園の法人の監事は、決算のたびに監査報告を作ります。改正私立学校法では、何を書くか・いつまでに理事へ知らせるか・誰に出すかが文部科学省令で決まりました。「適正と認める」の一文だけで済ませてきた法人が確かめるべき点を、条文の順に整理し、記載事項を照らし合わせられる表を付けます。
監事の監査報告書の作り方 — 私立学校法施行規則31条の記載事項・通知の期限・理事会と評議員会への提出
この記事の要点
- 会計監査人を置かない法人では、計算関係書類 (計算書類とその附属明細書) の監査報告に、監査の方法と内容・適正に表示しているかの意見・調査できなかった事項・追記情報・作成日を書く1。会計監査人を置く法人の監事の監査報告は別の条で定まっている2。事業報告書の監査報告も別の条による3
- 会計監査人を置かない法人では、監査報告の内容は、計算書類の全部を受け取った日から4週間、附属明細書を受け取った日から1週間、合意で定めた日のいずれか遅い日までに理事へ通知する4。会計監査人を置く法人の監事は、会計監査報告を受け取った日から1週間などの別の期限による5
- 監査報告は理事会と評議員会に提出し6、理事会は監査報告の内容を踏まえて計算書類等を承認する7。定時評議員会の招集通知に際して評議員にも提供する8
根拠:1私立学校法施行規則31条1項2同35条3同40条4同32条1項5同38条1項6私立学校法56条1項7同104条3項8同105条1項
監査報告は2本立て — 計算関係書類と事業報告書
監事は、学校法人の業務と財産の状況、理事の職務の執行の状況を監査します1。この監査を行ったときは、文部科学省令で定めるところにより監査報告を作成し、理事会と評議員会に提出します2。計算書類等は監事の監査を受けなければならず3、会計監査人を置く法人では、計算書類とその附属明細書について監事と会計監査人の監査を受けます4。
文部科学省令は、監査報告の内容を計算関係書類についての条5と、事業報告書とその附属明細書についての条6に分けて定めています。1通の監査報告書にまとめて書く法人が多いと見ていますが、まとめるときも両方の記載事項を落とさないようにしましょう。会計監査人を置く法人では、計算関係書類と財産目録の会計監査は会計監査人が行い、監事は会計監査人の監査の方法と結果の相当性などを監査します(文部科学省の説明資料のQ&A)。
根拠:1私立学校法52条1号2同56条1項3同104条1項4同104条2項5私立学校法施行規則31条6同40条
原則
監事は、計算関係書類を受領したときは、監査の方法とその内容・意見・調査できなかった事項・追記情報・作成日を内容とする監査報告を作成する。
私立学校法施行規則31条1項
ただし
会計監査人を置く法人の監事は、31条と32条の対象から除かれる(私立学校法施行規則31条1項)。監査報告には、会計監査人の監査の方法または結果を相当でないと認めたときのその旨と理由、重要な後発事象などを書く。
私立学校法施行規則35条
この記事の31条と32条の説明は、会計監査人を置かない法人の監事に向けたものです。会計監査人を置く法人の監事は、35条の事項と38条の期限で監査報告を作ります。
何を書くか — 施行規則31条の5つの事項と追記情報
会計監査人を置かない法人の監事は、計算関係書類を受け取ったときは、次の事項を内容とする監査報告を作成します1。
・監事の監査の方法とその内容
・計算関係書類が、法人の財産と収支の状況を全ての重要な点において適正に表示しているかどうかについての意見
・監査のため必要な調査ができなかったときは、その旨とその理由
・追記情報
・監査報告を作成した日
追記情報とは、会計方針の変更・重要な偶発事象・重要な後発事象その他の事項のうち、監事の判断に関して説明を付す必要がある事項や、計算関係書類の内容のうち強調する必要がある事項です2。事業報告書の監査報告に書く事項は次のとおりです3。
・監事の監査の方法とその内容
・事業報告書とその附属明細書が、法令または寄附行為に従い法人の状況を正しく示しているかどうかについての意見
・理事の職務の遂行に関し、不正の行為や法令・寄附行為に違反する重大な事実があったときは、その事実
・調査できなかった事項とその理由
・事業報告書に書いた業務の適正を確保するための体制の決議の内容の概要と運用状況の概要が相当でないと認めるときは、その旨とその理由
・監査報告を作成した日
この体制は、理事の職務の執行が法令と寄附行為に適合することを確保するための体制その他の業務の適正を確保するための体制です4。理事会でその整備を決議した法人は、決議の内容の概要と運用状況の概要を事業報告書に書きます5。監事はその記載が相当かを見て、相当でないときは監査報告に書きます6。
監事は、職務を適切に遂行するため、理事・職員などとの意思疎通を図り、情報の収集と監査の環境の整備に努めます7。理事と理事会も、監事の職務の執行のための体制の整備に留意します7。監査の方法の欄には、理事会への出席、帳簿と証憑の照合、理事や職員からの聴取など、実際に行ったことを書いてみてください。昨年度の監査報告を取り出して、5つの事項がそろっているかを照らしてみましょう。
