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園が併設する事業の会計区分 — 児童発達支援・学童・一時預かりを学校法人会計でどう分けるか、収益事業の線引き

空き教室で児童発達支援を始める、卒園児のために学童を開く、預かり保育を一時預かり事業として行う — 園が本体の教育のほかに事業を持つことは珍しくなくなりました。この記事では、施設型給付を受ける幼稚園・認定こども園を運営する学校法人が併設する事業を、学校法人会計の中でどう区分し、収益事業の線をどこで引くかを整理します。

この記事の要点

  • 学校法人の事業は、本来の教育、教育に付随する事業(付随事業)、収益を目的とする事業(収益事業)の3つに分かれる(文部科学省の整理)。収益事業は寄附行為に載せ、学校の経営に関する会計から区分した特別の会計として経理する(私立学校法19条)
  • 児童発達支援・学童のような社会福祉の事業は収益事業ではなく、学校法人会計の中で処理する。注記のセグメント情報では「その他」に入り、幼稚園・認定こども園だけを設置する法人は「その他」以外のセグメントが1つなので、その旨を注記すればセグメント情報の表示を省略できる(文部科学省の通知)
  • それでも事業ごとの収支は持っておく。補助金・給付費の使途の説明と、法人税の収益事業がある場合の区分経理のためで、注記のための配分計算とは目的が違う

3つの事業 — 本来の教育・付随事業・収益事業

文部科学省は、学校法人の事業を本来事業(教育研究活動)・付随事業・収益事業の3つに整理しています。園が併設する事業がどれに入るかで、寄附行為の扱いと会計の置き方が決まります。

  • 本来事業: 幼稚園・認定こども園の教育・保育そのもの
  • 付随事業: 教育研究活動に付随して行う非営利の事業。学校法人会計基準で処理し、規模は学校法人全体の事業活動収入の30/130未満とされている
  • 収益事業: 教育研究活動を助けるための営利の事業。寄附行為の変更が必要になり、企業会計の原則で処理する

幼稚園を設置する法人が行う0歳から6歳児を対象とする保育事業(認可保育所・認可外保育施設)は、文部科学省の通知(大臣所轄法人向け・平成21年2月26日)で付随事業と位置づけたうえで、規模の範囲外で行えるとされています。その場合は部門を設けて表示することが求められています。知事所轄の園は、同じ扱いになるかを都道府県に確かめてください。

付随事業でも寄附行為の変更が要るかは所轄庁に相談する事項とされ、文部科学大臣所轄の法人は付随事業(保育事業を除く)と収益事業を行う前の事前相談を求められています。知事所轄の園も、始める前に都道府県に相談する順番は同じです。

私立学校法は、収益事業について、その収益を私立学校の経営に充てるために行うことができ、事業の種類は所轄庁が定め、その会計は学校の経営に関する会計から区分して特別の会計として経理しなければならないと定めています(19条)。学校法人会計基準も、収益事業会計の会計処理と貸借対照表・損益計算書の作成は企業会計の原則に従うとしています(3条)。

園が併設しやすい事業と、学校法人としての位置づけ
事業位置づけ会計
預かり保育(市町村の一時預かり事業として行うもの)教育に付随する事業学校法人会計の中で、幼稚園の部門に含めて処理(保護者の負担と無償化の給付で科目が分かれる)
児童発達支援(障害児通所支援)社会福祉の事業。教育研究活動上の必要性がある場合に行える学校法人会計の中で処理。注記のセグメントは「その他」に入る
放課後児童クラブ(学童)社会福祉の事業(常時利用する子どもが20人未満のものは社会福祉事業に含まれない — 社会福祉法2条4項4号)同上
園児向けの物品の頒布・課外の教室教育に付随する活動学校法人会計の中で処理。法人税の収益事業かは別に判定
駐車場の貸付・不動産の賃貸収益を目的とする事業寄附行為に載せ、特別の会計(企業会計)で経理

文部科学省の整理では、医療及び社会福祉事業は教育研究活動上の必要性がある場合に限られるとされています。児童発達支援や学童を園が併設するときは、園児や卒園児の支援という教育上の必要性を寄附行為や事業計画で説明できる形にしておくのが出発点です。

注記のセグメント情報 — 園だけを設置する法人は表示を省略できる

令和7年度から適用の改正学校法人会計基準は、計算書類の注記事項にセグメント情報(学校法人を構成する一定の単位ごとの情報)を加えました(40条1項8号)。「併設事業を別の部門にして、共通の経費を配分基準で分けて注記する」という重い実務を想像する方が多いのですが、園を運営する法人の多くはその対象になりません。

