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第2号基本金 — 園舎の建て替えに備える組入計画の作り方と計算書での見え方

「10年後の園舎の建て替えに、今から備えたい。会計ではどう置けばいいのか」— 園の理事長からのこの問いに、学校法人会計が用意している答えが第2号基本金です。この記事では、第2号基本金の意味、組入計画の作り方と決め方、特定資産との関係、計画をやめたときの取崩し、計算書類での見え方を、学校法人会計基準と日本公認会計士協会の研究報告に沿って整理し、組入計画の骨子を写して使える表にまとめます。

この記事の要点

  • 第2号基本金は、既設の学校の規模の拡大や教育の充実向上のために将来取得する固定資産の取得に充てる金銭その他の資産の額を、取得に先立って基本金に組み入れるもの1
  • 組入れは固定資産の取得に係る基本金組入計画に従って行い、計画は理事会で決める。組み入れた額に見合う資産は第2号基本金引当特定資産として貸借対照表に載せる2
  • 将来取得する固定資産の取得に充てる必要がなくなったときは、その資産の額の範囲内で基本金を取り崩せる3

根拠:1学校法人会計基準13条1項2号2同13条2項・学校法人会計基準別表第一3同14条3号

第2号基本金は「建て替えの頭金」を先に色付けする仕組み

学校法人会計基準は、学校法人が新たな学校の設置、既設の学校の規模の拡大、教育の充実向上のために将来取得する固定資産の取得に充てる金銭その他の資産の額を、基本金に組み入れるものとしています1。園舎や設備そのものの価額を組み入れる第1号基本金に対して、第2号基本金は「これから買うもののために取っておくお金」を組み入れる基本金です。

根拠:1学校法人会計基準13条1項2号

日本公認会計士協会の学校法人委員会研究報告第15号は、第2号基本金の趣旨をこう説明しています。将来高額な固定資産を取得しようとする場合に取得年度に基本金組入れが集中しないよう、早めに基本金組入計画を樹立し、取得年度に先行して年次的、段階的に組入れを行うことで平準化を図る、というものです。各年度の事業活動収支差額のいかんによって組入額を調整することは避けなければならない、ともしています。

同じ研究報告は、組み入れる「取得に充てる金銭その他の資産」の範囲も示しています。内部で用意した金銭のほか、固定資産の取得のために受けた特別寄付金や施設設備補助金、その対価で固定資産を取得することが定められた贈与有価証券も含まれます。

第1号基本金と第2号基本金の違い
項目第1号基本金第2号基本金
何を組み入れるか取得した園舎・設備など固定資産の価額将来取得する固定資産の取得に充てる金銭その他の資産の額
いつ組み入れるか固定資産を取得した年度 (借入金・未払金で取得した分は、返済・支払をした年度)組入計画に従って、取得に先立って年次的・段階的に
見合う資産土地・建物・機器備品など第2号基本金引当特定資産 (預金など)
計画は要るか要らない要る (固定資産の取得に係る基本金組入計画)

園舎の建て替えは、園の学校法人にとって最も大きな固定資産の取得です。建て替えの年度に第1号基本金の組入れが一度に立つと、その年度の事業活動収支は大きな支出超過に見えます。第2号基本金は、その山を何年かに分けて前倒しする仕組みだと考えると分かりやすいでしょう。

組入計画の作り方 — 理事会で決め、評議員会の意見を聴く

第2号基本金への組入れは、固定資産の取得に係る基本金組入計画に従って行います1。研究報告第15号は、第2号基本金の設定は固定資産の取得計画を明らかにした上で計画的に行わなければならず、理事会 (評議員会が決議機関である場合には評議員会を含む) の決議も必要だとしています。理事会のみが決定の権限を有する場合でも、将来の継続的予算措置にかかる事柄なので、決定に先立ちあらかじめ評議員会の意見を聞いておくことが望ましい、ともしています。

