「理事の任期は4年」と覚えていた園の法人が、改正私立学校法のもとで改選の年を数え直すと、任期の終わりが「日」ではなく「定時評議員会の終結の時」に変わっていることに気づきます。理事・監事・評議員の任期の数え方、補欠と欠員の扱い、改正法の施行のときに在任していた人に適用される経過措置を、条文と文部科学省の説明資料のQ&Aに沿って整理し、役職ごとの任期を書き出せる一覧表を付けます。
理事・監事・評議員の任期と改選 — 定時評議員会の終結の時までの数え方と令和9年度までの経過措置
この記事の要点
- 理事の任期は、選任後に寄附行為で定める期間内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時まで。監事・評議員・会計監査人も、定時評議員会の終結の時で切れる型1。ただし会計監査人は、置く旨の定めを廃止する寄附行為の変更をすると、その変更の効力が生じた時に任期が満了する2
- 理事について寄附行為で定める期間は、監事と評議員の期間を超えられない3。補欠の任期は、寄附行為で定めれば前任者の任期の満了する時まで4
- 改正法の施行の際に在任していた理事・監事・評議員の任期は、現在の任期が満了する日と、令和9年度に開催される定時評議員会の終結の時の、いずれか早い方(6文科高第413号)
根拠:1私立学校法32条1項・私立学校法47条1項・私立学校法63条1項・私立学校法82条1項2同82条3項3同32条2項4同32条3項
任期は「年」ではなく「定時評議員会の終結の時」で切れる
理事の任期は、選任後、寄附行為で定める期間以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時までです1。理事について寄附行為で定める期間は4年以内です1。監事と評議員について定める期間は6年以内で、終期の数え方は理事と同じ型です2。
根拠:1私立学校法32条1項2同47条1項・私立学校法63条1項
数え方の例を、文部科学省の説明資料のQ&Aが示しています。令和8年4月から任期が始まる理事で、寄附行為の期間が4年のときを考えます。4年後の令和12年4月までの間に終了する最終の会計年度は令和11年度なので、任期は令和11年度に関する定時評議員会 (令和12年6月ごろ) の終結の時までです(文部科学省の説明資料のQ&A)。任期は「日」ではなく「時」で切り替わるのが原則で、法人の事情により新しい役員の始期を定時評議員会の翌日にすることもできます(文部科学省の説明資料のQ&A)。
同じQ&Aは、任期の起点になる「選任」とは実際に就任する日を指し、選任した日と就任する日は同じ日でなくてよいとしています(文部科学省の説明資料のQ&A)。園の法人は、役員ごとに就任の日と寄附行為の期間を書き出して、どの年度の定時評議員会で任期が終わるかを一覧にしてみてください。
期間の上限と、監事・評議員との関係
理事について寄附行為で定める期間は、監事について定める期間と評議員について定める期間を超えてはなりません1。任期が一律でない法人では、任期が最も短い評議員の任期が、任期が最も長い理事の任期以上になっている必要があります(文部科学省の説明資料のQ&A)。理事の任期を理事選任機関ごとに分けて定めることはできますが、分けることに合理的な理由があるべきとされています(文部科学省の説明資料のQ&A)。
園長など役職にある人が自動的に理事になる形は使えず、理事選任機関の選任を経る必要があります(文部科学省の説明資料のQ&A)。役職の任期と理事の任期は別のものとして考え、理事の任期の終期は定時評議員会の終結の時のままにします(文部科学省の説明資料のQ&A)。園長を理事に含める決まり2は残っていますから、園長の交代と理事の選任の両方の手続きを押さえておきましょう。
| 役職 | 寄附行為で定める期間の上限 | 任期の終期 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 理事 | 4年以内 | 期間内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時 | 私立学校法32条1項 |
| 監事 | 6年以内 | 同じ | 私立学校法47条1項 |
| 評議員 | 6年以内 | 同じ | 私立学校法63条1項 |
| 会計監査人 (置く法人) | 選任後1年以内に終了する会計年度 | その会計年度に関する定時評議員会の終結の時。別段の決議が無ければ再任されたものとみなす。ただし、会計監査人を置く旨の定めを廃止する寄附行為の変更をしたときは、その変更の効力が生じた時に満了する | 私立学校法82条1項・私立学校法82条2項・私立学校法82条3項 |
原則