文部科学省の通知(令和7年3月27日)は、すべての学校法人に共通して設定するセグメントを、大学・短期大学・高等専門学校・それ以外の学校(幼稚園はここに入る)・病院・その他の6つとしています。「その他」には法人部門(理事会の運営など法人全体の業務)や保育所など、この5つのどれにも当たらない部門を計上するとされているため、児童発達支援や学童は「その他」に入ります。

セグメント情報を表示する法人(大学や病院を持つ法人など)でも、共通の経費の配分基準の適用は令和9年度の計算書類からで、令和7年度と令和8年度は配分基準か昭和55年の通知の方法のどちらかを選んで注記します。通知は、共通のセグメントに加えて法人が適切と考えるセグメントを設定し、積極的に表示することが望ましいともしています。省略できる園が、併設事業の収支を自主的に注記で示すのは差し支えありません。

事業ごとの収支は持っておく — 目的は注記ではなく、補助金の説明と区分経理

注記で省略できるからといって、併設事業の数字を幼稚園と混ぜてよいわけではありません。事業ごとに収入と支出を持つ理由は、補助金・給付費の使途を説明するためと、法人税の区分経理のためです。

分け方は、科目を新しく作るのではなく、学校法人会計基準の科目のまま金額を事業ごとに集計する形です。児童発達支援や学童の職員は園の教員ではないため、その人件費は教員人件費ではなく職員人件費の科目に載ります(園の教諭が兼務する分を除く)。給付費と利用者負担、その事業の人件費と経費を、幼稚園の分と混ぜずに集めておけば足ります。

園長の兼務分や光熱費のような共通の経費は、所轄庁に部門別の内訳表を出す法人なら、昭和55年の文部省の通知の方法(使用面積・従事割合などの合理的な基準を毎年続けて使う)で配分します。内訳表を出さない法人がどこまで細かく分けるかは、補助金の実績報告や収益事業の区分経理で求められる範囲を目安にし、所轄庁の手引も確かめてください。あなたの園では、併設事業の収支を幼稚園と分けて追えているでしょうか。

法人税の収益事業 — 会計の区分とは別に、事業ごとに当てはめる

会計で「付随事業」に置くことと、法人税の「収益事業」に当たるかは別の判断です。学校法人は、法人税法の34業種のいずれかに当たる事業を継続して行う場合にだけ法人税がかかります。

国税庁の質疑応答事例では、認可保育所で公益法人等が行う育児サービス事業は34業種のいずれにも該当しないものとして扱われています。監督基準を満たす証明を受けた認可外保育施設の事業も、実態として監督基準に従って運営されていることを条件に、同様に収益事業に該当しないとされています。児童発達支援や学童のような社会福祉の事業も、この考え方と同じ向きで34業種に当たるかを事業ごとに確かめます。

幼稚園が行う各種事業については、国税庁の個別通達(昭和58年6月3日 直法2-7)に判定表があります。

  • 保育中に教材として用いる絵本・ワークブックの頒布は非収益事業
  • 工作道具・文房具・楽器・制服などの頒布は収益事業。ただし、原価(又は原価に所要の経費をプラスした程度の価格)によることが明らかなものは非収益事業
  • 園児に課外授業として実施する音楽教室の開設は技芸教授業として収益事業。スクールバスの運行と給食は非収益事業
  • 外部の業者が園の教室を借りて開く教室は園の技芸教授ではなく席貸しに当たり、学校法人がその主たる目的とする業務に関連して行う席貸業は収益事業から除かれる(法人税法施行令5条1項14号ロ)
  • 収益事業となる事業でも、園児(その関係者を含む)を対象とする実費弁償方式のものは、税務署長の確認を条件に非収益事業とすることができる

併設事業を始める前に決めておくこと

  1. 位置づけを決める

    付随事業か収益事業かを整理し、収益事業なら寄附行為に載せて特別の会計を設ける

  2. 収支の区分を決める

    事業ごとの収入・支出の集計単位を決める。共通の経費の配分は、部門別の内訳表を出す法人は昭和55年の通知の方法で、それ以外は補助金の実績報告と法人税の区分経理で求められる範囲を目安にする

  3. 注記の扱いを確かめる

    「その他」以外のセグメントが1つだけなら、その旨を注記してセグメント情報の表示を省略できる。省略しないなら配分基準を決める

  4. 法人税の当てはめをする

    事業ごとに34業種に当たるかを見る。物品の頒布や課外の教室は国税庁の判定表と実費弁償の扱いを確かめる

  5. 監査人と共有する

    区分と注記の方針を決めた文書を監査人に見せ、初年度の決算の前に確かめてもらう

「事業を増やしたら経理が急に複雑になった」— そう感じる園は、科目ではなく事業の単位で数字を持てているかを確かめてみてください。区分の単位さえ最初に決めておけば、あとは同じ手順の繰り返しです。

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