根拠:1私立学校法施行規則31条1項2同31条2項3同40条4私立学校法36条3項5号5私立学校法施行規則29条2項2号6同40条5号7同19条2項
いつまでに — 通知の期限と「監査を受けた日」
会計監査人を置かない法人の特定監事は、次の3つの日のいずれか遅い日までに、特定理事に監査報告の内容を通知します1。
・計算書類の全部を受領した日から4週間を経過した日
・計算書類の附属明細書を受領した日から1週間を経過した日
・特定理事と特定監事が合意により定めた日
計算関係書類は、特定理事がこの通知を受けた日に監事の監査を受けたものとされます2。期限までに通知が無いときは、通知をすべき日に監査を受けたものとみなされます3。
特定理事は、通知を受ける理事を定めていればその理事、定めていなければ計算関係書類の作成に関する職務を行った理事です4。特定監事は、通知をすべき監事を定めていればその監事、定めていなければ全ての監事です5。事業報告書とその附属明細書の監査報告も、同じ型の期限で通知します6。
根拠:1私立学校法施行規則32条1項2同32条2項3同32条3項4同32条4項5同32条5項6同41条1項
原則
監査報告の内容は、計算書類の全部を受領した日から4週間を経過した日と、附属明細書を受領した日から1週間を経過した日のいずれか遅い日までに、特定理事へ通知する。
私立学校法施行規則32条1項
ただし
特定理事と特定監事が合意により定めた日があるときは、その日がこれらより遅ければその日までとなる。
私立学校法施行規則32条1項3号
会計監査人を置く法人の特定監事は、会計監査報告を受領した日から1週間を経過した日と合意により定めた日のいずれか遅い日までに、特定理事と会計監査人へ通知する。
私立学校法施行規則38条1項
会計監査人を置く法人で、計算関係書類が会計監査人の監査を受けたものとみなされた日があるときは、会計監査報告を受領した日に代えてその日から1週間を数える。
私立学校法施行規則38条1項
誰に出すか — 理事会・評議員会・評議員への提供・備置き
監査を受けた計算書類等は理事会の決議による承認を受け、この承認は監査報告の内容を踏まえて行います1。理事は、定時評議員会の招集の通知に際して、承認を受けた計算書類・事業報告書と監査報告を評議員に提供します2。定時評議員会には計算書類と事業報告書を提出し、その内容を報告して意見を聴きます3。
計算書類等と監査報告は、定時評議員会の日の1週間前の日から5年間、主たる事務所に備え置きます4。監事が不正の行為や法令・寄附行為に違反する重大な事実を発見したとき、またはそのおそれがあると認めるときは、遅滞なく理事会・評議員会と所轄庁に報告します5。この報告は監査報告とは別の手続きなので、年度の途中でも行います。
根拠:1私立学校法104条3項2同105条1項3同105条2項・私立学校法105条3項4同106条1項5同56条2項
決算から定時評議員会までの監査報告の流れ
計算書類等を監事に渡す
渡した日と書類の一覧を記録する (4週間・1週間の起算日になる)
監事が監査する
帳簿と証憑の照合、理事会議事録の確認、理事や職員からの聴取を行い、方法と内容を控える
監査報告の内容を特定理事に通知する
期限内に通知する。通知を受けた日に監査を受けたものとなる
理事会が承認する
監査報告の内容を踏まえて計算書類等を承認する
評議員に提供し、定時評議員会で報告する
招集通知に際して計算書類・事業報告書・監査報告を提供し、会で報告して意見を聴く
備え置く
定時評議員会の日の1週間前の日から5年間、主たる事務所に備え置く
| 記載事項 | 計算関係書類の監査報告 (私立学校法施行規則31条) | 事業報告書の監査報告 (私立学校法施行規則40条) | 記載した (済 / 未) |
|---|---|---|---|
| 監査の方法とその内容 | 1項1号 | 1号 | |
| 意見 | 財産と収支の状況を全ての重要な点において適正に表示しているか (1項2号) | 法令または寄附行為に従い法人の状況を正しく示しているか (2号) | |
| 理事の職務の遂行に関する不正の行為・法令や寄附行為に違反する重大な事実 | - | 3号 | |
| 調査できなかった事項とその理由 | 1項3号 | 4号 | |
| 追記情報 (会計方針の変更・重要な偶発事象・重要な後発事象など) | 1項4号・2項 | - | |
| 業務の適正を確保するための体制の決議の概要と運用状況の概要が相当でないときは、その旨と理由 | - | 5号 | |
| 作成日 | 1項5号 | 6号 | |
| 通知の期限 | 計算書類の全部の受領から4週間・附属明細書の受領から1週間・合意日の遅い日 (私立学校法施行規則32条1項) | 事業報告書の受領から4週間・附属明細書の受領から1週間・合意日の遅い日 (私立学校法施行規則41条1項) | |
| 提出先 | 理事会と評議員会 (私立学校法56条1項) | 同じ |
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