理事の任期は、選任後寄附行為で定める期間 (4年以内) 内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時までとする。
私立学校法32条1項
ただし
寄附行為で定めれば、任期の満了前に退任した理事の補欠として選任された理事の任期を、退任した理事の任期の満了する時までとすることができる。
私立学校法32条3項
補欠と欠員 — 残任期間を引き継ぐ条件
補欠の理事・監事・評議員の任期を前任者の任期の満了する時までとするには、寄附行為にその定めが要ります1。補欠をあらかじめ選任していなかった法人でも、寄附行為にこの定めがあれば、後任は前任者の残任期間を引き継げます(文部科学省の説明資料のQ&A)。改正前に選任していた補欠の効力は改正後には有効でなく、改正後の規定に従って改めて選任する必要があります(文部科学省の説明資料のQ&A)。
理事が任期の満了や辞任で退任し、理事の総数が5人 (寄附行為でそれを超える員数を定めた法人はその員数) を下回るときは、退任した理事は新しい理事が就任するまで理事としての権利義務を持ちます2。理事のうち定数の5分の1を超える人数が欠けたときは、1月以内に補充します3。補欠の理事は、理事の総数が5人を下回るときに備えて理事選任機関があらかじめ選任でき4、補欠の監事は評議員会の決議で選任できます5。
根拠:1私立学校法32条3項・私立学校法47条2項・私立学校法63条2項2同34条1項3同34条3項4同30条3項5同45条2項
令和9年度までの経過措置 — 施行のときに在任していた人
令和7年4月1日以後に選任される理事・監事・評議員・会計監査人の任期は、いずれかの年度の定時評議員会の終結の時までになります(6文科高第413号)。改正法の施行の際に在任していた理事・監事・評議員の任期は、現在の任期が満了する日と、令和9年度に開催される定時評議員会の終結の時のいずれか早い方です(6文科高第413号)。ただし、改正後の資格と構成の要件を満たさない人は、原則として令和7年度に開催される定時評議員会の終結の時以後は在任を続けられません(6文科高第413号)。
園の法人は、令和7年度の定時評議員会までにそろえる要件と、経過措置の終わりまでに整えればよい評議員の構成とを分けて確かめておきましょう。
同じ通知は、任期の終期が令和7年度の定時評議員会と近い法人では、寄附行為に附則を設けるなどして、在任者の任期を令和7年度の定時評議員会の終結の時などに延長または短縮することが考えられるとしています(6文科高第413号)。ただし、この附則は令和7年4月1日までに施行しておく必要があったもので、改正法の施行後に理事などの任期を特例的に延長・短縮することは原則としてできないとされています(文部科学省の説明資料のQ&A)。
理事の半数を2年ごとに改選したい法人は、寄附行為の改正の附則で、改正法の施行後に初めて選任される理事のうち一定の数の理事の任期を短縮する規定を設ける方法があります(文部科学省の説明資料のQ&A)。任期が短くなる人とは、そのことを理解してもらった上で委任契約を交わします(文部科学省の説明資料のQ&A)。
改選の年の段取り
任期の終期を確かめる
役職ごとに就任日・寄附行為の期間・経過措置の該当を書き出し、どの年度の定時評議員会で切れるかを一覧にしておきましょう
資格と構成を点検する
園長が理事に含まれているか、外部の理事、親族などの特別利害関係の上限、理事と監事・評議員の兼職の禁止を確かめる
評議員会の意見を聴いて選任する
理事は理事選任機関が、あらかじめ評議員会の意見を聴いて選任し、監事は評議員会の決議で選任する。ただし、評議員会を理事選任機関にしている法人では、評議員会の意見を聴く手続きは要らない(文部科学省の説明資料のQ&A)
就任承諾を取り、理事長を選定する
新しい理事会で理事長を選定する。前の理事長が理事に再任されたときも、選定はやり直す
登記と届出をする
理事長が替わったときは2週間以内に変更の登記をし、所轄庁などへ届け出る
| 役職 | 氏名 | 選任機関 | 就任日 (実際に就任する日) | 寄附行為で定める期間 | 任期の終期 (…年度の定時評議員会の終結の時) | 経過措置 (施行時に在任 / 令和7年4月1日以後の選任) | 補欠の場合の前任者と残任期間 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 理事長 | 理事選任機関 (理事長は理事会で選定) | ||||||
| 理事 | 理事選任機関 | ||||||
| 理事 (園長) | 理事選任機関 | ||||||
| 監事 | 評議員会 | ||||||
| 評議員 | 寄附行為の定めによる |
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