「給付費はいつ入るのか」「3月分が4月に入ったら、どちらの年度の収入か」— 施設型給付を受ける園の資金繰りは、市町村からの入金の時期で決まります。この記事では、施設型給付費が保護者への給付でありながら園に支払われる仕組み、毎月の請求と入金の流れ、年度末の未収入金、加算の遡及や返還の会計を整理し、月ごとの資金繰り表を写して使える形にまとめます。
施設型給付費の入金と資金繰り — 請求から入金までの流れ・年度末の未収入金・返還の会計
この記事の要点
- 施設型給付費は保護者への給付だが、市町村が保護者に代わって園に支払うことができ、その支払があれば保護者に支給があったものとみなされる1
- 給付費は園の請求を市町村が基準に照らして審査のうえ支払う2。各月初日の在籍児の分はその月中に、月途中の入退園の分は翌月の支給時に日割りで入ると見込み、日割りの扱いは市町村の通知で確かめておきましょう
- 年度末に未入金の3月分は、その年度の諸活動に対応する収入で翌年度に支払資金の収入となるべきものなので、期末未収入金として資金収支計算書の収入の部の控除科目に載る3
給付は保護者へ、お金は園へ — 法定代理受領の仕組み
施設型給付費は、市町村が教育・保育給付認定を受けた子どもの保護者に対して支給する給付です1。ただし、市町村は保護者が園に支払うべき費用について、施設型給付費として支給すべき額の限度で、保護者に代わって園に支払うことができます2。この支払があったときは、保護者に施設型給付費の支給があったものとみなされます3。園の口座に市町村から入るお金は、この仕組みで園に届いた保護者への給付です。
額は、公定価格 (内閣総理大臣が定める基準により算定した費用の額) から、市町村が定める利用者負担額を引いた額です4。市町村は園からの請求を、この基準と市町村の条例で定める運営の基準に照らして審査のうえ支払います5。
根拠:1子ども・子育て支援法27条1項2同27条5項3同27条6項4同27条3項5同27条7項
原則
施設型給付費の額は、公定価格から市町村が定める利用者負担額を引いた額である。
子ども・子育て支援法27条3項
ただし
公定価格が現に教育・保育に要した費用の額を超えるときは、その現に要した費用の額が上限になる。
子ども・子育て支援法27条3項1号
利用者負担額を引いた額が零を下回る場合は、施設型給付費の額は零になる。
子ども・子育て支援法27条3項
| 段階 | 誰が | 何をするか |
|---|---|---|
| 月初 | 園 | 各月初日の在籍と認定区分、加算の状況を確かめることをお勧めします |
| 月の前半 | 園 | この時期に市町村へ給付費を請求しておきましょう (様式と締切は市町村ごと) |
| 月中〜月末 | 市町村 | 請求を審査し、当月分を園に支払う |
| 翌月 | 市町村 | 月途中の入退園の分を精算する (日割りの扱いは市町村の通知で確かめることをお勧めします) |
| 年度末 | 園 | 3月分の請求を出し、未入金なら期末未収入金として決算に載せる |
毎月の請求と入金 — 各月初日の在籍が基準、途中の入退園は翌月に日割り
給付費の入金は、各月初日の在籍児の分はその月中に、月途中の入退園の分は翌月の支給時に日割りで精算されるものと見込んで資金繰り表を組んでおきましょう。日割りの日数の数え方は、園を所管する市町村の通知で確かめます。月の前半に市町村へ請求し (締切は市町村ごと)、月中から月末に当月分が入る、という1か月の流れを基本の形と考えています。入金が翌月にずれる市町村があれば、その分だけ月末の資金が薄くなります。
加算の認定が遅れて入金が薄い月は、従前の実績に基づく暫定的な支給と、認定後の遡及の適用ができないかを市町村に相談することをお勧めします。公定価格の単価は、人事院勧告を反映して年度の途中に改定されることがあり、増額の年も減額の年もあります。その差額が入る (または戻す) 時期と、増額分を職員の処遇に回す支出の両方を資金繰り表に書いておきましょう。配置基準を満たさない月の減算のように入金が減る条件も、資金繰り表の備考に書いておくと安心です。
年度末の未収入金と、加算の遡及・返還の会計