改正私立学校法のもとでは、予算と事業計画の作成・変更は理事会が理事に任せられない事項で、決める前に評議員会の意見を聴きます2

根拠:1学校法人会計基準13条2項2私立学校法36条3項6号・4項

第2号基本金の組入計画を作る段取り

  1. 対象と概算を決める

    建て替える建物、着工の目安の年度、取得価額の概算を書く

  2. 年ごとの組入額を置く

    概算のうち借入金以外で用意する額 (内部の資金と、取得のために受ける寄付金・補助金) を、着工までの年数で分ける

  3. 特定資産の積立てを合わせる

    組入額に見合う預金を第2号基本金引当特定資産として別に置く

  4. 理事会で決め、評議員会の意見を聴く

    計画を理事会の決議にし、予算の意見聴取とあわせて評議員会に示す

  5. 毎年度、明細書に載せる

    基本金明細書に実行の状況を書く。組入計画が複数あるときは、第2号基本金の組入れに係る計画集計表も作る

原則

第2号基本金への組入れは、固定資産の取得に係る基本金組入計画に従って行う。

学校法人会計基準13条2項

ただし

会計監査人を置かない知事所轄の学校法人は、第4号基本金 (恒常的に保持すべき資金) の組入れを省くことができるが、第2号基本金にこの特例はない。

学校法人会計基準49条

特定資産との関係 — 組み入れた額に見合う預金を別に置く

第2号基本金を組み入れたら、それに見合う資産を持っておく必要があります。研究報告第15号は、第2号基本金引当特定資産に繰り入れる目的は将来の高額な固定資産の取得に備えてその取得資金を用意することにあるため、第2号基本金に対応する資産を保有しておく必要があるとしています。貸借対照表では、中科目の特定資産のうちの小科目として第2号基本金引当特定資産の名前で表示します。

貸借対照表の記載科目でも、固定資産の中科目「特定資産」に「第2号基本金引当特定資産」の小科目が置かれています1。資金収支計算書では、積み立てる年度に資産運用支出の「第2号基本金引当特定資産繰入支出」、使う年度にその他の収入の「第2号基本金引当特定資産取崩収入」として動きます2

根拠:1学校法人会計基準別表第一2同別表第三

計画をやめたとき・建て替えが済んだき — 振替と取崩し

建て替えが実現して園舎を取得したら、第2号基本金は第1号基本金へ振り替えます。研究報告第15号の基本金明細表の記載例では、第2号基本金から第1号基本金への振替は「当期組入高」の中で扱うとされています。

計画を縮小・廃止したときは、将来取得する固定資産の取得に充てる必要がなくなった金銭その他の資産の額の範囲内で、基本金を取り崩すことができます1。研究報告第15号は、計画の見直しでこうした事態に至った場合には、当該特定資産と第2号基本金はその意義を失うこととなり、基本金の取崩対象額が把握されるとしています。私なら、そのときは計画表に計画を変更した旨を記載し、基本金組入計画及びその実行状況の摘要欄に取崩しの対象にしたことを記載します。

根拠:1学校法人会計基準14条3号

計算書類での見え方 — 3つの計算書と明細書

第2号基本金が計算書類のどこに出るか
計算書出る場所
貸借対照表純資産の部の基本金の中の「第2号基本金」。資産の部の特定資産の中の「第2号基本金引当特定資産」
事業活動収支計算書基本金組入額合計の中に組入れの年度ごとの額。取り崩した年度は基本金取崩額
資金収支計算書積み立てる年度の第2号基本金引当特定資産繰入支出、使う年度の取崩収入
注記翌会計年度以後の会計年度において基本金への組入れを行うこととなる金額1
附属明細書基本金明細書 (第7号様式) の第2号基本金の行。組入計画が複数あるときは、第2号基本金の組入れに係る計画集計表

会計監査人を置かない知事所轄の学校法人は、高等学校を設置する法人を除いて基本金明細書を作らないことができますが2、第2号基本金を持つ園は、組入計画の実行の状況を示す書類を自分のために残しておくことをお勧めします。あなたの園の貸借対照表には、第2号基本金の行があるでしょうか。無いなら、建て替えの計画を数字で持っていない、ということかもしれません。

根拠:1学校法人会計基準40条6号2同50条

第2号基本金の組入計画 (骨子の整理表)
項目記入
計画の名称 (対象の建物・設備)
取得の目安の年度
取得価額の概算
借入金以外で用意する額 (内部の資金・取得のために受ける寄付金と補助金)
組入れを始める年度と終える年度
各年度の組入額
引当特定資産の置き場 (口座)
理事会の決議の日・評議員会の意見聴取の日

園の会計や監査の準備で迷うところがあれば、無料相談でお聞きください。

まとめ — 計画・積立て・記録の3つをそろえる

第2号基本金は、建て替えのための資金を取得に先立って年次的に基本金に組み入れ、見合う預金を引当特定資産として持つ仕組みです。理事会で決めた組入計画、毎年度の積立て、明細書と計画表への記録の3つがそろって初めて、数年後の建て替えの年度に収支の山ができません。

建て替えが10年先でも、組入計画は今年度の予算から始められます。まず概算と年度を1枚に書いてみてください。

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