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利用定員を超えて受け入れたときの減算 — 2年度連続・年間平均在所率120%の数え方と1号・2号3号の分け方

年度の途中で入園の希望が増え、利用定員を少し超えて受け入れている園は珍しくありません。超えた分の給付費は支払われるのか、どこまで続くと公定価格が減算されるのか、1号と2号・3号はどう数えるのかを、こども家庭庁の留意事項通知と公定価格のFAQに沿って整理し、月ごとの在所率を書き込める計算表を付けます。

この記事の要点

  • 教育・保育の提供は利用定員の範囲内が原則だが、年度中の需要の増大などやむを得ない事情があるときは超えて受け入れられる1。超えて受け入れても、給付費は実際の利用子ども数に応じて支払われる(FAQ No.16)
  • 直前の連続する2年度間常に利用定員を超え、かつ各年度の年間平均在所率が120%以上の施設には、基本分単価などに調整率を乗じる減算が適用される(こ成保38)。年間平均在所率は、各月の初日の利用子ども数の総和を各月の初日の利用定員の総和で割ったもの(こ成保38)
  • 判定は1号の利用定員と、2号・3号の利用定員を分けて行い、減算は要件を満たした側の子ども全員に及ぶ(FAQ No.84)

根拠:1運営基準22条

定員を超えて受け入れる原則と、給付費の支払い

特定教育・保育施設は、利用定員を超えて特定教育・保育の提供を行ってはなりません1。ただし、年度中の需要の増大への対応、災害、虐待その他のやむを得ない事情がある場合は、この限りでないとされています1。利用定員を超えて受け入れる場合でも、施設の設備と職員数が、超えて利用する子どもを含めた利用子ども数に照らして基準を満たしていることが求められます(こ成保38)。

根拠:1運営基準22条

公定価格のFAQは、市町村の確認の際に設定された利用定員の範囲内での受入れが原則としつつ、年度途中の利用希望者の増加などで利用定員を超えて受け入れる場合でも、実際の入所児童数に応じて給付が行われるとしています(FAQ No.16)。ただし、恒常的に利用定員を超えて受け入れている場合には調整率を乗じて減算額を算定し、その状態にある施設には利用定員の見直しに向けた指導を行うとしています(FAQ No.16)。実際の利用人数が恒常的に認可定員をも超えている場合には、利用定員の適正化とともに認可定員の適正化も必要になります(FAQ No.16)。

原則

特定教育・保育施設は、利用定員を超えて特定教育・保育の提供を行ってはならない。

運営基準22条

ただし

年度中における需要の増大への対応、災害、虐待その他のやむを得ない事情がある場合は、この限りでない。

運営基準22条

減算の要件 — 2年度連続と年間平均在所率120%

減算 (乗除調整) は、直前の連続する2年度間常に利用定員を超えており、かつ各年度の年間平均在所率が120%以上の状態にある施設に適用されます(こ成保38)。年間平均在所率とは、その年度内における各月の初日の利用子ども数の総和を、各月の初日の利用定員の総和で除したものです(こ成保38)。適用を受ける施設の認定は、施設が所在する市町村が、施設の利用状況を確認のうえ行います(こ成保38)。

減算が適用される施設では、基本分単価から経営情報等の報告を行っていない場合の調整までの額 (副食費徴収免除加算を除く) を、その総和に各月初日の利用子ども数の区分と地域区分等に応じた調整率を乗じて得た額とします(こ成保38)。算定して得た額に10円未満の端数があれば切り捨てます(こ成保38)。調整率は、単価の算定に使っている定員区分と各月初日の利用子ども数に差がない場合には設定されていません(FAQ No.95)。つまり減算は、実際の人数に見合う定員区分の単価との差を調整する仕組みと見ています。

利用定員の見直しが行われた場合や、地域の需要の動向などからその年度の年間平均在所率が120%以上の状態にならないと認められる場合は、減算の適用が外れます(こ成保38)。外れるのは、見直しなどが行われた日の属する月の翌月 (月の初日に要件に当てはまらなくなった場合はその月) からです(こ成保38)。

