複合機・パソコン・園バスをリースで使う園は多く、毎月のリース料を経費で落として終わりにしている園も多いと見ています。学校法人会計では、ファイナンス・リース取引は資産と負債に載せる売買処理が原則で、賃貸借処理でよいのは3つの場合に限られます(20高私参第2号)。文部科学省の通知と日本公認会計士協会の実務指針に沿って、判定の順番・金額の線・計上の仕方・注記までを整理し、契約ごとに判定を書き込める表を付けます。
園のリース取引の会計処理 — 20高私参第2号の売買処理と、賃貸借処理でよい3つの線
この記事の要点
- リース取引はファイナンス・リース取引とオペレーティング・リース取引に分かれ、ファイナンス・リース取引は原則として売買処理 (リース物件を固定資産に、債務を未払金に計上) する(20高私参第2号)
- 賃貸借処理でよいのは、リース料総額が固定資産計上基準額未満 (少額重要資産を除く)、リース期間が1年以内、所有権移転外で契約1件のリース料総額が300万円以下、のいずれかに当たるとき(20高私参第2号)
- 売買処理で計上した資産は減価償却する1。所有権移転外のリース対象資産は、リース期間を耐用年数とし残存価額をゼロとして計算する(20高私参第2号)
まず判定 — ファイナンス・リースかどうか
ファイナンス・リース取引とは、リース期間の中途で契約を解除できないリース取引 (これに準ずるものを含む) のうち、次の2つを満たすものです(20高私参第2号)。借手がリース物件からもたらされる経済的利益を実質的に享受でき、かつ、その使用に伴って生ずるコストを実質的に負担することです(20高私参第2号)。それ以外のリース取引がオペレーティング・リース取引で、通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理します(20高私参第2号)。法的には解約できても、相当の違約金を払わなければならないなどの理由で事実上解約不能と認められるものは、解約できないものに準じます(20高私参第2号)。
日本公認会計士協会の実務指針は、次のいずれかに該当すれば、通常はファイナンス・リース取引と判定されるとしています(委員会報告第41号)。
・現在価値基準: 解約不能のリース期間中のリース料総額の現在価値が、リース物件を現金で購入すると仮定した場合の合理的な見積金額の概ね90%以上
・耐用年数基準: 原則として、解約不能のリース期間が、リース物件の耐用年数の概ね75%以上。ただし、リース物件の特性、耐用年数の長さ、中古市場の存在などから、現在価値基準の判定結果が90%を大きく下回ることが明らかな場合を除く
リース期間の終了後や中途で所有権が借手に移る定めがあるもの、割安購入選択権があってその行使が確実に予想されるものなどは所有権移転ファイナンス・リース取引で、それ以外が所有権移転外ファイナンス・リース取引です(20高私参第2号)。複合機やパソコンのリースの多くは所有権移転外に当たると見ています。手元の契約書の解約条項と満了後の条件を、まず読み返してみてください。
賃貸借処理でよい3つの線
ファイナンス・リース取引は、リース取引開始日に、通常の売買取引に係る方法に準じて、リース物件を該当する固定資産の科目に、債務を未払金 (長期未払金) に計上します(20高私参第2号)。ただし、次のいずれかに当たるときは、通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理ができます(20高私参第2号)。
・リース料総額が、学校法人の採用する固定資産計上基準額未満のもの (リース物件が少額重要資産の場合を除く)
・リース期間が1年以内のもの
・リース契約1件当たりのリース料総額が300万円以下のもの (所有権移転外ファイナンス・リース取引に限る)
実務指針は、固定資産計上基準額未満かどうかの判定を、1つの契約に複数の単位のリース物件が含まれるときは物件の単位ごとに行うとしています(委員会報告第41号)。300万円以下の判定でいうリース契約1件は契約書1通ごとで、1つの契約に科目の異なる固定資産が含まれるときは、科目ごとの合計金額で判定できます(委員会報告第41号)。分割することに合理性が認められないリース取引を分割して契約した場合は除かれます(委員会報告第41号)。園の固定資産計上基準額がいくらかを、経理規程で確かめてみましょう。
| 契約の例 | 判定の目安 | 処理 |
|---|---|---|
