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園の余裕資金の運用 — 定期預金・国債などの会計処理・有価証券の評価・特定資産と資金運用の決まり

「普通預金に置いたままの余裕資金を、定期預金や国債に回してよいのか。会計ではどう載るのか」— 園を運営する学校法人の理事長・事務長の方に向けた記事です。余裕資金の置き方ごとの科目と評価、運用を決めるときの法人の手続き、令和8年度決算から細かくなる注記を整理し、園の運用の状況を写して使える確認表にまとめます。

この記事の要点

  • 定期預金は「現金預金」、国債などは「有価証券」(一時的に保有するものは流動資産、長期に保有するものはその他の固定資産)、使途を決めて積み立てた預金や有価証券は「特定資産」に載る1
  • 資産の評価は取得価額が原則で、有価証券は時価が著しく低くなり回復が見込めないときに時価で評価する2
  • 運用の決め方は寄附行為と資産運用の規程で定め、重要な資産の処分・譲受けは理事会が決めて評議員会の意見を聴く3。令和8年度決算から有価証券の時価情報の注記が細かくなる(8高私参第8号)

根拠:1学校法人会計基準別表第一2同7条・9条3私立学校法36条

まず結論 — 置き方ごとに科目が決まり、評価は取得価額

余裕資金をどこに置くかは、園の判断です。ただし置き方ごとに計算書類での科目が決まっていて、評価の決まりも同じではありません。

余裕資金の置き方と計算書類での科目
置き方貸借対照表の科目評価
普通預金・定期預金現金預金(流動資産)預け入れた額
国債・地方債・社債・投資信託など(一時的に保有)有価証券(流動資産)取得価額。時価が著しく低くなり回復が見込めなければ時価
同じく長期に保有するもの有価証券(その他の固定資産)同上
園舎の建て替えなど使途を決めて積み立てた預金・有価証券特定資産((何)引当特定資産・第2号基本金引当特定資産など)中身の預金・有価証券と同じ

同じ国債でも、いつでも使うつもりで持つなら流動資産、建て替えに備えて長く持つなら特定資産の中に置く、という違いです。ご自身の園の余裕資金は、この表のどの行に当てはまるでしょうか。

原則

貸借対照表の流動資産の科目は「現金預金」で、普通預金・定期預金といった預金の種類ごとの科目は置かれていません。

学校法人会計基準別表第一

ただし

文部科学省の注記の記載例には、外貨建の定期預金をその他の固定資産(定期預金)の科目で載せた例があります(6高私参第27号)。その他の固定資産の小科目は、適当な科目を追加することができます。

学校法人会計基準別表第一

科目 — 現金預金・有価証券・特定資産の分かれ目

貸借対照表に載せる科目は、省令の一覧で決まっています1。流動資産には現金預金と、一時的に保有する有価証券があり、その他の固定資産には長期に保有する有価証券があります。特定資産は「使途が特定された預金等」で、第2号基本金引当特定資産・第3号基本金引当特定資産・(何)引当特定資産の科目で載せます。

この別表第一は令和7年度から適用の改正後の基準の番号です。改正前の基準では貸借対照表の記載科目は別表第三にあり、文部科学省の通知でもその番号で引かれている箇所があります(6高私参第27号)。

原則

資産の評価は、取得価額をもってします。

学校法人会計基準7条

ただし

その資産の取得のために通常要する価額と比較して著しく低い価額で取得した資産や贈与された資産は、取得または贈与の時に通常要する価額で評価します。

学校法人会計基準7条

有価証券については、取得価額と比較してその時価が著しく低くなった場合には、その回復が可能と認められるときを除き、時価によって評価します。

学校法人会計基準9条

資金収支計算書では、有価証券の購入は「資産運用支出」の有価証券購入支出、特定資産への積み立ては(何)引当特定資産繰入支出、利息や配当は「受取利息・配当金収入」、売却は「資産売却収入」に載ります2。

根拠:1学校法人会計基準21条2同別表第三

決まり — 寄附行為・資産運用の規程・理事会と評議員会

学校法人の寄附行為には、資産及び会計に関する事項を定めます1。理事は法令と寄附行為を守り、学校法人のため忠実に職務を行う義務があります2。余裕資金の運用も、この寄附行為と忠実義務の枠の中で行います。