3月分の給付費が4月に入る市町村では、年度末に給付費の未収が必ず残ります。学校法人会計基準は、当該会計年度の諸活動に対応する収入で翌会計年度以後の会計年度において支払資金の収入となるべきものを期末未収入金と呼びます1。この期末未収入金は、資金収支計算書の収入の部の控除科目として記載します2。3月の在籍に対する給付費は3月の収入で、入金が4月でも年度は動きません。
原則
3月分の給付費が4月に入金されるときは、3月の収入として計上し、期末未収入金として資金収支計算書の収入の部の控除科目に載せる。
学校法人会計基準37条1項
ただし
加算の認定が翌年度にずれ込み、前年度分が遡って支給されたときは、前年度の収入の修正として過年度修正額に載せる。
学校法人会計基準別表第二
認定区分や在籍の誤りで前年度分を返還するときも、前年度の収入の修正として過年度修正額 (特別支出) に載せる。
学校法人会計基準別表第二
年度内の精算や返還は、その年度の収入の増減として同じ科目の中で調整するものと考えています。前年度以前に計上した収入や支出の修正が当年度の収入や支出になるものが、事業活動収支計算書の特別収支の過年度修正額です3。
根拠:1学校法人会計基準33条1項2同37条1項3同別表第二
年度末の給付費の締め方
3月分の請求額を確定する
3月初日の在籍と加算で請求額を出し、請求の控えを残す
入金予定日を確かめる
4月入金なら期末未収入金。入金済みなら現金預金
年度内の精算を洗い出す
途中入退園の日割り、加算の遡及、返還の通知を集める
前年度分の修正を分ける
前年度の請求に対する追加支給や返還は過年度修正額に置く
翌年度の資金繰り表へ引き継ぐ
4月の入金予定と3月の未収を、翌年度の資金繰り表の1行目に書く
月ごとの資金繰り表 — 入金日と支出日を並べる
園の資金は、給付費の入金日と、給与・賞与・私学共済の掛金・借入金の返済の支出日のずれで動きます。給与は月末か25日、私学共済の掛金は翌月末、賞与は6月と12月、返済は契約の日と、支出の日はばらばらです。給付費の入金日が月末近くの市町村では、月の前半に支出が集中する園ほど月中の残高が薄くなります。賞与の月と借入金の返済の月を、先に資金繰り表に印を付けてみてください。
| 月 | 給付費 (入金予定日と額) | 利用者負担額・実費 | その他の収入 | 人件費 (給与・賞与) | 私学共済の掛金 | 経費 | 借入金の返済 | 月末の残高 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 4月 | ||||||||
| 5月 | ||||||||
| 6月 (賞与) | ||||||||
| 7月 | ||||||||
| 8月 | ||||||||
| 9月 | ||||||||
| 10月 | ||||||||
| 11月 | ||||||||
| 12月 (賞与) | ||||||||
| 1月 | ||||||||
| 2月 | ||||||||
| 3月 |
園の会計や監査の準備で迷うところがあれば、無料相談でお聞きください。
まとめ — 入金の日・未収入金・過年度修正額の3点
施設型給付費は保護者への給付を市町村が園に払う仕組みで、各月初日の在籍に基づく当月分がその月中に入るのが基本です。年度末の3月分が4月に入るなら期末未収入金、前年度分の遡及や返還は過年度修正額として整理します。市町村ごとの入金日を表にして、支出の日と並べることが資金繰りの出発点です。
外部監査費加算を含む加算の額は、シミュレーションで試算できます。あなたの園の資金繰り表には、市町村ごとの入金予定日が書いてあるでしょうか。
ご相談・お見積りは無料です。現在の先生に知られることはありません。
外部監査費加算を試算する →※免責事項: 本コラムは一般的な情報のご提供を目的とするもので、個別の事案に対する助言ではありません。内容は執筆時点の法令・通知等にもとづいており、その後の改正などにより現在の取り扱いと異なることがあります。正確な記載に努めていますが内容を保証するものではなく、本コラムの情報にもとづいて行われたご判断について、当事務所は責任を負いかねます。実際の手続きやご判断にあたっては、公認会計士等の専門家にご相談ください。