| 複合機 (所有権移転外・5年) | 契約1件のリース料総額が300万円以下か | 以下なら賃貸借処理ができる。リース料は経費に |
| 園バス (所有権移転外・5年) | リース料総額が300万円を超え、期間も1年を超えるか | 超えるなら売買処理。車両に計上し、未払金を立てる |
| パソコンをまとめてリース (所有権移転外・4年) | 1台ごとのリース料総額を固定資産計上基準額と比べる | 基準額未満なら賃貸借処理ができる |
| 行事用の機材の短い期間のリース | リース期間が1年以内か | 以内なら賃貸借処理ができる |
計上の仕方 — 利子抜き法が原則、重要性が乏しければ利子込み法
売買処理で固定資産に計上する額は、リース料総額を元本返済額部分・利息相当額部分・維持管理費用相当額部分に区分し、元本返済額部分を固定資産価額とする利子抜き法が原則です(20高私参第2号)。リース対象資産の総額に重要性が乏しいと認められる場合には、リース料総額をもって固定資産価額とする利子込み法で処理できます(20高私参第2号)。重要性が乏しい場合とは、未経過リース料の期末残高が、その残高と有形固定資産・その他の固定資産の期末残高の合計額に占める割合が10%未満の場合です(20高私参第2号)。
利子抜き法で利息相当額の総額を各期に配分する方法は、原則として利息法です(20高私参第2号)。重要性が乏しい場合に利子込み法によらず利子抜き法で処理するときは、定額法によることもできます(20高私参第2号)。園の規模ではリース対象資産の総額に重要性が乏しいことが多く、利子込み法で計上する園が多いと見ています。再リースを行う場合の再リース料は、経費として処理します(20高私参第2号)。
リース対象資産の減価償却額は、所有権移転ファイナンス・リース取引なら自己所有の固定資産と同じ方法で、所有権移転外ファイナンス・リース取引ならリース期間を耐用年数とし残存価額をゼロとして計算します(20高私参第2号)。固定資産のうち時の経過によりその価値を減少するものは減価償却を行い、その方法は定額法です1。リース物件に係る債務は、貸借対照表日後1年以内に支払期限が来るものを流動負債に、1年を超えて期限が来るものを固定負債に表示します(20高私参第2号)。
根拠:1学校法人会計基準8条
注記 — 賃貸借処理にした所有権移転外リースの合計に重要性があるとき
300万円以下などの理由で所有権移転外ファイナンス・リース取引を賃貸借処理した場合、これらのリース料総額の合計額に重要性があるときは、リース物件の種類・リース料総額・未経過リース料期末残高などを注記します(20高私参第2号)。実務指針は、重要性の判断は学校法人の規模などを勘案して決め、規模を見るには資産総額などを考慮することが適当としています(委員会報告第41号)。
計算書類には、財政と経営の状況を正確に判断するために必要な事項を注記します1。重要性が無いと判断して注記を省く場合でも、その判断の根拠を監査人と共有しておくことをお勧めします。
新しいリース契約を結ぶときの会計の段取り
契約書から3点を書き出す
中途解約の可否と違約金、満了後の条件 (再リース・買取り・所有権の移転)、リース料総額と期間
ファイナンス・リースかを判定する
解約不能で、経済的利益とコストを実質的に負担するか。現在価値基準・耐用年数基準で確かめる (現金で買ったときの価格は見積書で取っておく)
3つの線に当たるかを見る
固定資産計上基準額未満 (単位ごと)、リース期間が1年以内、所有権移転外で契約1件300万円以下
計上方法を決める
売買処理なら利子抜き法か利子込み法 (重要性の判定)、科目と未払金の長短の区分、減価償却の方法
注記の要否を確かめる
賃貸借処理にした所有権移転外リースの合計に重要性があれば注記する
| 契約 (物件・相手先) | 開始日・期間 | リース料総額 | 所有権移転の定め・割安購入選択権 | ファイナンス・リースか (判定の根拠) | 賃貸借処理の線 (基準額未満 / 1年以内 / 契約1件300万円以下) | 処理 (売買 / 賃貸借) | 計上方法 (利子抜き / 利子込み) | 注記の要否 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 複合機 | ||||||||
| 園バス | ||||||||
| パソコン | ||||||||
| その他 |
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