根拠:1私立学校法23条1項12号2同38条

原則

重要な資産の処分及び譲受けは、理事会が理事に委任できない決定事項で、決める前にあらかじめ評議員会の意見を聴かなければなりません。

私立学校法36条

ただし

個々の有価証券の購入・売却の意思決定の手続と、保有し得る有価証券の内容・限度額は、資産運用関係規程で明確にしておきます。

平成21年1月6日 20高私参第7号 学校法人における資産運用について

文部科学省は平成21年の通知で、学校法人の資産運用の形態として預金や公共債(国債・地方債・政府保証債)の保有などを挙げています(20高私参第7号)。そのうえで、元本が保証されない金融商品による運用は、その必要性やリスクを十分に考慮して特に慎重に取り扱うべきとしています(20高私参第7号)。あわせて、資産運用関係規程で、安全性の重視などの基本方針、関係者の権限と責任、意思決定の手続、理事会等によるモニタリング、運用の期間と成果の目標、保有し得る有価証券や取引の内容、限度額を明確にすることを求めています(20高私参第7号)。

資産運用の規程で決めておくこと

  1. 基本方針

    安全性を重視すること、元本が保証されない商品を扱うかどうか

  2. 権限と責任

    理事会・理事長・担当理事・実務担当者のそれぞれが何を決め、何を報告するか

  3. 意思決定と執行の手続

    購入・売却・満期の乗り換えを誰が決め、理事会にいつ報告するか

  4. 保有できる商品と限度額

    定期預金・国債・地方債など保有できる商品の種類と、法人全体・商品ごとの上限

  5. 見直しの時期

    決算のときに時価と評価を確かめ、規程を毎年見直す

注記 — 令和8年度決算から、有価証券の時価情報が細かくなる

計算書類の注記には、担保に供されている資産、第4号基本金に相当する資金を有していない場合のその旨と対策、財政と経営の状況を正確に判断するために必要な事項などを書きます1。文部科学省の通知は、有価証券の時価情報を重要性がある場合に注記する事項として挙げ、記載例では有価証券の評価基準と評価方法を移動平均法に基づく原価法の形で示しています(6高私参第27号)。

根拠:1学校法人会計基準40条

令和8年7月の通知は、令和8年度決算から有価証券の時価情報の明細表を細分化し、事業報告書に運用の目的・目標・方針・体制・当年度の運用の概況を示すことが望ましいとしました(8高私参第8号)。宛先は大臣所轄の法人と都道府県知事で、知事所轄の法人への周知が依頼されているので、園の法人も同じ記載例で注記を整えることになります。

有価証券の時価情報の注記で分ける区分(8高私参第8号の記載例)
区分例
債券国内債券・外国債券・仕組債
株式国内株式・外国株式
投資信託などインデックスファンド(ETFを含む)・REIT・その他
その他プライベートエクイティ・プライベートデット・その他

仕組債や投資信託を持っている園は、区分ごとに取得価額と時価を並べる準備を、決算の前に始めておきましょう。

園の余裕資金の運用の確認表
区分(恒常的に保持する資金・2〜3年内に使う資金・それ以外)商品(普通預金・定期預金・国債など)金融機関金額満期貸借対照表の科目決めた機関(理事長・理事会)規程の条項

園の会計や監査の準備で迷うところがあれば、無料相談でお聞きください。

まとめ — 分けて、規程で決めて、注記で見せる

余裕資金は、恒常的に保持する資金・2〜3年内に使う資金・それ以外の3つに分け、置き方ごとの科目と評価の決まりに沿って計算書類に載せます。運用の判断は寄附行為と資産運用の規程で決め、重要な資産の処分・譲受けは理事会と評議員会の手続きを踏みます。令和8年度決算からは有価証券の時価情報の注記が細かくなるので、上の確認表で今の運用の状況を書き出してみてください。

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※免責事項: 本コラムは一般的な情報のご提供を目的とするもので、個別の事案に対する助言ではありません。内容は執筆時点の法令・通知等にもとづいており、その後の改正などにより現在の取り扱いと異なることがあります。正確な記載に努めていますが内容を保証するものではなく、本コラムの情報にもとづいて行われたご判断について、当事務所は責任を負いかねます。実際の手続きやご判断にあたっては、公認会計士等の専門家にご相談ください。

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