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内訳表はどうなったか — 計算書類から外れた3つの内訳表と、助成法の補助金を受ける法人の所轄庁への提出

令和7年度の決算から使う新しい学校法人会計基準では、資金収支内訳表・人件費支出内訳表・事業活動収支内訳表が計算書類から外れました。「もう作らなくてよいのか」と聞かれることが増えましたが、私学助成の補助金を受ける法人には、私立学校振興助成法のもとで所轄庁に出す書類として残っています。何が変わり、どの園の法人が何を出すのか、学校を1つだけ設置する法人の省略の決まりまでを条文と文部科学省の通知で整理し、提出書類のチェック表を付けます。

この記事の要点

  • 新しい学校法人会計基準の計算書類は、貸借対照表、事業活動収支計算書、資金収支計算書とそれに基づく活動区分資金収支計算書1。3つの内訳表は会計基準から削除され、私立学校振興助成法に基づく書類に位置づけられた(6文科高第1045号)
  • 私立学校振興助成法の補助金を受ける学校法人 (助成対象学校法人) が所轄庁へ出す計算書類には、事業活動収支内訳表・資金収支内訳表・人件費支出内訳表と、所轄庁が定める書類を添える2
  • 知事所轄で学校を1つだけ設置する法人は内訳表の部門の区分を省略でき、事業活動収支内訳表と資金収支内訳表は収支計算書で代えられる(6文科高第1457号)

根拠:1学校法人会計基準16条2私立学校振興助成法14条4項・私立学校振興助成法施行規則2条

計算書類から外れたもの、残ったもの

新しい会計基準で学校法人が作る各会計年度の計算書類は、貸借対照表と、事業活動収支計算書、資金収支計算書とそれに基づいて作る活動区分資金収支計算書です1。私立学校法は、計算書類 (貸借対照表と収支計算書) と事業報告書、これらの附属明細書を合わせて計算書類等と呼び、毎会計年度終了後3月以内に作成することを求めています2。

原則

新しい会計基準で作る計算書類は、貸借対照表、事業活動収支計算書、資金収支計算書と活動区分資金収支計算書である。

学校法人会計基準16条

ただし

会計監査人を置かない知事所轄の学校法人は、活動区分資金収支計算書または基本金明細書 (高等学校を設置する法人では活動区分資金収支計算書に限る) を作成しないことができる。

学校法人会計基準50条

改正前の会計基準で作成を求めていた事業活動収支内訳表・資金収支内訳表・人件費支出内訳表は、会計基準から削除のうえ、私立学校振興助成法に基づく書類と位置づけられました(6文科高第1045号)。内訳表の記載方法と様式は、改正前の会計基準で規定されていた内容を引き継いでいます(6文科高第1045号)。内訳表が外れた一方で、計算書類の注記にはセグメント (学校法人を構成する一定の単位) 情報が加わりました3。

根拠:1学校法人会計基準16条2私立学校法103条2項3学校法人会計基準40条8号

助成法の補助金を受ける法人が出すもの

私立学校振興助成法は、「第四条第一項又は第九条に規定する補助金」の交付を受ける学校法人を助成対象学校法人と呼び、収支予算書の作成を求めています1。4条1項は大学などを設置する学校法人への国の経常費補助、9条は幼稚園や幼保連携型認定こども園を設置する学校法人への都道府県の経常費補助に対する国の補助です2。園の法人に関係するのは、このうち9条の補助金です。

会計監査人を置かない知事所轄の助成対象学校法人は、計算書類とその附属明細書について、所轄庁の定めるところにより公認会計士または監査法人の監査を受けます3。そして毎会計年度終了後3月以内に、計算書類とその附属明細書、翌会計年度の収支予算書に監査報告を添付して所轄庁に提出します4。

この提出には、事業活動収支内訳表・資金収支内訳表・人件費支出内訳表と、所轄庁が定める書類を添付します5。内訳表は、学校法人・各学校・研究所・各病院などの部門ごとに区分して記載し、様式は施行規則に定められています6。

助成対象学校法人が所轄庁へ出す書類
書類根拠
計算書類とその附属明細書私立学校振興助成法14条4項
翌会計年度の収支予算書私立学校振興助成法14条1項・私立学校振興助成法14条4項
監査報告 (補助金の額が少額で所轄庁の許可を受けたときは不要)私立学校振興助成法14条2項・私立学校振興助成法14条4項
事業活動収支内訳表私立学校振興助成法施行規則2条1号・私立学校振興助成法施行規則3条
資金収支内訳表私立学校振興助成法施行規則2条2号・私立学校振興助成法施行規則4条
人件費支出内訳表私立学校振興助成法施行規則2条3号・私立学校振興助成法施行規則5条
所轄庁が定める書類 (人件費支出内訳表の監査報告など)私立学校振興助成法施行規則2条4号

原則

助成対象学校法人は、毎会計年度終了後3月以内に、計算書類とその附属明細書、翌会計年度の収支予算書に監査報告を添付して所轄庁に提出する。

私立学校振興助成法14条4項

ただし

補助金の額が少額で所轄庁の許可を受けたときは、監査を受けることと監査報告の添付を要しない。

私立学校振興助成法14条2項・私立学校振興助成法14条4項

文部科学省の通知は、大臣所轄の法人の少額の目安を、当面、一会計年度に一学校法人に交付される補助金の額が1,000万円に満たない場合として運用するとしています(6文科高第1457号)。知事所轄の法人については、これに準じて所轄庁の定めるところによります(6文科高第1457号)。所轄庁が定める書類は、大臣所轄の法人では人件費支出内訳表の監査報告が文部科学省の告示で定められ、知事所轄の法人では都道府県が定めます(6文科高第1457号)。

