、段取りの表を写して使える形にまとめます。
園が1月に出す税務の書類 — 法定調書合計表・給与支払報告書・償却資産申告書の段取り
この記事の要点
- 給与を払う園は、職員ごとの源泉徴収票を作り、翌年1月31日までに税務署に提出し、本人に交付する1。令和9年1月1日以後に提出すべき源泉徴収票は、市区町村に給与支払報告書を提出すれば税務署に提出したものとみなされる2
- 1月1日現在で給与を払い源泉徴収の義務がある園は、給与を受けている人の前年の給与所得の金額などを、その人の1月1日現在の住所の市町村ごとに給与支払報告書にして1月31日までに提出する3
- 園舎や遊具のように学校法人が直接保育・教育の用に供する固定資産は固定資産税が非課税。課税される償却資産があれば、1月1日現在の状況を1月31日までに市町村長に申告する4
1月31日に3つの書類の期限が重なる
園が1月に出す税務の書類は、宛先が違う3つに分かれます。税務署に出す法定調書 (源泉徴収票・支払調書) とその合計表、市町村に出す給与支払報告書、市町村に出す償却資産の申告書です。どれも期限は1月31日で、休日に当たる年は翌開庁日になります。
| 書類 | 出す相手 | 何を書くか | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 給与所得の源泉徴収票と法定調書合計表 | 税務署 | 前年に支払の確定した給与について、職員ごとの源泉徴収票。令和9年1月以後は市区町村への給与支払報告書の提出で税務署への提出とみなされる。報酬・料金などの支払調書も同じ合計表にまとめる | 所得税法225条・226条 |
| 給与支払報告書 | 職員の1月1日現在の住所の市町村 | 前年中の給与所得の金額など。市町村ごとに作り、給与を受けている人は全員分 | 地方税法317条の6 |
| 償却資産申告書 | 償却資産の所在する市町村 | 1月1日現在の償却資産の所在・種類・数量・取得時期・取得価額・耐用年数など | 地方税法383条 |
法定調書合計表の様式は、国税庁の通達 (法定資料の合計表の様式の制定について) で定められています。年末調整の計算が終わっていれば、源泉徴収票と給与支払報告書は同じ数字から作れるので、1月の仕事の中心は「誰の分をどこに出すか」の仕分けです。
税務署に出すもの — 源泉徴収票は「全員に交付」、提出は令和9年1月から給与支払報告書で足りる
居住者に給与等を払う園は、その年に支払の確定した給与等について、支払を受ける人ごとに源泉徴収票を2通作り、翌年1月31日までに1通を税務署長に提出し、もう1通を本人に交付します1。年の途中で退職した人の分は、退職の日以後1か月以内です。令和9年1月1日以後に提出すべき源泉徴収票については、市区町村に給与支払報告書を提出した場合には税務署に提出したものとみなされます2。
退職金を払った人には、退職所得の源泉徴収票も退職の日以後1か月以内に作り、本人に交付します3。税務署へ提出するのは法人の役員に払った分だけで、一般の職員の分は本人への交付だけでよいとされているので、退職者の名簿に役員かどうかの欄を足しておきましょう。
国税庁は、このみなし提出により、税務署提出用の源泉徴収票を作成し提出する必要がなくなると案内しています(国税庁 タックスアンサー No.7411)。同じ案内によれば、令和9年1月1日以後の提出の範囲は、年の中途で退職した人でその年中の給与の支払金額が30万円以下の人を除く、すべての給与に変わります。令和8年中に提出する分 (年の中途で退職した人の分など) は、従来どおり受給者の区分と支払金額で決まる提出の範囲によります。
園医や講師への謝金のように、給与でなく報酬・料金として払ったものは、支払調書の対象になり得ます。園舎や駐車場の地代・家賃を個人の地主・大家に払っている園は、不動産の使用料等の支払調書の対象にもなり得ます4。支払調書は、その支払の確定した日の属する年の翌年1月31日までに税務署長に提出します5。提出が要る範囲は支払の種類と、同じ支払先への年間の支払額で決まるので、園の支払先を年末に一覧にして確かめてください。
根拠:1所得税法226条1項2同226条3同226条2項4同225条1項9号5同225条1項
原則
地代・家賃などの不動産の使用料等の支払調書は、同じ支払先へのその年中の支払金額の合計が15万円を超えるものを提出する。
所得税法225条1項9号・所得税法施行規則90条3項2号
ただし
園舎の用地や建物を買った年は、不動産等の譲受けの対価の支払調書も対象で、同じ支払先へのその年中の支払金額の合計が100万円を超えるものを提出する。