減算の要件と数え方
項目内容根拠
期間の要件直前の連続する2年度間、常に利用定員を超えているこ成保38
率の要件各年度の年間平均在所率が120%以上こ成保38
年間平均在所率各月の初日の利用子ども数の総和 ÷ 各月の初日の利用定員の総和こ成保38
判定の単位1号の利用定員と、2号・3号の利用定員を分けて判定するFAQ No.84
認定する人施設が所在する市町村 (利用状況を確認のうえ)こ成保38
減算が適用されたときの額基本分単価などの総和に、各月初日の利用子ども数の区分と地域区分等に応じた調整率を乗じた額 (10円未満切り捨て)こ成保38
適用が外れる時期利用定員の見直しなどが行われた日の属する月の翌月 (月の初日に要件に当てはまらなくなった場合はその月) からこ成保38

1号と2号・3号を分けて数える — FAQの例

FAQは、認定こども園の公定価格で適用される定員区分の考え方と同様に、1号の利用定員と、2号・3号の利用定員を分けて考えるとしています(FAQ No.84)。例として、施設全体の利用定員が100人で2年間130%の実利用がある園を挙げています(FAQ No.84)。1号は定員どおり30人なら在所率は100%で減算なし、2号と3号は合計の定員70人に対して100人が利用していれば在所率143%で、2年間続けば2号・3号の全ての子どもについて減算されます(FAQ No.84)。

FAQの例 (施設全体の利用定員100人)
区分利用定員実際の利用在所率減算
1号30人30人100%要件を満たさないので減算なし
2号40人52人2号・3号の合計で143% (70人に対して100人)2年間続けば2号・3号の全員に減算
3号30人48人同上同上

園全体の在所率だけを見ていると、1号が定員内でも2号・3号の側で要件を満たしていることを見落とします。自分の園の月初の人数を、区分ごとに分けて計算してみてください。

都道府県の判断による減算と、利用定員の見直し

法による確認を受ける前から認可定員を超過していた私立幼稚園については、都道府県の判断により、法の施行当初または確認を受けた時から減算を適用することもできるとされています(こ成保38)。この場合の考え方と手続きは、平成26年10月17日付けの事務連絡によります(こ成保38)。FAQも、令和5年度以降も都道府県の判断で従前どおりの減算調整を行うことは可能としています(FAQ No.95)。

超過が続きそうな園は、減算を待つより利用定員の見直しを検討する方が収入の見通しが立ちます。利用定員の変更の手続きと単価への影響は、関連記事 (園児が減ったときの利用定員の見直し) で扱っています。都道府県独自の減算の有無と、市町村の認定の見込みを、早めに確かめてみてください。

超過が続きそうなときの確認

  1. 月初の人数を区分ごとに記録する

    各月の初日の利用子ども数と利用定員を、1号と2号・3号に分けて記録し、年度の在所率を出す

  2. 2年度の状態を確かめる

    直前の連続する2年度とも常に超過していて、いずれの年度も120%以上かを見る

  3. 市町村と都道府県に確かめる

    認定の見込み、都道府県独自の減算の有無、認可定員との関係を聞く

  4. 利用定員の見直しを検討する

    増やすなら需要の見込みと設備・職員の基準を確かめ、減算が外れる時期を押さえる

  5. 資金繰りに織り込む

    減算が適用される月からの給付費の減少を、収支予算と資金繰りの表に反映する

年間平均在所率の計算表 (区分ごと)
月 (初日)1号 利用定員1号 利用子ども数2号・3号 利用定員2号・3号 利用子ども数備考
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
1月
2月
3月
総和
年間平均在所率 (利用子ども数の総和 ÷ 利用定員の総和)120%以上か

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※免責事項: 本コラムは一般的な情報のご提供を目的とするもので、個別の事案に対する助言ではありません。内容は執筆時点の法令・通知等にもとづいており、その後の改正などにより現在の取り扱いと異なることがあります。正確な記載に努めていますが内容を保証するものではなく、本コラムの情報にもとづいて行われたご判断について、当事務所は責任を負いかねます。実際の手続きやご判断にあたっては、公認会計士等の専門家にご相談ください。

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