知事所轄の園の法人が受ける監査の内容と添付書類は、都道府県の定めで決まります7。文部科学省は説明会で、都道府県に対し、監査事項・監査免除の補助金額の基準・添付書類を遅くとも令和7年6月をめどに定めることが望ましいと示しました(文部科学省の説明会資料)。自分の園の所轄庁がどう定めたかを、都道府県の私学担当の案内で確かめてみてください。

根拠:1私立学校振興助成法14条1項2同4条1項・私立学校振興助成法9条3同14条2項4同14条4項5私立学校振興助成法施行規則2条6同3条・私立学校振興助成法施行規則4条・私立学校振興助成法施行規則5条7私立学校振興助成法14条2項・私立学校振興助成法施行規則2条4号

学校を1つだけ設置する園の法人 — 区分の省略と収支計算書での代替

知事所轄の助成対象学校法人のうち、単数の学校 (2以上の課程を置く高等学校を除く) のみを設置する法人は、内訳表について、学校法人の部門と学校の部門の区分を省略できます(6文科高第1457号)。省略したときの事業活動収支内訳表と資金収支内訳表は、それぞれ事業活動収支計算書と資金収支計算書と同じ内容になるため、これらの収支計算書で両内訳表に代えることができます(6文科高第1457号)。

人件費支出内訳表は、収支計算書で代えられる2つの表に入っていないので、部門の区分を省略した形で作っておくことをお勧めします。幼稚園のほかに保育所や学童などの事業を持つ法人の部門の分け方は、関連記事で扱っています。所轄庁の様式を取り寄せて、省略できる区分がどこまでかを確かめてみてください。

施設型給付だけの園と、注記のセグメント情報

助成対象学校法人は、私立学校振興助成法の「第四条第一項又は第九条に規定する補助金」の交付を受ける学校法人です1。9条は、都道府県が幼稚園や幼保連携型認定こども園を設置する学校法人に対して教育に係る経常的経費を補助する場合に、国がその一部を都道府県に補助できると定めています2。施設型給付へ移行した園の法人も、都道府県からこの経常費の補助を受けていれば助成対象学校法人のままで、提出の義務は続きます。この補助を受けていない法人には助成法の提出義務は無いので、所轄庁が別に求める決算の届出を都道府県の案内で確かめてみてください。

根拠:1私立学校振興助成法14条1項2同9条

文部科学省の通知 (令和7年3月27日) は、設定すべきセグメントが「その他」以外に1つのみの学校法人は、その旨を注記した上でセグメント情報の表示を省略できるとしています。幼稚園・認定こども園は「大学・短大・高専以外の学校」の1つのセグメントにまとめられ、保育所や法人部門は「その他」に入るので、園だけを設置する法人はこの省略の対象です。内訳表の部門別の配分と注記のセグメントの配分基準は目的が違うので、両方を作る法人は配分基準の違いを監査人と確かめておくことをお勧めします。セグメント情報の書き方は、関連記事 (改正学校法人会計基準の注記) にまとめています。

決算書類の仕分け

  1. 計算書類をそろえる

    貸借対照表・事業活動収支計算書・資金収支計算書・活動区分資金収支計算書と注記、附属明細書を先に固める。会計監査人を置かない知事所轄の法人は活動区分資金収支計算書を作らないこともできる

  2. 助成法の補助金の有無を確かめる

    都道府県から教育に係る経常的経費の補助を受けていれば助成対象学校法人

  3. 内訳表を作る

    事業活動収支・資金収支・人件費支出の3つを部門ごとに。学校が1つなら区分を省略し、2つの内訳表は収支計算書で代える

  4. 所轄庁が定める書類を確かめる

    都道府県の案内で、人件費支出内訳表の監査報告などの要否と様式を見る

  5. 期限内に提出する

    会計年度終了後3月以内に、監査報告を添えて所轄庁へ出す

所轄庁への提出書類チェック表 (助成対象学校法人)
書類根拠用意した (済 / 未)備考 (省略・代替・所轄庁の指示)
計算書類 (貸借対照表・事業活動収支計算書・資金収支計算書・活動区分資金収支計算書) と注記学校法人会計基準16条・私立学校振興助成法14条4項
附属明細書私立学校振興助成法14条4項
翌会計年度の収支予算書私立学校振興助成法14条1項・私立学校振興助成法14条4項
監査報告 (少額の許可を受けたときは不要)私立学校振興助成法14条2項・私立学校振興助成法14条4項
事業活動収支内訳表 (学校が1つなら事業活動収支計算書で代替可)私立学校振興助成法施行規則2条1号
資金収支内訳表 (学校が1つなら資金収支計算書で代替可)私立学校振興助成法施行規則2条2号
人件費支出内訳表 (学校が1つなら部門の区分を省略)私立学校振興助成法施行規則2条3号
所轄庁が定める書類 (人件費支出内訳表の監査報告など)私立学校振興助成法施行規則2条4号

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