所得税法225条1項9号・所得税法施行規則90条3項1号
売買や賃借の仲介手数料を払った年は、不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書も対象で、同じ支払先への年間の合計が15万円を超えるものを提出する。
所得税法施行規則90条3項2号
支払先が内国法人 (会社など) のときは、家賃・地代そのものは対象外で、不動産等の譲渡の対価と地上権・賃借権など権利の設定の対価に限られる。
所得税法施行規則90条1項
原則
給与を払う園は、支払を受ける人ごとに源泉徴収票を作り、翌年1月31日までに税務署長に提出し本人に交付する。
所得税法226条1項
ただし
年の途中で退職した人の分は、退職の日以後1か月以内に提出・交付する。
所得税法226条1項
退職手当の源泉徴収票も、退職の日以後1か月以内に提出・交付する。
所得税法226条2項
令和9年1月1日以後に提出すべき源泉徴収票は、市区町村に給与支払報告書を提出すれば税務署に提出したものとみなされる。
所得税法226条
原則
法定調書は、種類ごとに定められた期限までに税務署長に提出する。
所得税法225条1項・226条1項
ただし
前々年に提出すべきだった法定調書の枚数が、種類ごとに30枚以上だった園は、紙ではなく e-Tax か光ディスク等で提出しなければならない。
所得税法228条の4第1項
30枚以上の基準が使われるのは令和9年1月1日以後に提出する法定調書からで、令和8年12月31日以前に提出する分は100枚以上が基準です。国税庁は、令和7年1月に提出した支払調書の枚数が30枚以上なら令和9年1月の提出は e-Tax 等になる、という例を挙げています(国税庁 タックスアンサー No.7455)。職員が30人前後の園は、令和7年1月に出した源泉徴収票の枚数を数えておいてください。
市町村に出すもの — 給与支払報告書と、償却資産の申告
1月1日現在で給与を払い、その支払の際に所得税を徴収する義務がある園は、給与支払報告書を市町村に出します。給与を受けている人について前年中の給与所得の金額などを、その人の1月1日現在の住所所在の市町村別に作った報告書に記載し、1月31日までにその市町村長に提出する形です1。
原則
給与支払報告書は、給与を受けている人の1月1日現在の住所の市町村ごとに作り、1月31日までに提出する。
地方税法317条の6 1項
ただし
前年に退職した人の分も、退職した日の住所の市町村へ翌年1月31日までに提出する。ただし退職した年にその園から受けた給与の総額が30万円以下の人は提出しなくてよい。
地方税法317条の6 3項
提出した報告書に載せた人のうち4月1日現在で給与を受けなくなった人がいれば、4月15日までにその旨の届出書を市町村長に提出する。
地方税法317条の6 2項
1月に転居した職員がいる年は、書類によって書く住所が変わります。国税庁の質疑応答事例によれば、源泉徴収票の住所欄には作成する日の住所を書き、給与支払報告書には1月1日現在 (年の途中で退職した人は退職時) の住所を書きます。複写式の給与支払報告書で源泉徴収票を作るときは、源泉徴収票にも1月1日現在の住所を書いて差し支えありません。
固定資産税は、学校法人がその設置する学校で直接保育または教育の用に供する固定資産には課することができず2、認定こども園の用に供する固定資産も同じです3。園舎・園庭の遊具・園バス・教室の備品はこの非課税の中に入ると見て、駐車場として貸す土地のような別の使い方をしている資産だけを確かめておきましょう。
原則
学校法人が直接保育または教育の用に供する固定資産には、固定資産税を課することができない。
地方税法348条2項9号
ただし
固定資産を有料で借り受けた者がこれを保育・教育の用に使う場合は、その固定資産の所有者に課することができる。
地方税法348条2項
根拠:1地方税法317条の61項2同348条2項9号3同348条2項10号の44同383条
年末調整から1月末まで
- 12月年末調整の書類を集める月。電子で出す園は、提出用のソフトの更新と利用者の登録もこの月に済ませておきましょう
- 1月31日法定調書合計表・給与支払報告書・償却資産申告書の提出
- 4月15日4月1日現在で給与を受けなくなった人の届出 (市町村)
1月上旬に源泉徴収票を職員に交付し、中旬までに給与支払報告書を市町村別に束ねて支払調書の要否を確かめておくと、月末に慌てません。
段取りの表 — 誰の分をどこに出すか
職員全員・退職者・給与でない支払先・償却資産の4つの名簿を12月に作り、1月にそれぞれの書類へ流し込む形にしておきましょう。あなたの園の去年の1月は、どの名簿から書類を作ったでしょうか。次の段取りの表を埋めてみてください。
| 書類 | 出す相手 | 期限 | 対象 (人・資産) | 元になる資料 | 担当 | 済 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 給与所得の源泉徴収票 (交付) | 職員本人 (全員) | 1月31日 | 年末調整の結果 | |||
| 給与所得の源泉徴収票 (提出) | 税務署 (令和9年1月以後は給与支払報告書の提出でみなし提出) | 1月31日 | 中途退職で年30万円以下の人を除く全員 | 年末調整の結果 | ||
| 退職所得の源泉徴収票 | 本人 (税務署への提出は役員分) | 退職の日以後1か月以内 | 退職金を払った人 | 退職金の計算 | ||
| 報酬・料金の支払調書 | 税務署 | 1月31日 | 園医・講師などの支払先 | 支払の一覧 | ||
| 不動産の使用料等の支払調書 | 税務署 | 1月31日 | 個人の地主・大家への地代・家賃の支払先 | 賃貸借契約・支払の一覧 | ||
| 不動産等の譲受けの対価・あっせん手数料の支払調書 | 税務署 | 1月31日 | 用地・建物を買った年、仲介手数料を払った年の支払先 | 売買契約・仲介の請求書 | ||
| 法定調書合計表 | 税務署 | 1月31日 | 上の合計 | 源泉徴収票・支払調書 | ||
| 給与支払報告書 | 職員の住所の市町村 | 1月31日 | 給与を受けている人の全員 (退職者も) | 年末調整の結果・住所の一覧 | ||
| 償却資産申告書 | 資産の所在の市町村 | 1月31日 | 課税される償却資産 (非課税の届出も) | 固定資産台帳 | ||
| 給与を受けなくなった人の届出 | 市町村 | 4月15日 | 4月1日現在で給与を受けなくなった人 | 退職者の一覧 |
園の会計や監査の準備で迷うところがあれば、無料相談でお聞きください。
まとめ — 3つの宛先・1つの期限・4つの名簿
1月に園が出す税務の書類は、税務署への法定調書合計表、市町村への給与支払報告書、市町村への償却資産申告書の3つで、期限はどれも1月31日です。令和9年1月からは、給与支払報告書を市区町村に出せば源泉徴収票を税務署に出したものとみなされます。12月に作る4つの名簿 (職員・退職者・給与でない支払先・償却資産) から書類を作る形にしておけば、年明けの作業は仕分けと確認だけになります。あなたの園では、園医や講師への支払いの一覧を、年末に見直しているでしょうか。
段取りの表を今年の12月に埋めておけば、来年の1月は表を見ながら進めるだけで済みます。
出典
- e-Gov法令検索 所得税法225条(支払調書及び支払通知書)・226条(源泉徴収票)・228条の4(支払調書等の提出の特例)
- e-Gov法令検索 所得税法施行規則90条(不動産所得等の支払調書)
- e-Gov法令検索 地方税法317条の6(給与支払報告書等の提出義務)・348条(固定資産税の非課税の範囲)・383条(固定資産の申告)
- 国税庁 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引 提出期限
- 国税庁 タックスアンサー No.7411 「給与所得の源泉徴収票」の提出範囲と提出枚数等
- 国税庁 タックスアンサー No.7442 「不動産等の譲受けの対価の支払調書」の提出範囲等
- 国税庁 タックスアンサー No.7443 「不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書」の提出範囲等
- 国税庁 タックスアンサー No.7455 法定調書の提出枚数が30枚以上の場合のe-Tax、光ディスク等又は認定クラウド等による提出義務
- 国税庁 法定資料の合計表の様式の制定について(法令解釈通達)
- 国税庁 質疑応答事例 「給与所得の源泉徴収票」の「住所又は居所」欄の記載方法
ご相談・お見積りは無料です。現在の先生に知られることはありません。
交代のご相談 (無料・守秘義務あり) →※免責事項: 本コラムは一般的な情報のご提供を目的とするもので、個別の事案に対する助言ではありません。内容は執筆時点の法令・通知等にもとづいており、その後の改正などにより現在の取り扱いと異なることがあります。正確な記載に努めていますが内容を保証するものではなく、本コラムの情報にもとづいて行われたご判断について、当事務所は責任を負いかねます。実際の手続きやご判断にあたっては、公認会計士等の専門家にご相談ください。